7月15日から17日にかけて各国で開催されたデビスカップ・ワールドグループ準々決勝。「アメリカ対クロアチア」はアメリカ・オレゴン州ポートアイランドのハードコートで行われた。  クロアチアは金曜日にシングルス2試合を落とし、いき…

 7月15日から17日にかけて各国で開催されたデビスカップ・ワールドグループ準々決勝。「アメリカ対クロアチア」はアメリカ・オレゴン州ポートアイランドのハードコートで行われた。 

 クロアチアは金曜日にシングルス2試合を落とし、いきなり劣勢に立たされた。土曜日のダブルスに勝って日曜日のシングルスにつないだが、状況はどう見ても不利だった。ところがクロアチアのキャプテン、ゼリコ・カラヤンは自信に満ちていた。   そして、マリン・チリッチとボルナ・チョリッチのクロアチアのトップ2はその期待に応え、トゥアラティン・ヒルズ・テニスセンターのハードコート上で残る2試合に勝ち、監督の信念を裏付けて見せたのだ。 「彼らが質の高いプレーをもたらしてくれることはわかっていた」とカラヤン。  チリッチはジョン・イズナー(アメリカ)を7-6(9) 6-3 6-4で、チョリッチはジャック・ソック(アメリカ)を6-4 3-6 6-3 6-4で倒した。

 アメリカがデ杯で2勝0敗から逆転負けしたのは、161対戦で4回目のことだ。

 金曜日にアメリカがシングルスで2勝を収めたあと、土曜日のダブルスは、クロアチアのイバン・ドディグとチリッチのペアがアメリカのボブ&マイクのブライアン兄弟を4セットの戦いの末に下し、最終日につないでいた。  「本当に信じられないようなことだ」とカラヤン。「この勝利にショックを受けている、と言っても過言ではない。金曜日を振り返ってみてほしい。0勝2敗の劣勢で土曜日にブライアン兄弟と対戦するという図式は、どう頑張ってもポジティブなものには見えなかった」。

 日曜日の最初の試合、チリッチとイズナーの戦いはスコアが見せるより競ったものだった。チリッチは第1セットの非常に長いタイブレークに勝ち、それから続く2セットでイズナーのサービスを1度ずつ破って勝利をつかんだ。  第1セットは非常にスリルのあるものだった。イズナーは好調で、彼の最初の25本のサービスでチリッチはたった1ポイントしか取れなかった。しかしイズナーはチリッチのサービスを破ることができず、勝負はタイブレークに持ち込まれる。チリッチはタイブレークの後半で、イズナーのサービスからのポイントのいくつかを取ることに成功した。そしてチリッチが11-9とした瞬間に、サイドラインにいたクロアチア陣営が感情を爆発させた。

 「間違いなくタフな役割だったが、精神的に僕は踏ん張った」とチリッチ。「僕はものすごく集中していたんだ」。

 反対にイズナーは、これで明らかに意気消沈した。

 「第1セットは決定的な意味を持っていた。第1セットの僕は間違いなく、自分のほうがいいプレーをしている、自分のほうが上だと感じていた。ところがその努力が結果として実らず、おかげで(精神的)ダメージを受けてしまったんだ。彼は必要なときにいいプレーをしてきた。それが彼に大きな自信を与えたのだと思う」とイズナーは言った。  もっとも、アメリカの監督であるジム・クーリエは、チリッチが第1セットを取ったあとに流れがクロアチアに有利な方向へ傾いたということには同意していない。

 「僕はそんなふうには見ていなかった。第1セットは重要なものとはなり得る…しかし、これらの試合は、ごくわずかな違いで勝負が分かれるものだ。僕らに有利に進んだいくつかのポイントもあり、僕らはがっかりするかわりに笑みを浮かべて、ここに座っていた」とクーリエは言った。

 金曜日の最初の試合で、チリッチはソックから2セットを先取したものの逆転負けを食らった。だが、そのときと違い、この日曜日の試合では気迫を保ち、第3セットの第9ゲームでイズナーのサービスを破って6-4できっちりと試合を終わらせた。

 これでチリッチのイズナーに対する対戦成績は6勝0敗となった。  一方、19歳のチョリッチはクロアチアの頼りになるアンカーとなりつつあるようだ。勝負のかかった試合に勝ってチームに勝利をもたらしたのは、これで今年2度目だ。 「正直に言うけど、僕はこの手の状況が好きなんだ」とチョリッチ。「観客から遠く離れた27番コートとかでプレーするより、こういうほうがずっと好きだね。僕は重大な何かが懸っているビッグな舞台のほうが好きだってことだ」。

 最初の2セットをソックと分け合ったあと、チョリッチはソックのサービスを4度破ることにより、最後に2セットを連取した。チョリッチのパフォーマンスは、金曜日にイズナーにストレート負けしたときよりも格段に上だった。  「僕は(最初の試合より)ずっとリラックスしていた」とチョリッチは言った。「快調にボールを打ち、彼がミスするのを待つのではなく、自分からポイントを奪いにいっていた。受け身のプレーなどできないことはわかっていたんだ。そんなことをすれば、彼はフォアハンドで僕を殺しにくるだろうからね」。   逆に、金曜日に5セットの戦いの末にチリッチを破っていたソックは、日曜日の最後の試合で負けたにも関わらず、快活さを保っていた。  「明らかに僕はチャンスを手にしていたが、それをものにすることができなかった。それがテニスというものだ。あるときは好調にいいショットを連発し、あるときは少しミスをしてしまう。今日の彼は素晴らしい試合をプレーしたと思う」とソック。

 これで、クロアチアのアメリカに対する戦績は4勝0敗となった。

 クロアチアは9月に行われる準決勝で、チェコに3勝1敗で勝ったフランスを母国で迎え撃つことになる。クロアチアが準決勝に進出したのは2009年以来のことで、2005年に一度だけ、優勝を遂げたことがある。  もうひとつの準決勝は、ディフェンディング・チャンピオンのイギリスがアルゼンチンを迎え撃つことになった。(C)AP