「自分が先発で出て絶対に負けたくない思いでした」

1月30日、川崎ブレイブサンダースは新潟アルビレックスと対戦した。この試合を控えて中地区首位の新潟を4ゲーム差で追っていた川崎としては何としても勝ちたい正念場。ここで19得点を挙げ勝利に大きく貢献したのが辻直人だ。

11月23日の栃木ブレックス戦で肩を負傷した辻は、年明け1月10日のオールジャパンで実戦復帰。リーグ戦も1月16日の富山グラウシーズ戦から出場していたが、これまで控えスタートだったのがこの試合では復帰後初の先発に起用され、その期待に応えた形となった。

試合開始直後の3ポイントシュート成功でチームに勢いを与えると、接戦で迎えた第4クォーター終盤にはインサイドにアタックし、ファウルを受けながら決めたバスケット・カウント。そして9点差へと突き放す3ポイントシュートを沈めるなど、要所での活躍も光った。しかし、「オフェンス面でチームを引っ張っていけたと思います。ただ、ディフェンスで(ゴール下へのカットインを許す)バックカットを何度もやられたりしてしまいました」と、この試合のパフォーマンスは攻撃への手応えとともに、守備への課題があったと総括する。

2カ月ぶりとなった先発復帰については、かなり意識するところがあったと振り返る。「川崎では、自分が先発としてチームを引っ張っていきたい。だから、先発のチャンスをモノにしないといけない。シーズン前は川崎が強いんじゃないかと言われていましたが、現在は中地区で2位です。チーム本来のパフォーマンスを出せない責任を感じていましたし、自分が先発で出て絶対に負けたくない思いでした」

ピック&ロールからのアタック復活が良い兆しに

先週末、川崎は敵地での栃木戦で2試合ともに競り負け、これで栃木とは今シーズン4連敗。メンタル的にもダメージが大きい週末となった。ただ、辻にとっては「栃木戦は個人的に不甲斐なかったですが、その中で気づかされたこともあり、収穫のあった敗戦でした。学んだことを頭に入れて試合に臨みました。具体的に言うとピック&ロールの回数、ゴールにアタックする回数が栃木戦では減っていました」と得るものも大きかった。

辻の最大の持ち味は3ポイントシュートだが、一方でピック&ロールを使ってインサイドにアタックしてのシュート、守備のズレを作ってからの得点に直結するピンポイントパスも魅力だ。それが復帰してからは3ポイントシュートに偏り、プレーが単調になっていた。

この課題を意識したからこそ、冒頭で触れた第4クォーターのアタックからのバスケット・カウントが生まれた。「最後のバスカンみたいなプレーは復帰してから今までなかったものです」と辻も手応えを得ている。

この試合で辻が19得点、ファジーカスが27得点を稼いだ、リーグ屈指のワンツーパンチである『ツジーカス』による大暴れをこれから増やしていきたいと意気込む。「ニックとのコンビは、他のチームにとっては嫌なプレーで、そこを起点とすることで、他の選手も絡む派生したプレーも生まれていきます。チームの強みだと思います」

60試合の長丁場となるレギュラーシーズンは、どんな選手にとっても浮き沈みはあるもの。だが、その中でも辻は開幕戦でいきなり20得点と幸先良いスタートを切るも、この試合で足を痛めたことで調子を崩す。そこからコンディションが上がり、上昇気流に乗ってきたかと思った矢先に今度は肩を痛めて1カ月以上の離脱と、文字通り『山あり谷あり』のシーズンとなっている。

ただ、最も大事なのはポストシーズンでいかに状態をピークに持っていけるか。「今日は自分の中でも納得できるプレーが多かった」と充実感を得た辻が調子を上げていけるかどうかは、今後の川崎を左右する重要な要素となる。