第4回は大阪桐蔭高出身バッテリーを特集する。徳山壮磨(スポ1=大阪桐蔭)は、華々しいデビューを飾った昨年の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)から一転、秋季リーグ戦では初めての大きなケガに泣いた。一方の岩本久重(スポ1=大阪桐蔭)も出場…

 第4回は大阪桐蔭高出身バッテリーを特集する。徳山壮磨(スポ1=大阪桐蔭)は、華々しいデビューを飾った昨年の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)から一転、秋季リーグ戦では初めての大きなケガに泣いた。一方の岩本久重(スポ1=大阪桐蔭)も出場機会にはあまり恵まれず、正捕手だった岸本朋也前副将(スポ4=大阪・関大北陽)の背中の大きさを実感した。入部からおよそ1年。二人は何を思い、来るべき時に備え、何を誓うのか。昨秋神宮で活躍できなかった悔しさを胸に、春への意気込みを語る。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「信頼を置いてもらえるピッチャーになりたい」(徳山)


昨秋はケガに苦しみ、登板機会がなかった徳山

――まずはお二人に秋季リーグ戦を振り返っていただきたいです

岩本 秋はなかなかベンチに入れずに、悔しい思いをしたというか。悔しい気持ちを持ってスタンドから見ていたのですが、最後の早慶戦だったりとか、(東京)六大学の試合を見て、色々なものを感じて、まだまだ自分には力がないんだなというのを改めて思いましたし、それと同時にもっとやらないといけないことがたくさん見つかったので、一日一日しっかり頑張っていこうと思っていました。

徳山 自分はケガでこの秋(試合に)出ることができなくて、情けないという気持ちもありましたし、見ていて自分があのマウンドに立って投げてやるという気持ちがすごく湧いてきたというのもあったので。本当に一刻も早くケガを治して次の春に、というのを頭に入れて秋は見ていました。結果的には2位で終わりましたが、自分が加わって春は絶対に優勝したいなと思いました。

――岩本選手にお聞きします。昨秋はベンチの外から試合を見ることが多かったと思いますが、チームの強さや長所、短所といった部分はどのように見ていましたか

岩本 (リーグ戦)前半は競った試合で負けてしまうイメージがあったのですが、試合を重ねていくにつれて終盤の粘りであったりとか、粘って粘って逆転して勝利に結び付ける場面が増えていたので、しぶとさがすごくあるチームだなと思っていました。

――夏季オープン戦では本塁打を放つなど、結果も残されていましたが手応えなどはありましたか

岩本 練習とか練習試合では調子良かったのですが、やはり神宮で結果を出さないと練習でどれだけ良くても意味がないので。大舞台でどれだけ力を出せるかというのが自分の課題でした。

――それはメンタル面でしょうか、技術面でしょうか

岩本 それは両方です。代打での出場が多くなったので、一打席で打たなければいけないという場面の中での一球の集中力というか、次の打席がない状況で結果を出さなければいけないというのが難しいと感じました。

――続いて徳山選手にお聞きします。今の肩の状態はいかがでしょうか

徳山 良くなったり悪くなったりっていうのを繰り返していたのですが、やっと自分でもしっくりきていて来週からはブルペンにも入れることになったのでとてもいい状態できています。

――今の状態としては8割くらいの力で投げられているといったところでしょうか

徳山 そうですね、ほぼそれくらいはできると思います。

――試合で投げられなくなるほどのケガというのは、以前にも経験されたことはありますか

徳山 いえ、初めてです。ここまでケガなしできていたのですが。

――秋季リーグ戦開幕直前対談では、走り込みを中心としたメニューを組んでいらっしゃるとお聞きしましたが、練習はどのように段階を上げていきましたか

徳山 夏は走ったりなどの体づくりが中心でした。今も走ることは続けていて、並行してウエイトトレーニングとかで体幹を鍛えているので体も大きくなってきていい状態だと思います。

――きょうお部屋に入ってこられた時に体格がかなり大きくなっていらっしゃったので驚きました

徳山 そうですね、だいぶ成果が出てきたと思います。

――昨秋は岸本前副将がずっとマスクをかぶっていました。そういった絶対的正捕手の姿を見て、学んだことはありますか

岩本 キャッチャーって、守って打ってということの両立がすごく難しい中で、岸本さんは勝負強いバッティングであったりだとか、打率も残していらっしゃいますし、やはり打つことも大事だなと思いました。正捕手になるためには打たないといけないなと思いました。

