惜しくも表彰台を逃した男子エイト全日本選手権で4年生が引退してから2週間、新体制で臨む最初の大会として、全日本新人選手権が開催された。全日本新人選手権は、大学団体に所属する場合、2年生以下の選手を対象とした大会である。男子エイトは4位、男子…


惜しくも表彰台を逃した男子エイト

全日本選手権で4年生が引退してから2週間、新体制で臨む最初の大会として、全日本新人選手権が開催された。全日本新人選手権は、大学団体に所属する場合、2年生以下の選手を対象とした大会である。男子エイトは4位、男子シングルスカルで勝野健(経1)は6位入賞し、新しいスタートダッシュを切った。

第59回全日本新人選手権大会

11/9(金)〜11(日) @戸田漕艇場

・大会結果・詳細

男子エイト

C:向井新(経2)

S:鍛治田有史(政2)

7:王田恭之(商2)

6:村上廉太郎(政2)

5:小宮山息吹(経2)

4:田村直親(政2)

3:永田大智(環2)

2:浦敬太郎(経2)

B:古谷高章(商2)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選C組01:35.1703:15.2404:56.4206:35.753着→敗者復活戦へ
敗復A組01:35.1803:11.9604:51.8806:29.931着→準決勝へ
準決A組01:31.2803:02.8404:36.1606:09.132着→決勝へ
決勝01:34.8603:10.9904:47.3406:23.424着→4位入賞

準備期間が短かった今大会。時間をかけられないからこそ、「短いスパンでできる、簡単にできるところを詰めて合わせる」(古谷)ということを意識して練習に取り組んだ9人。全員2年生、「コミニュケーション」と「勢い」をスローガンとし、この2つの強みを持って本番を迎えた。

予選では、タイムで競っている東北大Aとの戦い方がポイントとなった。後半の速さで上手であった慶大は、コックスの向井のコールで後半に入る前に仕掛けることはできたものの、うまくまとまりを見せることができずに3着に終わり、敗者復活戦に進むこととなった。

翌日の敗者復活戦。相手のうち東北大Aは予選のタイムからスタートが早いということがわかっていた。そのためあまりスタートでは差をつけられないようにし、第2クオーターで差そう(抜こう)という流れを9人は用意していた。そして思惑通り、第2クオーターまでそのプランを遂行したものの、第3クオーターでは抜きつ抜かれつのレース展開となってしまう。しかしあくまで冷静に、勝負の第4クオーターでラストスパートをかけ見事1着となり、準決勝進出を決めた。

最終日午前中に行われた準決勝。圧倒的な強さの明大を除き、慶大と同志社大、仙台大Bはタイムが拮抗していた。2艇が決勝に上がれることから、ここで抜き出る必要がある。しかし、スタートに関しては過去のレースから2校に出られると予想していた。実際に、スタートは出られてしまう結果となったが、第3、4クオーターで「艇速にフォーカスする」(鍛治田)という自分たちのレースプランを貫き2着を掴んだ。

運命の決勝は最終日午後に行われた。不得手なスタートで先行された分を第2クオーターで取り戻し、第3クオーターで差すというレースプランで臨んだ。しかし、スタートで想定以上に他の艇に出られてしまうと、持ち直しきれずに他の3艇に大きく離され4着となった。王田は「格上のクルーに自分たちの強みで勝負に持っていけなかった」ことが敗因だとし、メダル獲得は次の機会へ持ち越しとなった。

これからはオフシーズンに入る端艇部だが、「努力するかしないかは個々人に任せられている(鍛治田)」。来春には早慶レガッタを控えている。世界三大レガッタの一つにも数えられる春の風物詩であるこの大会。打倒早大への想いのもと、新人戦での経験を生かし、努力を重ねた先に見せる熱のこもったレースを期待させて欲しい。

(記事:津田侑奈)

男子ダブルスカルA

S:桒原侃生(政2)

B:三浦春樹(商2)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選F組01:42.6403:30.1805:19.9807:10.352着→敗者復活戦へ
敗復D組01:48.8403:41.0805:37.8007:38.091着→準決勝へ
準決D組01:46.5303:37.3105:29.6707:23.223着→敗退

男子ダブルスカルB

S:田上諒(経1)

