アジアカップは、決勝で日本がカタールに敗れて幕を閉じた。 開催地のUAEから遠く離れたイングランドで、レスター・シ…
アジアカップは、決勝で日本がカタールに敗れて幕を閉じた。
開催地のUAEから遠く離れたイングランドで、レスター・シティのFW岡崎慎司は日本代表の試合をすべて観戦したという。グループリーグ初戦から決勝まで合計7試合。準決勝で難敵イランを3−0で下すと、試合をこなしながらたくましさが増していった日本代表の戦いぶりに、「泥臭く、チャレンジャーとして戦えている」と目を細めた。準決勝後、岡崎は次のように語った。

マンチェスター・ユナイテッド戦は後半途中から出場した岡崎慎司
「僕がW杯に出た時や、前回のアジアカップの時は、もっと『こういうサッカーで』とイメージを持ちながらやっていた。だけど、今の日本代表を見ていると、『まずは泥臭く』という面が出ている。チャレンジャーとして戦えていると思う。
たとえば、イラン戦の下馬評は、相手のほうが上だった。イランは『負けなし』で、国民の期待も背負っていた。だけど、そのせいで日本が前半の立ち上がりにプレッシャーをかけたら、彼らはかなり焦った。地に足をつけて日本代表が戦っている姿を見て、すごく刺激になりました」
しかし、決勝で日本はカタールに1−3で完敗する。
敗戦後、岡崎はツイッターで「変なプライドがなく泥臭くても勝とうとするチームはカッコよかった」と述べるのと同時に、「泥臭いだけでは勝負に勝てない厳しさを思い出した。戦術や運など考えれば原因はあるけど、選手なら力のなさを悔いるはず」と指摘した。
泥臭いだけでは勝てない勝負の厳しさ――。決勝後、あくまでも「選手側の視点」でその真意を次のように説明した。
「敗戦の理由が、戦術なのか、フィジカルなのか、コンディションなのか。『もうちょっとこういうふうにやっておけば……』というのはいろいろあると思う。ただ、それを探るのは選手以外の人の役割かと。そういうふうに思ったのでツイートしたんです。
僕は、選手のひとりとしてこう思うんです。代表の選手は『自分がもっとこうしておけば……』とか、『自分がいたらこうできたかなぁ……』とか、『単純にあそこで自分がもっとドリブルつっかければ……』とか、みんながそんなふうに思っているかと。結局は、個人のところで差が出たと思う。そういう僕も、前回のアジアカップで1点しか獲れなかった。FWとしてあまりインパクトを残せず、仕事ができなかったので。
自分たちが上に行くためには、個の能力を上げていくしかない。今までやってきたことを継続する。そして、チャンピオンズリーグに出るようなチームで先発する選手が出てきたり、全員がトップリーグでプレーしたり(そういう状況にならないといけない)。
核となる選手はいるのかもしれないけど、若手もレギュラーの選手も、プレー自体を見たら(力量は)そんなに変わらないというか。その意味でも、全選手の力が足りなかったと思う。ワンパターンでしか戦えず、選手のクオリティ勝負で負けてしまった」
采配、戦術、体格、コンディションと、敗戦にはさまざまな理由がある。決勝で5-3-2を採用したカタールに対し、4-2-3-1で挑んだ日本とのかみ合わせは悪く、プレスがことごとくハマらなかったことも敗因だろう。
それらを踏まえたうえで、岡崎はあくまでも選手としての視点で「日本は全選手の力が足りなかった」と指摘する。さらに、3月の強化試合、6月から始まる南米選手権(コパ・アメリカ)と続く、日本代表のこれからの戦いが大事になると力を込めた。
「次のアクションがとても大事になる。サウジアラビア戦もベトナム戦も簡単じゃなかった。だから、まだまだ日本はもっと上を目指さないといけない。ベテランだろうが、若手だろうが、これからも向上心のある選手が代表に選ばれるべきかと」
もちろん、岡崎も日本代表への情熱を失っていない。W杯ロシア大会以降、代表に招集されていないが、「密かに南米選手権を狙う」と語ったこともある。アジアカップの戦いぶりを見て、代表への思いはいっそう強まった。
「こういうふうに(外から)公式戦を見るのは初めてでした。悔しさはありながらも、『自分もあそこに入りたい』という気持ちは増した。自分も、代表でプレーしていた。その代表も監督が代わり、考え方やプレースタイルも変わった。過去の栄光(=実績)から選ばれるのではなく、(今の評価で)自分も新たに選ばれて、代表で挑戦したい気持ちになった。『あのチームに入って』と、そう思いますね。僕もここから自分のチームでがんばるしかない」
レスターでは途中出場が多く、出場機会はあくまでも限定的だ。そのなかで、どうやって出番を増やしていくか。32歳になった今も、岡崎はイングランドで試行錯誤とチャレンジを続けている。おそらく、日本代表にも同じような視線で戦いぶりを見ていたのだろう。敗戦から何を感じ、どう生かすか。
「力が足りない。もっと上を目指さないと」
常に向上心を持ち、階段を登り続ける岡崎らしい言葉だった。