――やはり身近に最大の目標といいますか、目指すべき姿があるというのは大きかったでしょうか

岩本 学ぶこともたくさんありましたし、負けずにやっていこうと思えたので、とにかく勉強させてもらいました。

――直接お話される機会も多かったのでしょうか

岩本 結構直接ブルペンでだとか、試合の中でもアドバイスを頂いたり、スローイングや配球のことを試合の終わりには絶対にアドバイスを頂いていたので、とても助かったなと思います。

――そういったアドバイスは、リーグ戦直後にあった東京六大学秋季フレッシュトーナメント(フレッシュトーナメント)で実践する機会が早く訪れたかと思います。フレッシュトーナメントは先発マスクをかぶり続けましたが、いかがでしたか

岩本 結果的には優勝できまし、勝ちに結び付けられるキャッチャーになっていかなければならないと、と思っていました。そのためにはリードすることだけではなくて、打っていかなければならなかったとも思っています。

――打撃でアピールされたいということでしたが、物足りなさが残ったということでしょうか

岩本 長打力というか、一発が怖いバッターにならないといけないと思うので、打率も残しながら長打ももっと打たないとな、と思います。

――オータムフレッシュリーグin静岡ではいかがでしたか

岩本 夏頃からずっとトレーニングをやってきていたのでホームランも打つことができましたし、何かつかんだというか、試合を重ねていく上で感覚的なものがつかめたかなと思います。

――徳山選手は秋季リーグ戦をスタンドから見ることになったと思いますが、どのように見ていらっしゃいましたか

徳山 悔しい気持ちがやっぱり一番大きくて。初めて外から見たのですが、神宮の雰囲気だったり、(他の選手が)中でプレーしているのを見て早く戻りたいと思いましたし、その気持ちだけでずっと練習していました。

――第2先発として西垣雅矢選手(スポ1=兵庫・報徳学園)が活躍されました

徳山 雅矢自身もとても頑張っていて、自分も同級生としてとても応援していましたし、切磋琢磨(せっさたくま)していかなければならないので、お互い春は先発として投げていけたらいいなと思っています。

――故障してから、印象に残っているアドバイスや会話などはありますか

徳山 故障してからトレーナーさんにケアしていただいたり、今フォームの改造をしていて、自分のフォームもまだまだ定まっていなかったので、ケガしたことで一から見直そうということになって、体の回転や軸の回転など細かいところから意識して取り組んでいます。

――フォームの改造に今まで挑戦されたことはありましたか

徳山 ちょこちょこはやっていたのですが、大幅にやったことはなかったので、ケガしたことをいい機会として大幅な変更に取り組むことにしました。

――変えるポイントとしては下半身の使い方になりますか

徳山 そうですね、下半身の使い方になります。

――故障中、新たに得た武器などはありますか

徳山 ストレートが自分の持ち味なのですが、やはり前に投げていた感覚と今投げているストレートでは指にかかる感覚が全く違うので、自分の成長が楽しみな感じで今投げています。

――岩本選手も今うなずいていらっしゃいましたが、実際に受けてみていかがでしょうか

岩本 まだ(徳山選手は)ブルペンには入っていないのですが、キャッチボールとかしていて前の球質よりも強さとかキレとかが増していると思うので楽しみです。ただケガ明けなのが少し怖いなとも思っていて。飛ばし過ぎたらまたケガをしてしまう可能性だってあるので、焦らずに春に向けて調整していってほしいです。

――小宮山悟新監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)について伺います。投手出身の監督となりますが、今までの練習と何か変わったことはありますか

徳山 今のところはありません、継続してやっている感じです。

――個人的に指導されていることはありますか

徳山 まだブルペンに入っていないので。今のところはありません。

――来季からどのような練習になるか予想されていますか

徳山 それも指導を受けていないのでなんとも・・・。始まっていないので分からないので、とにかく自分は目的を一個一個つぶしながらやっていくだけです。特に変わったからといって無理に自分も変わっていかなくていいと思っているので、しっかりやっていこうかなという感じです。

――小島和哉前主将(スポ4=埼玉・浦和学院)が卒業されてしまいますが、現在の投手陣の状況というのはいかがですか

徳山 大黒柱だった小島さんが抜けてしまったことで、今の状況では早川さん(隆久、スポ2=千葉・木更津総合)や今西さん(拓弥、スポ2=広島・広陵)といった先輩が中心となって投げていくと思います。自分たち下級生も投げていかないと勝てないと思うので、自分も来春2年生になりますが、自分が引っ張っていくくらいの気持ちで投げないといけないなと思っています。

