1月5日に開幕したアジアカップは、1月17日にグループリーグがすべて終了し、ベスト16が出そろった。 4年前にさか…
1月5日に開幕したアジアカップは、1月17日にグループリーグがすべて終了し、ベスト16が出そろった。
4年前にさかのぼると、前回大会までは出場国数が16だったため、4カ国ずつの4組でグループリーグが行なわれ、各組上位2カ国が決勝トーナメントに進出。ベスト8から決勝トーナメントが行なわれていた。
だが、今大会は出場国数が24に増やされたため、4カ国ずつ6組のグループリーグでは、各組1、2位の12カ国に加え、3位の中で成績上位の4カ国も決勝トーナメント進出。負ければ終わりの一発勝負はベスト16から行なわれる。
いわば、前回大会までなら予選を突破できなかった国にも、国際経験の機会を与える形となった今大会だが、はたして、出場国数増が大会にどんな影響を与えているのか。それを検証するため、日本戦のみならず、グループリーグ全体を振り返ってみたい。
今大会のグループリーグは、予選免除の12カ国(W杯ロシア大会の最終予選進出国)がFIFAランク順に、第1、2ポットへ。同様に、予選を勝ち上がってきた12カ国が、第3、4ポットに振り分けられた。
ざっくりとまとめれば、第1、2ポットは、アジアカップの常連。第3、4ポットは、出場国数増によって出場のチャンスを得た国、と考えていいだろう。抽選により、4つのポットから各1カ国ずつが6組に振り分けられ、グループリーグが行なわれた。
では、その結果、グループリーグでどんなことが起こったのかというと、全6組のうち、実に5組で第1、2ポットの国が上位2カ国を占めたのである。加えて言えば、うち3組はグループ内の全順位が、ポット順に決まっている。
唯一の例外と言うべきは、第4ポットながらB組で首位通過を果たしたヨルダンだが、W杯ロシア大会では最終予選に進めなかったとはいえ、その前のブラジル大会では最終予選に進出(そのとき日本も対戦し、アウェーでは負けている)。アジアカップも3大会連続4回目の出場であり、第1、2ポットに近い実績を持つ国だった。それを考えれば、波乱と表現するのは少々大袈裟だろう。
つまりは、第1、2ポットと第3、4ポットの国の間には、番狂わせが起きえないほどの力の差があったということになる。実質的には、「各組3位のうち成績上位の4カ国」という”敗者復活”的な決勝トーナメント進出の枠を、第3、4ポットの国で争う状態になったわけだ。
結果だけではない。内容的に見ても、新鮮な驚きを与えてくれる伏兵の存在は見当たらなかった。
あえて”プチ・サプライズ”を挙げるなら、初戦でタイを4-1という驚異的なスコアで下したインドだが、結局は、その後の2連敗でA組最下位に終わっている。

インドは面白いサッカーを見せていたが...
コンパクトな陣形でまず守備を固め、ボールを奪った瞬間に、素早く動き出す2トップ目がけて、全員が一撃必殺のパスを狙う。そんな徹底して組織化されたカウンターサッカーは、好感が持てたし、見ていて面白かった。タイに勝利したあとのUAE戦でも、敗れはしたが、”あわや”というシーンを何度も作り出した。
しかしながら、ワンパターンの武器だけでは、試合を重ねるごとに対策が進むのは当然のことだった。1回のサプライズを起こすだけならともかく、大会を勝ち上がるには力不足だったと言わざるをえない。
その他、実際に現地で試合を見たなかでも、新鮮な驚きどころか、むしろ失望感を覚えるチームのほうが多かった。
近年育成年代で成果を挙げているベトナムには、少なからず期待を持って見ていたのだが、イランを相手に手も足も出ず。中国にしても、第2ポットに入ったことで組み合わせに恵まれ、順当に勝ち上がったものの、内容的には見るべきものがなく、技術的にも戦術的にも、相も変わらず雑なプレーを繰り返していた。加えて言えば、ベテラン中心のメンバー構成は、明るい未来さえ予感させてはくれなかった。
15年ほど前まで、ディフェンスの最後尾にスイーパーを置き、守備を固めては、クリアまがいのロングボールを蹴るだけのチームがあったことを考えれば、アジアのサッカーはずいぶんと進歩した。だが、底辺は確実に上がってきているとしても、トップレベルのいくつかの国を脅かす国がどれだけ出てきているかと言えば、はなはだ疑問だ。
比較対象を求めるべく3年前を振り返ると、ユーロ2016では今回のアジアカップと同様に、出場国数が前回大会の16から24に増やされた。その結果、ハンガリー、アイスランドがグループリーグでポルトガルを出し抜き、1、2位で突破するなど、それまで大舞台を経験したことがなかった、あるいは、最近遠ざかっていた国が、ちょっとした旋風を巻き起こした。初出場のアイスランドはその後、ベスト8に進出。同じく初出場のウェールズが、ベスト4進出を果たしている。
しかしながら、今回のアジアカップでは、そんなことは起きていないし、この先も起こりそうにない。残念だが、アジアとヨーロッパでは、層の厚さがまるで違う。
もちろん、アジアカップをある種の祭典と捉え、実力が劣る国にも広く門戸を開くことで、大会を盛り上げるという発想はあっていい。実際、今大会を見ても、インドやパレスチナ、フィリピンなどは、集客に大きく貢献していた。
だが、大会の質を上げるという意味で言えば、完全に逆効果。むしろ出場国数を絞り、強豪国同士の対戦を増やしたほうが、試合の質は高まり、出場国にとってもレベルアップにつながるはずだ。それほどに、「強豪国」と「それ以外」では大きな力の差がある。それが、今大会のグループリーグを見ていての印象だ。
「強豪国」を具体的に挙げるとすれば、昨年のW杯に出場した国、すなわち、日本、韓国、オーストラリア、サウジアラビア、イランに、カタール、イラク、ウズベキスタンを加えた8カ国、というところだろうか。枠を少し広めに取っても、UAE、ヨルダンまでだろう。
確かに底上げはなされている。だが、それをすなわち、アジアのレベルアップと称していいのだろうか。一部の国を除けば、世界との距離は、むしろ離れているのではないか。
4年に一度の大会で、力関係に変化が見えないアジアの勢力図を目の当たりにし、正直、ガッカリしている。