16日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3戦の公式予選が富士スピードウェイにて行なわれ、今季の新人で、F1マクラーレン・ホンダのリザーブドライバーも務めるストフェル・バンドーンがSF初ポールを獲得した。約1カ月半ぶりのSF実戦日と…
16日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3戦の公式予選が富士スピードウェイにて行なわれ、今季の新人で、F1マクラーレン・ホンダのリザーブドライバーも務めるストフェル・バンドーンがSF初ポールを獲得した。
約1カ月半ぶりのSF実戦日となったこの日、富士は小雨が降ったり止んだりという微妙な天候に終始した。朝のフリー走行、そして午後の3段階ノックアウト公式予選も路面はウエットコンディションに。ただ、予選が進むにつれて路面は回復していく傾向で、そのなかで常に変化する最速の走行ラインを探り合うと同時に、なるべく遅いタイミングでタイムを出すことも狙い合う難しい展開だった。
そんな戦いを制したのが、新人の#41 S.バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)である。しかも彼は富士を走るのが初めてだったのだが、「朝からマシンの調子が良かったので、期待していた」という手応えを見事、結果につなげてみせた。最終のQ3でマークしたポールポジションタイムは1分40秒778。
バンドーンは昨年のGP2シリーズ王者で、F1マクラーレン・ホンダのリザーブドライバーでもあり、既にF1にもデビュー済み(今季バーレーンGPでF.アロンソの代走を務めて10位入賞)。“いまF1(のレギュラーシート)に最も近い男”ともいわれる大器が、その類稀なる対応力を存分に披露した。
富士については「マクラーレンのシミュレーターで10周ほど走った」というバンドーン。富士の現行コースでは07~08年にF1も開催されていたため、マクラーレンにデータがあり、彼がそれを活用できることは充分に予想されたが、それにしても、という凄みを見せつけた格好である。バンドーンの富士評は、「日本のサーキットでは最もヨーロッパのサーキットに近いように思う」。それもリズムを早くつかめた要因か。
明日の決勝日もコンディションが読みにくいが、「どんなコンディションでもそれに適応していくのがドライバーとチームの仕事だと思う」との旨を語り、どこまでも冷静なベルギー出身の24歳バンドーン。開幕戦鈴鹿でいきなり3位表彰台をモノにした彼でもあるだけに、明日の決勝でSF参戦3戦目での初優勝をやってのける可能性もありそうだ。
予選2位は昨年のチャンピオンで、前戦優勝者でもある#1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)。「非常に悔しいです」という第一声をトップ3会見で語った彼を筆頭に、バンドーン以外の18人が逆襲に転じるのもまた、必至である。
予選3~8位は以下の通り。手強いメンバーが並んでおり、優勝争いが一筋縄にバンドーン対石浦とはならない可能性も考えられよう。
3位 #19 J-P.デ.オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)
4位 #65 B.バゲット(NAKAJIMA RACING/ホンダ)
5位 #20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)
6位 #37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)
7位 #36 A.ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)
8位 #64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING/ホンダ)
#8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)はQ2で8位と0.055秒の僅差でQ3進出ならず、予選9位。また、開幕戦優勝者の#16 山本尚貴(TEAM 無限/ホンダ)もQ3には進めず予選14位だった。彼らをはじめ、グリッド中団以降にも実力者は多く、たとえ優勝争いまでは届かなくとも、表彰台や入賞圏内(8位以内)を巡っての各所の争いが激化することは確実。ドライでもウエットでも、決勝レースは面白くなるだろう。
注目の決勝レースは55周、約250kmの戦い。明日(17日)の午後2時過ぎにスタートが切られる予定だ。
#41 バンドーンがSFでの初ポールを獲得した。撮影:遠藤俊幸
予選前、天候と路面の様子をチェックするバンドーン。撮影:遠藤俊幸
予選後、車検場に入った#41 バンドーンのマシン。撮影:遠藤俊幸
予選2位の#1 石浦宏明。撮影:遠藤俊幸
予選3位の#19 オリベイラ。撮影:遠藤俊幸
予選4位の#65 バゲット。撮影:遠藤俊幸
#8 小林可夢偉はQ3進出ならず、予選9位。撮影:遠藤俊幸