B:朝日捷太(経1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選A組01:40.3003:27.1805:19.2007:11.612着→敗者復活戦へ
敗復B組01:47.1303:37.7005:30.8607:28.391着→準決勝へ
準決C組01:44.6103:36.9805:30.8407:21.624着→敗退

男子ダブルスカルBは、田上諒(経1)、朝日捷太(経1)の1年生2人で構成された。この2人は、慶應義塾高校時代から共に漕ぎ、さらに10月に行われた第96回全日本選手権大会にも今大会と同じようにダブルスカルで出場した。練習の時からお互いに負担を感じることもなく、たくさんの話し合いを通してクルーとしての特徴をよく理解した上で今大会に臨むことになった。

初日に行われた予選。このクルーの課題は「前半と後半にタイム差が出て、後半に弱い」(朝日)とし、そこを意識した上で試合に入った。「最初の1000から攻めの姿勢を見せることができた」(田上)と言うように第1クオーターで1位に3秒差の2位につける。しかし、この予選でも課題である後半にリズムを崩してしまい、結果的には17秒もの差をつけられる結果としまった。

 しかし、ここでの反省を生かして敗者復活戦では、しっかりと切り替えることに成功する。「前半少し落として、後半に体力をつなげよう」(朝日)、「粘って最後までリラックスして漕ぎきる」(田上)というレースプランで臨むと、これがうまくはまった。冷静に他の艇をみながら漕ぎ進め、安定したレース展開の中1着でフィニッシュ。全日本選手権では叶わなかった準決勝進出を決めた。

 そして迎えた準決勝。「(予選のタイムを見ると)自分たちが出してきたタイムでも届かない相手」(朝日)だったこともあり、うまくはまった敗者復活戦のレースプランをやめ、「少し辛くてもいいから最初から出して、死ぬ気で後半耐える」(田上)というように、攻めの姿勢に戻して勝利を目指すという決断をすることになった。しかし、自分たちの思うようにはいかなかった。スタートから他3艇に抜け出されると、「気持ちの焦りから漕ぎが崩れて」(田上)しまったと言うように、つけられた差は次第に大きく広がってしまう。第4クオーターで3位との差を詰めるも結果的には準決勝4着で敗退となった。

 悔しい結果となってしまったが、レベルの高い相手とのレースや自分たちで考え、チャレンジした結果の成功や失敗、今大会を通して得たすべてのことが2人の成長の糧になったことだろう。「冬期間に体力を作り、2000(メートル)をタイムを落とさずに漕ぎきれるように」(朝日)、「冬に頑張って早慶戦にも乗りたいですし、その次の公式戦にも乗れるように」(田上)とそれぞれ先を見据える面持ちには頼もしさも感じられる。冬を越えて今後の慶大端艇部を背負っていく1年生のさらなる成長が楽しみだ。

(記事:東修司)

男子シングルスカル

A武岡大雅(政1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選F組01:51.6103:48.9905:48.0907:47.431着→準決勝へ
準決B組01:54.4303:54.0205:54.5207:56.265着→敗退

B勝野健(経1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選N組01:47.0503:43.2005:44.3107:42.293着→敗者復活戦へ
敗復L組01:47.8503:43.4805:41.0807:38.331着→準決勝へ
準決D組01:47.2803:42.0305:40.5707:42.792着→順位決定戦
順決01:51.5703:48.4105:48.7607:45.671着→6位入賞

今大会は大半の1年生にとって初めて迎える全日本級の大会だ。慶大端艇部という伝統ある看板を背負って出場することへの責任やまだ慣れないレースへの不安。そのような中にありながらも、1年生は確かな成長をみせた。

男子シングルスカルBとして出場した勝野健(経1)は、9月に行われたインカレ、10月の全日本選手権では1年生ながら上級生とともにクルーを組み、厳しいレースを経験した上で今大会に臨むことになった。男子シングルスカルには全体で80クルー近くがエントリーしており、高校時代に全国に名を轟かせた選手も数多く出場してくる激戦必至の部門の一つだ。その中で勝野は今回の目標を「順位決定戦進出(上位10クルー)」と設定した。

迎えた大会初日の予選。スタートから果敢に攻めるも、1年生の勝野にとってはまだ慣れない2000メートルレースということもあり、中盤から後半にかけて徐々に引き離されてしまい3着となってしまった。

