昨年のU-18日本代表に2年生で唯一選出された奥川

 2年連続の選抜出場が決まり、笑顔を弾けさせた星稜のエース・奥川恭伸投手(2年)は2019年の始まりへ向け、思いを語った。

「正式に決まってホッとしています。去年もセンバツから始まって良い流れができたので、今年もセンバツで良い流れを作って、いい1年を過ごせたらと思っています」

 奥川の2018年は激動の1年だった。センバツではベスト8入りを果たし、夏の甲子園にも出場したが2回戦で済美(愛媛)との試合で劇的なサヨナラ負けを喫した。直後のU-18アジア大会の日本代表に2年生で唯一選出され、全国レベルの先輩たちの空気を体感。帰郷後の秋季大会では北信越の頂点に立ち、神宮大会ではファイナリストとなった。

「全国の2年生の選手では一番良い経験をさせてもらっている」と林和成監督は話すが、奥川が今年もっともこだわるのは日本一だ。これまで星稜は甲子園では劇的な試合や伝説となる名勝負を何度も経験しているが、試合はいずれも敗れている。「今までは負けて有名になってしまっているので……。今年こそ、勝って記憶に残る試合をしたいです」と語気を強める。

 年末の沖縄合宿で実戦練習をこなして年始の休みに入ったものの、風邪で体調を崩した時期もあった。様子を見ながら調整は何とか進んでいるものの、インフルエンザによる学級閉鎖もあった。だが、自身はいたって元気で「年始から毎日60球くらい投げ込みも出来ていますし、体も問題なく過ごせています」と笑顔を見せる。

優勝候補の一角に挙げられるが「追われる立場だと思ったことはありません」

 そんな奥川を見て「動きも良くて、ボールの質も高い」と小学校4年からバッテリーを組む山瀬慎之助主将(2年)も太鼓判を押す。山瀬自身は昨秋、右手を負傷して思うようなバッティングが出来なかったが「リードで何とか奥川を助けてあげられたら。そのために自分も成長しないといけないです。甲子園はこれで3度目ですが、春夏連覇という目標に向かって頑張っていきたいです」と気を引き締めた。

 奥川は最速150キロのストレートに加え、昨秋は60イニングを投げ82個の三振を奪うなどプロ注目の投手としても注目を浴びる。チームも優勝候補の一角として期待が高いが、奥川をはじめ、チームには浮かれた様子はまったくない。

「追われる立場だと思ったことはありません。自分より上の選手やチームは多いですし、挑戦者という気持ちで戦うことは変わらないです。秋は優勝を目指して戦ってきたのに、最後の最後に悔しい思いをして力不足を実感しました。今年は日本一を目指して戦っていきたいですが、先を見すぎず一戦一戦を全力で戦っていきたいです。勝ちたい気持ちは常に持っていますが、それでもすべて勝てる訳ではないところが勝負の難しさ。甲子園は自分を成長させてくれる素晴らしい場所ですが、去年までの経験を良い方向に持って行けたらいいですね」

 昨年の甲子園で勝つことの難しさは経験している。その1勝、あと1勝へ誰よりも強いこだわりを持つエースは、まずは春の頂を見据え歩みを進めていく。(沢井史 / Fumi Sawai)