2019年シーズン10大注目ポイント@前編 来たる2019年シーズンのF1は、テクニカルレギュレーションが変わり、昨…
2019年シーズン10大注目ポイント@前編
来たる2019年シーズンのF1は、テクニカルレギュレーションが変わり、昨年から見え始めた混戦模様がさらに激化するだろう。その一方で、フェラーリにはお家騒動が勃発し、レッドブルはホンダとタッグを組むなど、勢力図にも新たな動きが出てくるはずだ。
そして中団グループでも、ルノーがいよいよトップグループ入りを目指して本腰を入れてくる。キミ・ライコネンがアルファロメオ・ザウバーに加入し、ロベルト・クビツァが9年ぶりにF1復帰するなど、今年も話題に事欠かない。
そんな2019年がどんなシーズンになるのか、恒例の10大予想で占ってみよう。

昨年ルイス・ハミルトンは歴代2位タイとなる5度目のF1王者に輝いた
(1)レギュレーションの変更で、オーバーテイクが増加する?
2019年はテクニカルレギュレーションが変更となり、F1マシンのルックスが変化する。
フロントウイングは複雑な造形が禁止され、その代わりに2000mmの車体全幅まで広げることが許されることになった。フロントタイヤ周辺の空力付加物や、コクピット周りのバージボード(※)も面積制限が強化され、リアウイングも大型化される。ともに劇的な変化ではないが、全体的にシンプルでワイドな印象に変わるのだ。
※バージボード=ノーズの横やコクピットの横に取り付けられたエアロパーツ。
レギュレーションが変更される時には、その対応の成否でチーム勢力図は変わるもの。しかしながら、2019年の場合はそれほど大きな変化はないのではないかと言われている。2017年にワイド化された時ほどの大きなインパクトはなく、マシン全体の空力コンセプト自体が大きく変わるわけではないからだ。
となれば、予算も人員も設備も潤沢なトップチームのほうが、よりうまくレギュレーション変更に対応するだろう。さらに「3強」と「その他大勢」の格差が開いてしまう可能性もある。
とはいえ、新レギュレーションの抜け穴を突くような革新的アイデアを見つけ出すことができれば、中団チームにも大バケのチャンスはある。
ただ、斬新なアイデアをコース上で実用化するためには技術力が必要だ。それらの採用にはリスクもあり、リスクテイクをいとわないチーム風土が欠かせない。コンサバ路線のチームには無理な話で、こうしたチャンスに賭けることができるチームは限られている。
なお、新規定はすべてオーバーテイクを増加させるためである。マシンが生み出す気流渦や乱気流を減らし、後続車両に当たる気流を安定させるのが狙いだ。そうすることで、これまで以上に前走車に接近してコーナリングすることができるようになる。ストレートでスリップストリームに入り、次のブレーキングで勝負を仕掛けることができるようになるだろう。
実際に空力的効果は、それほどないのではないかと見られている。だが、そこに新型リアウイングで効果が拡大するDRS(※)を組み合わせることで、少なからずオーバーテイクシーンの増加が見られることは確かだ。
※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。
(2)ルイス・ハミルトンの6冠は開幕早々に当確ランプ?
いきなり2019年シーズンへの期待を削ぐような予想で申し訳ないが、今年のドライバーズチャンピオンの最有力候補は、やはりルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)だ。
昨年の強さを見るかぎり、ハミルトンはドライビング面でも、メンタル面でも、もっとも強く安定している。さらに、ハミルトンをサポートするチーム力もライバルと比べて圧倒的だ。
2017年の後半から始めたヴィーガン生活がフィットしているだけでなく、ニコ・ロズベルグという強敵が姿を消した一方、新加入のバルテリ・ボッタスの実力はハミルトンにまだ及ばない。そんな状況だけに、ハミルトンはチーム内でプレッシャーを感じることなく、生き生きと「外のライバル」たちとの戦いに専念することができるからだ。
ハミルトン最大のライバルでもあるセバスチャン・ベッテルは、フェラーリの組織的な弱さに加え、昨年の中盤戦以降はチーム内の権力闘争にも巻き込まれ、勢いを削ぐ結果となった。その後れを取り戻そうと、焦ってオーバードライブしてミスを犯すという負のスパイラルに陥ってしまった。
さらに今年は、シャルル・ルクレールという若くて活きのいいドライバーをチームメイトに迎え、まずはチーム内での争いを制しなければタイトル争いもままならない。いわば、内憂外患の状態だ。
一方、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は昨年序盤にトラブルと自身のミスでチャンスを失い、さらに僚友ダニエル・リカルドにも先を越されたことで焦りが先行して空回りするレースが続いた。しかし、オーストリアGPで優勝を収めてからは落ち着きを取り戻して本来の速さが戻り、シーズン後半戦はタイヤマネージメント能力をメキメキと伸ばして、決勝で常に上位争いに加わる強さも見せた。
レッドブルがタッグを組むホンダの性能と信頼性によっては、フェルスタッペンがタイトル争いに絡んでくることも十分にあり得るだろう。ただしそのためには、昨年ブラジルGPで犯した周回遅れと接触したようなミスは致命的となる。大きなゴールに辿り着くためには目の前の感情やプライドよりも大切なものがある、ということを学ばなければならない。
そのふたつの条件が揃えば、昨年達成できなかった史上最年少王者記録の更新は果たされる。フェルスタッペンにとっては、2019年がその最後のチャンスだ。
総じていえば、2019年も3強チームによる三つ巴の勢力図が続くのであれば、その中で頭ひとつ抜け出す速さと強さを兼ね備えているのは、やはりハミルトンだ。彼が6度目のタイトルを獲得し、ミハエル・シューマッハの持つ7冠という世界記録にまた一歩近づくことは間違いないだろう。
(3)5年連続王座に君臨するメルセデスAMGの牙城は崩れるのか?
昨年後半戦の強さを見るかぎり、今のF1における最強チームがメルセデスAMGであることに異論を持つ者は少ないはずだ。各サーキットにおける最速マシンでなくとも、ドライバーの腕とエンジニアリング能力、レース戦略などチームの総合力で、彼らはいくつもの勝利を掴み獲ってきた。接戦になればなるほど、そのチームとしての総合力は大きな意味を持ってくる。
一方、フェラーリは昨シーズン後半からお家騒動が続いており、ようやくその決着がついたのは年が明けてからだ。チームの総合力は、メルセデスAMGに比べれば見劣りする。強いカリスマ性が消失し、さらにイタリア色が強くなった今年のフェラーリには、果たして組織的な統率力があるのかどうか。
対して、昨年後半戦は圧倒的な車体性能を誇ったレッドブル。2017年の新規定導入時はスタートでつまずき、メルセデスAMGとフェラーリに差を開けられた。2019年規定でも、メルセデスAMGやフェラーリと比べてレッドブルは不利なのではないかと目されている。それだけに、彼らが新規定に素早く適応してマシン性能の優位性を保てるかどうかはわからない。
2017年はシーズン序盤であっという間に問題を解決するなど、やはりレッドブルの技術力は高い。しかし、今年はドライバーが若手ふたりのコンビということもあり、やや不安も残るだろう。チーム総合力でも、ドライバーラインナップの安定感でも、メルセデスAMGの優位はそう簡単に揺らぎそうにない。
(中編)へ続く>>>