体力強化メニューはお馴染みの光景に、新トレーニング機器を導入したホークスの確かな狙い

 7日で第2クールが終わったソフトバンクの宮崎春季キャンプ。2年連続で日本一には輝きながら、リーグでは2位に終わった悔しさを胸に挑む2019年のキャンプは例年以上に厳しいトレーニングが連日行われている。

 第1クール、そして第2クールの6日間、その多くは午前中にはボールもバットも使わずに、徹底した体力強化メニューが選手たちには課された。30メートル、80メートル、150メートルをそれぞれ何本も走るランニングメニューには、選手たちも苦悶の表情を浮かべていた。

 その走り込みとともに、今年の体力強化メニューとして、お馴染みの光景となったのが、新たに導入された3種類のトレーニング機器だった。米Concept2社の「ローイングエルゴメーター」「スキーエルゴ」と「ワットバイク」というインドアトレーニングバイクの3種類。これをトレーニングに取り入れた。

「ローイングエルゴメーター」はボートを漕ぐ動きによって体力強化を図り、「スキーエルゴ」では上部から吊るされたロープを引きノルディックスキーの動きでの強化を図るもの。インドアバイクとともに、これらのトレーニング器具を導入したのには、確かな狙いがあった。

 この3種類を導入したソフトバンクの大塚潔1軍コンディショニング担当は、導入の経緯をこう語る。

「工藤監督は、キャンプで体力強化をかなりやりたいということでした。ですが、ランニングというのはフットコンタクトがあるので体にダメージがあるんです。ベテラン陣も同じように走ったら怪我のリスクが高まってしまいますので、僕だったらこういうことがやりたいです、と提案させてもらいました」

 ランニングは着地による衝撃で怪我を発症するリスクがある。かといって、心肺機能や基礎体力の強化はしっかりと図りたい。そこで、ランニングによる怪我のリスクを減らし、なおかつしっかりと基礎体力強化が可能になるトレーニング方法として、この3種類の機材を導入したという。

「マラソン選手ですら心肺機能はランニングでは作らない」

 大塚氏は「マラソン選手ですら心肺機能はランニングでは作らないんです。大迫(傑)くんのオレゴン・プロジェクトもそうですし、今年の箱根を勝った東海大とかも、僕らと同じバイク(ワットバイク)を使ってトレーニングをしています」と明かし「通称オフフィートというのですが、ランニング以外の方が心肺的な体の中、生理的な負荷は高められるのが分かっています。それでいてフットコンタクトの衝撃がないので、怪我の可能性を格段に下げることができます」と、このトレーニング方法のメリットを明かす。

 ソフトバンクのトレーニング方針は走り込みを否定しているわけではない。“過度な”走り込みは怪我に繋がるというもの。「もちろん走ることで身につけられることはたくさんあります。ありますけど、走らなくても、ああいうので置き換えることができるものもたくさんあります。それをどうミックスしてマネージメントしていくか、です」と大塚氏は言う。

 先に記したように、ソフトバンクはキャンプでかなりの量のランニングメニューを行っている。ただ、それは“必要な”ランニング量であって、怪我のリスクの高いベテラン陣はランニング量を減らし、この機器のトレーニングに置き換えたりもしている。

「怪我のリスクを減らし、得たいものはキッチリと得る。今までランニングだけで10しか得られなかったものを、12、13得られるようなことにチャレンジしているイメージです。ランニングは強度を上げれば上げるほど怪我のリスクは高くなるので、そのランニングで何を得たいかを明確にしないと、無駄な怪我になりかねないので。目的意識を持たせることが大事なんです」

 ソフトバンクは昨季、怪我人の続出も響き、パ・リーグの頂点を取り逃がした。チームスローガンに「奪sh!」を掲げて挑む2019年。こんなところでも、王座奪還に向けた新たな取り組みが行われている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)