リオデジャネイロ五輪陸上男子5000mの日本代表に大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が内定した。6月24日~6月26日にかけて名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで開催された第100回日本陸上競技選手権大会、大迫は男子5000mを13分37…
リオデジャネイロ五輪陸上男子5000mの日本代表に大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が内定した。6月24日~6月26日にかけて名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで開催された第100回日本陸上競技選手権大会、大迫は男子5000mを13分37秒13で優勝した。
続く10000mでも28分07秒44と好タイムでトラックを駆け抜け、両種目でリオデジャネイロ五輪への切符を手に入れた。パロマ瑞穂スタジアムの出口が大迫を待つファンで埋まるほどの人気を誇っていた。
「海外でいつも切磋琢磨して練習してきたので3年目、4年目になっていきてきたのかと思います」とレース後に語った大迫。
所属していた日清食品グループ陸上部を2015年3月に退部。日清当時から練習に参加していたアメリカのナイキ・オレゴン・プロジェクトで本格的にトレーニングを始めた。
日本選手権は4年連続で2位(2012~2014年は10000m、2015年は5000m)に終わっている。これまで、5000mの日本記録を一気に5秒近く縮める13分08秒40で新記録樹立などの結果を残してきたが、日本選手権だけはどうしても勝てなかった。
5年越しでつかんだ日本選手権初優勝。大迫は日本選手権を改めて振り返った。謙虚な話しぶりに覗かせる確かな自信。言葉を一つひとつゆっくり選んで慎重に発する。
「自分の戦略に徹しきれたのが良かったのだと思います。あまり周りを気にせず、自分のペースで上げて、自分のペースでゴールできた」
凄まじいレース展開だった。今まで紙一重で後塵を拝してきた大迫が、圧倒的な差をつけた。特に10000m。2位の村山紘太(旭化成)との差は約9秒。大迫が舞い上げた粉塵は、他の選手が通る頃にはすでに舞い落ちていた。
「スピード、メンタル。すべての面において昨年度より成長したので、どの面が特別にというわけではなく、全体的に成長したのだと思う」
確実に1位を狙いにいった。事前に練った通りのレースプランを展開した。
「5000mも10000mも(力を)出し切ったわけではないが、5000mの方がラストの力の出し方は良かった。レースを追うごとにラストの形は自分の目指すカタチに近づいてきたのかな」
「どれくらい他の選手に力があるかはわからなかったのですが、自分としては(頭ひとつ)抜けている感じがあったので、自分のペースで、他の選手には集中せず自分に集中した」
【次ページ アメリカと日本の練習の違い】
大迫は海外のトレーニングによって強くなった。そう結論付けるのは簡単だし、実際に環境が彼の走りを変化させた要素もあるだろう。本人もその自覚は少なからずある。
だが、大迫が強調するのは環境よりも自身の意識の重要性だ。自身のブログでも次のように心情を吐露している。
「勘違いしてはいけないのは、アメリカで練習したから・アメリカに住んでいるから強くなる訳では決してありません。目的と手段は全くの別物なのです。結局どこにいても、その環境で自分が何を目指し、何を選択するかが一番大事なのではないか。そういう事を強く感じた一年でした」
海外で特殊なトレーニングを積んだから強くなれたのだろうか。アメリカと日本の練習の違いは何か。そういった質問はきっと数え切れないほど大迫に投げかけられただろう。
だが、あくまでも日本にいる時と心情は変わっていないし、練習メニューも大きくは変わらないと大迫は明かす。
違いは「どこを最終目標にして取り組んでいるか」だという。最終目標にどこを見据えるかで、同じ練習メニューでも自ずと質は変化する。
毎日、1日1日を大切に過ごすこと。日本にいた時からその気持ちは変わらない。志の高い仲間と切磋琢磨しながら、少しずつ力を蓄えている。
「環境も変化して、年々少しずつ自分の能力が上がってきたのだと思う。その時々成長するってことを意識してきました。毎日の積み重ねが現れたのかな」
リオデジャネイロ五輪にはどういった想いでいるのか。
「やるべきことは明確です。オリンピックを意識するというよりは、今までどおり、課題を一つひとつクリアしていくことが大事。もちろんオリンピックが今季の最終目標であることに変わりはないが、今までとやることは変わらない」
「淡々と、同じことをするだけ。大会の大きさを意識せず。もちろん大きい大会で、自分の今後を左右するとは思うが、今までどおり冷静にいくだけ。気負いはないと言ったら嘘になるが、それとうまく付き合うこと」
大迫は「やることは変わらない」「今まで通り」と、普段の練習に対する確かな自負をのぞかせた。
リオオリンピック陸上日本代表・大迫傑…アメリカで強くなる「やるべきことは明確」撮影:大日方航
リオオリンピック陸上日本代表・大迫傑…アメリカで強くなる「やるべきことは明確」撮影:大日方航
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの大迫傑画像提供:ナイキ ジャパン
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの大迫傑画像提供:ナイキ ジャパン
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの大迫傑画像提供:ナイキ ジャパン