敵地セントルイスといえば、熱狂的な野球ファンが多く“ベースボール・タウン”としても知られる街。メジャー通算安打を2994本、史上30人目となる3000本まで残り「6」に迫った背番号51は、敵地3連戦で野球通の観客から送られた惜しみない拍手と…

敵地セントルイスといえば、熱狂的な野球ファンが多く“ベースボール・タウン”としても知られる街。メジャー通算安打を2994本、史上30人目となる3000本まで残り「6」に迫った背番号51は、敵地3連戦で野球通の観客から送られた惜しみない拍手と相手バッテリーの粋な計らいに対して「一生忘れない」と感謝を捧げた。

■エース右腕ウェインライトと捕手モリーナに「彼らを敵として見られない」

 マーリンズのイチロー外野手が17日(日本時間18日)、敵地でのカージナルス戦に「1番・センター」で先発し、今季3度目となる3安打で大活躍を見せた。敵地セントルイスといえば、熱狂的な野球ファンが多く“ベースボール・タウン”としても知られる街。メジャー通算安打を2994本、史上30人目となる3000本まで残り「6」に迫った背番号51は、敵地3連戦で野球通の観客から送られた惜しみない拍手と相手バッテリーの粋な計らいに対して「一生忘れない」と感謝を捧げた。MLB公式サイトが報じている。

 10試合ぶりの先発出場となったこの日、イチローが猛打賞の爆発を見せた。第1打席にカージナルス先発ワカからセンター前安打を放ち、2992安打目を記録。第4打席には、左翼線いっぱいに落ちる技あり二塁打を放って2993本目。とどめは、第5打席に快足を生かした遊撃内野安打を決め、一気にメジャー通算2994安打に到達した。

 第5打席に出塁後は今季8個目の盗塁を決めるなど、三面六臂の活躍を見せたイチローだが、試合後、その口から溢れてきたのは、敵地ブッシュスタジアムのファンと名門チームのバッテリーへの謝辞だった。記事では、通訳を介したイチローの言葉を伝えている。

 「この3連戦は一生忘れないでしょうね。ファン、そして、モリーナとウェインライトがしてくれたこともそうです。セントルイスでなければ、こんな経験できなかったと思います。あんなに皆さんからオベーションをいただいたし、ウェインライトがしてくれたことなんて、もう彼らを敵として見られませんでしたよ。すべて最高の経験でした」

■金字塔到達に加え、念願のプレーオフ進出も?「この勝利は間違いなく大きい」

 15日(同16日)のシリーズ初戦、場内アナウンスで「代打イチロー」が告げられると、敵地は自然と沸いたスタンディングオベーションに包まれた。そして、メジャー30人目の3000本の金字塔に近づくレジェンドへのファンの喝采の時間を少しでも長くするために、捕手ヤディアー・モリーナはプレートの前のゴミを払うようなしぐさを見せながら、ゆっくりと持ち場に戻った。メジャー屈指の名捕手モリーナが見せた、イチローへの敬意に溢れる粋な計らいは、米メディアからも絶賛された。

 翌16日(日本時間17日)の2戦目も先発アダム・ウェインライトがイチローへの尊敬の念を示した。観客からスタンディングオベーションを受ける背番号「51」のために、あえてプレートを外してマウンド後方に立ち、観衆から惜しみない拍手を引き出した。

 3戦目となるこの日も喝采を浴びたイチローは、ファン、モリーナ、そして相手エースによるスタジアム一体の華麗な演出に胸打たれたようだ。

 この日は4打数3安打1四球1得点の大活躍で、打率は.347に上昇。42歳ベテランの活躍もあり、マーリンズは6-3で勝利し、プレーオフの常連・強豪カージナルとの3連戦で2勝を挙げることができた。

 「この勝利は間違いなく大きいですね。勝ち方、そして試合をどうにひっくり返したか。これから終盤に向けて、こういう厳しい試合を戦わなければいけない。序盤にこういう試合で勝てたことはなかったと思う。こういう形で勝てたことは、自分たちにとって大切な経験になりますよね」

 マーリンズはイチローの奮闘で貯金7とし、好調を維持している。イチローは金字塔の到達に加え、2012年以来のプレーオフ出場という最高のシーズンを送れる可能性も見えてきた。