翌日の敗者復活戦。勝野は他クルーの予選のタイムを確認し、「準決勝の組み合わせと予選で出た課題を意識して」臨んだ。レース序盤から余裕を持って漕ぎ進め、結果的には2位と20秒以上も離し、さらに自らの予選で出したタイムも縮めて見事準決勝に駒を進めた。

最終日の午前中に行われた準決勝。目標とした順位決定戦以上に進むためには、2着以上にならなければいけない。「スタートから一気に先行して全艇見える状態で自分の立ち位置を決めていく」と話した勝野は言葉通りスタートから飛び出した。最初の500メートルで2位に2秒近く差をつけると、その後のコンスタントでは周りを見ながらレースを進める。「最後はスタミナ的にいけなかった」(勝野)と言っていたように最後の500メートルで差されてしまったものの、目標である2着に入り、順位決定戦進出を決めた。

そして、午後に行われた順位決定戦。ボートの大会では一日に2レース行われることはほとんどない。そのため「体力的にきつかった」というが、「自分の長所はスタート500」と自信を持ってスタートから攻める気持ちで臨んだ。しかし、一筋縄ではいかないのが順位決定戦。第1クオーターは、スタートから日大D、仙台大Cと横並びになる形になる。その後、第2クオーター、第3クオーターは日大Dに抜きつ抜かれつの苦しいレース展開となる。迎えた第4クオーター。「ラスト250のラストスパートも練習の時からずっと取り組んでいたことだったので、ラスト250まで並んでいたらいけるな」(勝野)と日々の練習で培った力を発揮した勝野はラストスパートで日大Dを置き去りにし、見事順位決定戦一着でフィニッシュした。

今までの大会で様々な先輩方から学んだことをしっかりと吸収し、自分1人でも怖じけずに自らのレースプランで勝ちきることができた今大会は、目標として設定した順位決定戦に進出し、全日本新人選手権6位入賞したという結果とともに勝野にとって大きな自信になったに違いない。

そして、オフシーズン明け次の大会は早慶レガッタになる。勝野にとっては、スカルオール(2本)からスイープオール(1本)となり新しいチャレンジや経験も多くなることだろう。「早慶レガッタに出たい」と次の目標を掲げた勝野は、今大会深めた自信と経験を存分に発揮し春の隅田川での活躍に期待が膨らむ。

(記事:東修司)

男子舵手付きフォアA

C:梅津貴大(文1)

S:足利海知(商1)

3:萩原秀賢(商1)

2:亞厂拓海(経1)

B:七條怜史(法1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選A組01:44.7403:37.1905:31.9007:20.984着→敗者復活戦へ
敗復D組01:51.2503:46.1405:45.4107:42.345着→敗退

男子舵手付きフォアB

C:森田大陽(商2)

S:中島大輔(商2)

3:吉田迅(経2)

2:佐藤晴信(経1)

B:安本壮瑛(経2)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選A組01:48.8503:35.0405:27.7807:16.643着→敗者復活戦へ
敗復A組01:48.0903:42.7005:40.9707:34.904着→敗退

女子舵手付きクォドルプル

C:水谷智咲(環2)

S:遠藤佳奈(商2)

3:四元美南(商1)

2:山崎絢乃(政1)

B:山田幸奈(環1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選C組01:57.6803:58.7706:08.2408:12.113着→敗者復活戦へ
敗復B組02:06.2604:18.6806:33.3608:46.915着→敗退

女子シングルスカル

A根岸彩子(政2)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選C組02:05.3004:14.0806:24.1008:35.582着→敗者復活戦へ
敗復E組02:05.7104:18.3506:31.7708:51.822着→敗退

B流石章代(総2)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選D組02:11.3904:27.21 08:58.083着→敗者復活戦へ
敗復B組02:08.2404:23.6506:42.0309:00.914着→敗退

C宮之本伶奈(経1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選B組02:22.2504:45.2807:10.7609:34.625着→敗者復活戦へ
敗復H組02:34.9605:03.4407:35.6910:10.181着→敗退

D:佐野紫遥(文1)

レース500m1000m1500m2000m結果
予選D組02:32.4905:14.84 10:41.646着→敗者復活戦へ
敗復F組02:44.3905:28.2008:17.3911:04.205着→敗退

(写真:津田侑奈、東修司)