禁断の一手なのか、野球人気再興への起爆剤となるのか。 メジャーリーグ機構が2019年シーズンからピッチクロックの導入を…

 禁断の一手なのか、野球人気再興への起爆剤となるのか。

 メジャーリーグ機構が2019年シーズンからピッチクロックの導入を目指していると、複数の米メディアで伝えられている。

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 ピッチクロックとは、投手の投球間の時間を制限するルール。マイナーリーグでは2015年に「20秒ルール」として導入された。投球後、捕手からボールを受け取った投手は、20秒以内に投球動作に入らなければならない。球場内には目立つカウントダウン計が置かれ、明らかに20秒以内に投げなかった場合には1ボールが宣告される。

 メジャーでは選手会の反発があり、これまで導入は見送られてきた。特に投手からは「やりにくい」という声が多い。

 昨季両リーグで規定投球回に達した投手で、最も投球間隔が短かったのは、マイク・フォルテネウィッツ(ブレーブス)で20秒5。この時点で20秒をオーバーしている。

 最も長かったのはジャスティン・バーランダー(アストロズ)で27秒0だった。
 ちなみに日本人大リーガーでは、大谷翔平(エンゼルス)が26秒7、ダルビッシュ有(カブス)が26秒5、田中将大(ヤンキース)と前田健太(ドジャース)はそろって27秒0、平野佳寿(Dバックス)は27秒9。最も遅いのが田澤純一(レッドソックス)で30秒1。逆に最も速い牧田和久(パドレス)は18秒9と、こちらは出色のテンポの良さを誇っている。

 

 投手側の不満としてよく挙がるのは、投球間隔が伸びるのには打者の責任が大きいというもの。打者がタイムを取り、打席を外して素振りをし、狙い球を絞るのに頭をフル回転させる。確かにそうしたシーンはよく見られる。その間もピッチクロックは止まることなく減り続け、結果的に投球間隔が長くなってしまうわけだ。

 そもそもピッチクロックは、試合時間短縮のために考案された。他のスポーツより長い試合時間が、近年人気低迷が叫ばれるメジャーリーグにおいて、人気回復へ必要不可欠と多くの関係者が考えている。

 申告敬遠や、投手コーチや捕手がマウンドへ向かう回数を制限するルールなど、さまざまな手が打たれてきた。
 そのための切り札こそがピッチクロックだった。

 ただそうすることで投手対打者の間が時計に支配される。投球時に静止したまま動かず、じらすことで駆け引きとするタイプの投手も存在する。自分の間で動くことができず、投手対打者の真剣勝負の魅力を削ぐことにもなりかねない。

 日本の野球ファンにとって他人事ではないのは、こうした時短ルールは、1年おくれでメジャーリーグから日本プロ野球へ輸入されるのが慣例だからだ。

 申告敬遠やマウンド訪問回数もそうだった。ピッチクロックも、メジャーリーグで導入されれば、同じ道をたどる可能性は高い。

 メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会による新ルールの話し合いは、例年2月中に一つの合意に達する。導入待ったなしとも言われるピッチクロックの行方は、近い将来の日本プロ野球の姿をも左右しかねない。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]