同地区のアストロズを“天敵”としていた日本人右腕は、地元メディアの取材に対して「お返しする番でした」と明かすなど、並々ならぬ意気込みでこの一戦に臨んでいたという。■最近5度の対戦で防御率7.50の相手に快投、「ゲームプランを変える必要があっ…

同地区のアストロズを“天敵”としていた日本人右腕は、地元メディアの取材に対して「お返しする番でした」と明かすなど、並々ならぬ意気込みでこの一戦に臨んでいたという。

■最近5度の対戦で防御率7.50の相手に快投、「ゲームプランを変える必要があった」

 マリナーズの岩隈久志投手が16日(日本時間17日)の本拠地アストロズ戦で7回2安打無失点8奪三振と好投し、今季10勝目(6敗)を挙げた。2年ぶりの2桁勝利でメジャー通算57勝とし、日本人歴代単独3位に浮上。同地区のアストロズを“天敵”としていた日本人右腕は、地元メディアの取材に対して「お返しする番でした」と明かすなど、並々ならぬ意気込みでこの一戦に臨んでいたという。

 後半戦最初の登板で、アストロズ打線をわずか2安打に抑えた岩隈。抜群の制球力でストライク先行の投球を続け、少ない球数で相手打者を料理していった。女房役のスクレとの相性も抜群で、スライダー、スプリットなど変化球の使い方も効果的だった。

 アストロズ戦は今季2試合の登板で0勝2敗、防御率7.20と打ち込まれていた。MLB公式サイトでも、最近5度の対戦で0勝4敗、防御率7.50と散々な成績だったことを紹介。この日の試合後、岩隈は「お返しする番でした。過去何度かうまく攻められていた。それを踏まえてゲームプランを変える必要がありました。スクレはいい仕事をしてくれました。彼は自分の頭の中にはなかった球種も引き出してくれ、それが効果的でした。スクレに賛辞を送りたいですし、良いディフェンスと大きな一打を放ってくれたチーム全体に感謝したいです」と通訳を介して振り返ったという。

 また、スコット・サービス監督は記事の中で「彼は押し引きができていたし、全ての球種を自在に操っていた。高めへの直球というのは、アナリスト達が私と投手コーチに先週進言してくれたんだ。彼がそれを実行すれば、スプリットはより効果的になるし、打者に投球を追わせることができる。彼はストライクゾーンで打者を欺くことができるからね」と投球内容を絶賛している。

■大エース不在のチームで奮闘「自分の仕事の一つ」、指揮官も称賛「彼がいてくれて幸運」

 チームは前半戦最後の7試合で2勝5敗と苦しみ、後半戦初戦となった15日(同16日)のアストロズ戦も3-7で敗れていた。それだけに、わずか1得点に終わったチームを勝利に導いた岩隈の仕事ぶりは光った。

「いい状況にいるとは言えなかった、それは間違いない。彼は我々が誇る最も安定感のある男であり、活力もあり、競争者だ。私にとって大きいのは彼の準備に関してだ。とてもプロフェッショナルだし、しっかりとしたプランを持って試合に挑み、それを実行する力や試合の中で適応することもできる。彼はベテランであり真のプロだ。彼がいてくれて幸運に思うよ」

 指揮官はこのように語っており、右腕に絶大な信頼を寄せていることがうかがえる。

 また、記事では「イワクマはマリナーズがフェリックス・ヘルナンデスとタイワン・ウォーカーの離脱で窮地に立たされていることを認識していた」と指摘。“キング”の異名を持つ大エースと若手のホープが不在となっている先発ローテーションの中で、岩隈にかかる負担は大きい。ただ、本人は責任感を滲ませ、以下のように明かしたという

「それが自分の仕事の一つです。自分は2番手を任されている。キングが不在なので彼の復帰まで辛抱強く耐えていかなければいけない。ひとたび彼が戻ってくれば、自分たちはもっと首尾よく戦っていけるはずだと分かっている。その時まで、自分たちの仕事をこなしていくし、今日は勝つことができて嬉しく思います」

 ワイルドカード争いでは、プレーオフ出場圏内まで4ゲーム差。開幕直後は快調に白星を積み重ねていたマリナーズを再浮上させるために、岩隈の安定感は大きな武器となる。