――捕手の視点から見て、現在の投手陣はどのように映りますか

岩本 徳山も言っていた通り、元々2年生の先輩や1年生が投げていたので、投げていたメンバーが引っ張っていくことになると思います。今は一人一人に課題があって、それに向けて練習している状態です。球を受けていても、少しずつみんなの状態が上がってきていると思っています。そこに徳山が加わるとさらに良いピッチャー陣ができてくると思うので、とても楽しみです。

――ブルペンでは、小宮山新監督がアドバイスされているかと思いますが、指導を受けた上で変化が見られた選手はいますか

岩本 大きく変わったというのは難しいですが、今までとは違う視点からのアドバイスを受けることで新たな発見というか、気付きに出会っている場面は見ます。

――現在、岩本選手は正捕手争いに身を置いているかと思いますが、現状はいかがでしょうか

岩本 とにかく(背番号)『6番』をつけることを目標としているので、自分の良さをどんどんアピールして小藤さん(翼副将、スポ3=東京・日大三)をはじめとする先輩たちから盗めるものをしっかり盗んでいきたいと思います。

――当面は小藤選手が最大のライバルになるかと思いますが、ご自身と比較してみていかがですか

岩本 小藤さんは特にピッチャー陣からの信頼が厚いと思います。自分も岩本に受けてもらいたいと思ってもらえるような信頼のあるキャッチャーになりたいです。

――それに向けて今取り組んでいることはありますか

岩本 ブルペンでピッチャーとよく話したりして、ピッチャーの課題であったりだとかそういうのはしっかり把握しようとしています。ピッチャーとのコミュニケーションを取って頑張っています。

――現在の投手陣はどなたが軸になっていらっしゃいますか

徳山 早川さんだと思います。

――現段階における投手陣の課題というのはどの部分に当たると思われますか

徳山 基本的ではありますが、やはり投手は真っすぐが良くないと、どれだけ変化球が良くても上ではやっていけないので、この冬の間に自分も含めてストレートのコントロールとキレを伸ばしていって、バッターが差し込まれるようなストレートを目指していった方がいいと思います。

――真っすぐのキレというのはどのような練習で身に付くものなのでしょうか

徳山 自分はキャッチボールを一番大事にしています。キャッチボールを大事にしないピッチャーは絶対に成長しないと思っているので、キャッチボールをどれだけ意識して投げられるかだと思います。

――ここまで多くの投手の名前が挙がったかと思いますが、次期エース争いはどのような様相でしょうか

徳山 エースはまだもう少し先だと思います。でもそれより先に、チームに信頼される投手にならなければいけないので。チームに信頼されないことには、かたちだけではエースになれないので、信頼を置いてもらえるピッチャーになりたいです。

――その中でまもなくブルペンに入るということでしたが、改めて先発へのこだわりというのはいかがでしょうか

徳山 やはり自分には、先発へのこだわりしかないです。

――新体制では上條哲聖選手(商3=東京・早実)が投手リーダーになられたそうですが

徳山 今のところは投手コーチが嵯峨さん(悠希、商3=東京・早大学院)で、投手リーダーが上條さんというかたちでやっています。

――投手陣は上條選手がまとめているのでしょうか

徳山 そうですね、班に分かれて練習しているのですが、その班の3年生リーダーと上條さんとで話したりしていらっしゃいます。

――今出てきた班分けというのはどのようなかたちで決められているのですか

徳山 下級生も上級生も混ぜた上で3年生が決めているので詳しくは分からないです。

――班によってメニューが違ったりするのですか

徳山 メニューは一緒です。班の中でこなしていくといった感じです。

――野手はリーグ戦に出場していた選手もそうではなかった選手も混ざって一緒にやっていると伺ったのですが、バッテリーもそのような感じでしょうか

岩本 そうですね、そんな感じでやっています。

注目ルーキーの後輩は・・・


高校時代からのよしみである仲良しバッテリー

――お互いを選手として評価してみてください

岩本 元々持っているものはとても良くて、珍しくケガをしてそこからもう一つ意識が上がったというか、体の使い方とかも今とてもストイックに取り組んでいて、自分も話をしていると、こういうところを意識しているんだと感心するところもあります。ケガをしたことで今色々なことを勉強していると思うので、これが実を結んでエースになっていってほしいなと自分も望んでいるので、来週から投げるブルペンが自分でも楽しみです。素質はあるし努力もしているので絶対的なエースになってほしいです。

徳山 自分は、久重にはこの体があるんで、もっとホームランをバコバコ打ってほしいです。長打力をもっと見せてほしいなと期待しています。あとキャッチャーとしては、高校の時はケガとかもあってなかなか組めていないので、大学では神宮でお互いが主戦力として、早く一緒にやりたいなと思います。

