4月からの日程が明らかになり、驚いたのがミッドナイトを開催する競輪場が2つ増えたことであった。
函館競輪場と四日市競輪場__函館は日本で最初にナイター競輪を実施。四日市も年間を通して、全てナイター(記念競輪は除く)で開催している。2つ増えたということで、ミッドナイトを実施するのは21場になったのだ。この21場という数字は、全国43場のほぼ半分ということになる。
売り上げが低迷し、先が見えないでいる競輪界にあり、唯一、景気が良いのはミッドナイト開催である。ミッドナイトがなければ、恐らく、廃止になっている場があったであろう。オール7車で戦うというのも、当たりやすさを求めた結果であり、それも売り上げ増に繋がっている。ネット販売オンリーなので、主催する自治体にとっては車券売り場の従事員を使わないので人件費も浮く。観客がいないのだから、照明などの経費も節約できる。最近では1日で2億円以上の売り上げになった場もあるほどだ。

函館がミッドナイト開催に踏み切ったことが、個人的には残念でならない。なぜならば函館は優良競輪場の1つだからなのだ。一時期は赤字に転落したものの、ここ数年は上昇傾向にあった。本場にファンを呼ぶ努力は関係者のみならず、ファンの間でも評価されている。

さて、函館がどうかは別の次元で。筆者は競輪の基本はライブ観戦だと考えていて、レーサーが目の前で疾走する姿は圧巻、時には五輪選手も走ることがある。入場料も50円や100円。これがフィギュアスケートの羽生結弦を観にいくとなれば、そんな訳にはいかない。まずチケットを取るのにも苦労するだろう。だからこそ競輪は間近で、五輪選手を観ることができる、ある意味で特殊な競技でもある。
だが、それがミッドナイトとなれば、面白味を失ってしまう。熱心なファンは朝練習から観に行き、選手の動きや状態を判断して車券購入に活かしたりしている。単純に投資をしているだけではないのだから。


いかにしてファンを競輪場に呼ぶか?家族連れで競輪場に足を運んでいただきたいと言うが、ミッドナイトは無観客ゆえにファンを競輪場に呼ぶ努力を必要としない。それでも、売り上げ増になるならば、そちらの方が良いに決まっているのは理解できる。ただ、1度、離れてしまったファン全員が競輪場に戻るとは思えない。家族連れもターゲットにしていた場合、興味を抱いてくれていたファンを裏切ることになってしまう側面もある。
公営競技、もちろん民間でもそうだが、結果を残せなければ淘汰(とうた)されるのは止むを得ないと考える。ましてや性質上、赤字の補填を税金で賄わなければならなくなるのは、言語道断だろう。そのために経費もかからない、売り上げも良いミッドナイト競輪へと舵を切る自治体の論理は理解できる。だが、筆者が危惧(きぐ)しているのは純粋なファン離れである。古臭い考え方かも知れないが、生の迫力を1度でも感じた人間は、ミッドナイト競輪をスンナリ受け入れることは難しいのではないか?
根本的な改革がなされず、他のギャンブルから遅れを取っているという自覚が関係者には欠けているような気がする。中には真剣に業界を憂いている人間もいて頑張っているのだろうが、その人間たちの意見が通っていない、拾われていないような気がしてならないのである。

ミッドナイトは儲かるのだから、普通開催はマイナスでも構わない。トータルでプラスになれば良いという方向に進むのは問題だ。これによってファンへ対する姿勢も変わってくる恐れがあるからだ。
今後、さらにミッドナイトを実施する競輪場は増えることが予想されるが、果たしてこの選択は将来的に吉と出るのか?凶と出るのか?