「もっとアルバルク流を突き詰めていかないと」

1月26日、27日とアルバルク東京は大阪エヴッサと対戦。ともに後半になって突き放す展開で粘る相手を撃破し、見事な連勝を飾った。この2試合、A東京はインサイドの主力である日本代表の竹内譲次が体調不良から欠場。それだけにシェーファー・アヴィ幸樹、平岩玄と12月に加入したばかりの若手ビッグマンに出場機会が与えられるのか注目していたが、ともにほとんど出番なし。竹内の不在は外国籍選手がいつも以上にコートに立つことで埋めた。

ルカ・パヴィチェヴィッチは、プレータイムのシェアに気を遣う指揮官で、27日の試合後も「今日のようにビッグマンのプレータイムが偏るのはできれば避けたい」と語っていた。しかし「アヴィ、平岩はチームに加入して約1カ月、試合に向けた十分な練習ができていないままです。彼らを使いたかったですが、今日みたいに大阪さんがチェンジングなどいろいろディフェンスをしてくるとそれに慣れていません。今回はそういったことに慣れているジャワッド(ウィリアムズ)、アレックス(カーク)を使うことが大事と思いました」という理由から、経験豊富な外国籍へのいつも以上の依存を選択した。

一方、起用を見送られた側の若手はどんな思いだったのか、シェーファーに聞いた。「自分としてはもっと試合に出たかったですし、しっかりプレーできる自信はあります」。そう語ると同時に指揮官の考えを理解し、起用法に納得もしている。

「ルカは完璧にしてから出す流儀です。中途半端な状況で出たら後々に影響も出てくることもあります。そして今は試合がたくさんあるので、チーム練習の中でイチから教えてもらうのは難しいです。ワークアウトでちょっとずつプレーを学んでいる。だいぶ馴染んできましたが、もっとアルバルク流を突き詰めていかないといけないです。ルカは素晴らしいコーチですし、彼の考えを尊重しています」

アメリカで得たのは「今までにないハングリー精神」

1年在学したジョージア工科大を休学。バスケットボール部を去ってA東京と契約し、プロバスケットボール選手のキャリアを開始してから約1カ月が経過した。

「少しずつ慣れました。学校の勉強があるかないか以外は、やっていることは大学時代とそんなに変わりません。逆に打ち込める時間ができました。大学ではちゃんと授業を受けていても、例えば1週間後に大きな課題や試験があると、そこに対しての意識が頭のどこかにあって練習に集中しきれない時もありました。そういう面で今はストレスがたまらない環境ではあります」

そして、ジョージア工科大を離れるという決断をした理由をこう語る。「プレータイムが、アルバルクに入団したほぼすべての理由です。大学1年目にもらえないのはある程度は理解していました。ただ、今年は昨シーズンの先発センターが抜けてプレーできるはずだったのが、そこに編入生が来てプレータイムがもらえなくなってしまいました」

『ウォークオン』と呼ばれる一般入部のシェーファーにとって、大学がスカラシップ(奨学金)で獲得した選手との待遇の差を感じることもあった。「ウォークオンとスカラシップの扱いの差はすごく感じました。実力的に差はないと言われていましたし、実際に練習で対戦して僕の方が活躍したこともありました。ただ、スカラシップというだけでチームも力を入れるので、チャンスをあまりもらえない感じはありました」

NCAAはアマチュアではあるが、アヴィの在籍したジョージア工科大のようなトップカンファレンスに所属する大学の環境は、大半がBリーグのチーム以上に充実している。大学もそれだけチームに投資しており、生存競争の激しさはプロの世界と遜色ない激しさだ。監督も1億円以上の年俸をもらうケースが少なくないし、だからこそ成績を落とせばすぐに解任される。プロバスケ選手になることを目指す学生も、自分に合わないと判断すれば転校するのは一般的で、1年間公式戦に出場できない制約以外は基本的に選手の意向だけで大学を変えることができる。また、短大からの編入も当たり前の世界であり、日本と違って1年生以外の新加入も珍しくない。

こういったコート内外を含めたサバイバルの体験は、シェーファーにとって心身両面で大きな成長をもたらした。「アメリカでの1年間でしっかりトレーニングをして物理的に身体が大きくなりました。身体だけでなくメンタル、考え方も変わってきました。NBAを目指す選手たちと一緒にプレーして、今までにないハングリー精神を感じました。今、NBAでルーキーとして活躍している選手(ジョショ・オコギー、ミネソタ・ティンバーウルブス所属)と一緒にプレーしていたことも刺激になりましたし、自分もその選手と同じところにいたんだという自信にもなっています」

「今はとにかく試合に出たいです」

28日に21歳の誕生日とまだまだ若いシェーファーであるが、本人は「今はとにかく試合に出たいです。ローテーション入りして毎試合、プレータイムをもらえるようになりたい」と力強く語る。この思いの根底にあるのは2020年の東京オリンピックだ。

「来年の夏に帰国するという選択肢もありました。それを早めたのは東京オリンピックの存在です。あらためて時間がないと危機感を感じ、今プロの世界に行ったほうがいいと思いました」

アレックス・カーク、ジャワッド・ウィリアムズ、ミルコ・ビエリツァの外国籍トリオに、日本代表の竹内譲次と、A東京のインサイド陣はリーグ屈指の陣容。そんな百戦錬磨のベテランを前にしてもシェーファーは「今は学ぶことが多く、一歩一歩進んでいるところです。ただ、完全にチームに馴染んだら譲次さん、外国籍選手たちからプレータイムをもぎとる気持ちでいかないといけないです」と語り、良い意味で遠慮はない。

こういったハングリーな若武者は、A東京のような常勝軍団の『新たな刺激』として打ってつけの存在だ。シーズン終盤に向けた王者の逆襲への起爆剤になれるか、シェーファーのここからを楽しみにしたい。