――やはりバッテリーとして神宮に立ちたいという気持ちは強いのでしょうか

岩本 そうですね。それで日本一になるのが目標なので。

――高校から一緒にいらっしゃいますが、私生活ではこういうところがあるんですよという部分はありますか

岩本 (徳山選手は)部屋がすごくきれいです。

――几帳面ということでしょうか

岩本 たまに部屋に行っても、散らかしたらすごく嫌がるので(笑)。少しめんどくさいなって。

――ちなみに岩本選手のお部屋はいかがでしょうか

岩本 すぐに散らかるんで・・・。意識的に掃除しないとすぐに汚くなります。捨てたくても捨てられないので物がとても多いんです。

――意識的に断捨離しないと

岩本 すぐにたまっていきます。

――徳山選手から見て、岩本選手はどのような方ですか

徳山 久重は・・・。話で笑いに持っていくセンスがあります。ボケとかじゃなくてトーク力があるのでそういうところはすごいなと思います。

岩本 言わんでいいやん(笑)。

――漫才よりひな壇やらせた方が面白いみたいな

徳山 そうです、(頭の)回転が早いんでしょうね。

――徳山選手が思う、きれいな部屋の保ち方はありますか

徳山 保つ・・・。でも例えば洗濯物洗って干して乾かしたら、畳んでしまうっていうのが当たり前じゃないですか。(それをしないと)気が済まないというか、そこら辺にあったらすごいムズムズするんで、使ったら使った後、元の場所に戻せばもうキープできるんで。

――この話題になってから急に耳をそばだてていますね

岩本 いや、部屋着とかをいちいちしまうのが面倒くさくて。だって洗って干してって、明日着るじゃないですか。それやったらしまわんくても、出しておいた方が着やすいじゃないですか。しまわなくてええやんって。だからしまうのすごいなって思います。

――岩本選手は部屋に物が多いとおっしゃっていましたが、徳山選手はいかがですか

徳山 必要最低限ですね。いるもの、いらないものを結構はっきりさせます。

――現在、大阪桐蔭高出身の選手が多く関東の大学に在籍されていますが、集まったりなどされていますか

徳山 1回しか集まってないなぁ。

岩本 日程があまり合わなくて・・・。1回だけか。

徳山 春終わりだけか。

岩本 (春季)リーグ戦後のオフの時ですね。秋も会おうと思ったのですが、なかなか(予定が)合わなくて。年末は集まろうかなと思っています。

――今年度は高校の後輩四人がプロ野球ドラフト会議で指名を受けました。テレビ中継などは見られていましたか

徳山 見ていました!

――指名されていくのを見てどうでしたか

徳山 単純にすごいなと思っていました。あいつらもあいつらで頑張っていて、自分らも大学へ来てこうしてやっているので、3年後はそういったかたちにならないといけないなと思っているので、焦らずにしっかりとやっていきたいと思います。

岩本 ずっと一緒にやってきた仲間だったので、まずはうれしい気持ちがあって。次に3年後は自分もなってやるという気持ちに切り替わりました。今もその刺激を受けています。

――そしてアスリートセンバツ入学試験では、中川卓也選手(スポーツ科学部入学予定=大阪桐蔭)の早大進学が決まりました。進学に当たり、相談されることもあるのでしょうか

徳山 一応考えている中で、ワセダの良さを彼に伝えて、彼自身が決めたので。いい選択をしたのではないかと思います。

岩本 (甲子園)春夏連覇している代のキャプテンで、ジャパン(侍ジャパンU18代表)のキャプテンも務めていたくらいですし、まとめる力は十分にあると思います。下からどんどん押し上げてきてもらって、自分たちも絶対中川の力を借りると思うので、一緒に頑張っていきたいなと思います。

――お二人から見て中川選手はどのような選手ですか

徳山 バッティングセンスがとてもある選手です。守備もそこそこ守れるのですが、本当にバッティングはいいものを持っていると思いますね。

岩本 バッティングは、中川というと一番最初に出てきますが、その中で野球に対する取り組みとかも努力家だと思うので、真面目な野球選手だと思います。

――ちなみにプライベートではどのような人ですか

徳山 基本はおとなしいというか。結構喋りもしますがフレンドリーですね、とても。いい子ですよ。

岩本 クラウドの外に出ればかわいい後輩というか、フレンドリーで。友達のように喋ったりだとかしていました。

――直近でご飯行く予定とかあったりしますか

徳山 来たらいつでも行けるんで。

岩本 今無理して行かなくてもいいかな、みたいな感じです。

――昨年、徳山選手は2月から練習に参加されていましたが、今年の中川選手も同頃の合流予定になりますか

徳山 多分そうなるんだと思います。

――早大での生活のアドバイスなどはされましたか

徳山 一人部屋なので、そういう面では寮は高校の時より楽だというのは伝えて。野球に集中できる環境はとてもあると伝えました。

岩本 1年生は朝が早いんで、生活リズムに早く慣れてもらって、あとは自立した生活を送れるようにと伝えました。

「打力でアピールを」(岩本)


正捕手争いに身を置いている岩本

――小宮山新監督の第一印象を教えてください

岩本 テレビとかでよく見ている人なので、「本物や!」というわけではないですが、オーラがとてもあるなと思います。

徳山 自分もやはりオーラがあると思いましたね。

――新体制になって日は浅いですが、髙橋広前監督(昭52教卒)の体制時と比べて、小宮山新監督の下での練習は異なるところがありますか

岩本 監督が代わった・・・というよりは、代変わりして新チームになったということですかね。下級生からどんどん意見を言えるというか、一方通行の状態ではなく下級生からもしっかり意見を言って、風通しの良い環境をつくろうというのを今やっていて。加藤さん(雅樹主将、社3=東京・早実)を中心として取り組んでいます。

徳山 去年のチームとはまた違う雰囲気があります。3年生の皆さんが去年以前から(試合に)出ていたので、中心となってやってくれているなと思います。

――その雰囲気が変わったというのは、岩本選手がおっしゃった、風通しが良くなったということと関係ありますか

徳山 そうですね。とても考えてやってくれているな、と分かります。

――小宮山新監督はどれくらいの頻度でグラウンドへ

徳山 毎日です。

――正式な就任はまだですが、実質的には指導をされているということですか

岩本 そうですね、朝から晩まで。

――先ほども少しお話が出ましたが、加藤選手が主将に就任、小藤選手と檜村篤史選手(スポ3=千葉・木更津総合)がそれぞれ副将に就かれましたが、それぞれの印象を教えてください

岩本 チームのことを第一に考えて、練習のメニューとか、どうやったら効果が良くなるのか、とても考えながら(やってくれています)。練習の中の指示であったりとかもですね。チームのプラスになるように無駄な時間を過ごさないというか。質の高い練習を目指してはるのを見ていて感じて、自分もそれに付いていこうというか。

――先ほどは風通しが良くなったとおっしゃっていましたが、それは練習メニューなどに要望が反映されるということですか

岩本 それはもちろんありますが、自分はまださすがにそこまで言えません。でも加藤さんが、「グラウンドの中では1年生も3年生も一緒という扱いで、うまくなるんだという気持ちを求めていこう」とおっしゃっていたので、自分も頑張って声出しています。

徳山 小藤さんは、特にバッテリーの間をまとめようとしてくださっていて、ピッチャー全員にアンケートを取ってくださったりとか、より良くしていこうと考えてくださっている印象があります。檜村さんは、自分ピッチャーなので普段の練習中のことは知らない部分もあると思いますが、本当にすごい選手なので背中で引っ張ってくれているんだろうなと思います。

――今お話の中に出てきたアンケートというのはどのように取られたのですか

徳山 小藤さんがピッチャー全員にプリントを配って、「どこを伸ばしたいのか、目的はどうしていきたいのか、とかを全員でまとめて出して」と言われて。それに目を通して小藤さんが、こいつはこういうふうになりたいんだなと見定めるために取られたと思うので、よく考えてくださっているなと思っています。

――そのアンケートは捕手陣で共有されているのでしょうか

岩本 もちろんしていただきました。毎日一人で(投手)全員(の球)を受けることはできないので、違うキャッチャーであってもしっかりと意思疎通できるように、課題を見つけたらまた共有して、みたいな感じでやらせていただいています。小藤さんを筆頭にキャッチャー陣全体でピッチャー陣の状態を把握するようにしています。

――およそ1年間大学でプレーしてみて、嫌な投手だったり打者だったりはいらっしゃいますか

岩本 (高校の)先輩である立大の田中さん(誠也、3年)ですかね。見ていてテンポも良いしコントロールも良いので、ああいうピッチャーを打てるようになっていかないといけないので、そうなりたいです。対戦はまだできていないのですが、来年できたらいいなと思っています。

徳山 自分も田中さん・・・ですかね。自分が高1の時に高3で、ずっと見てきた先輩で、大学でも(リーグが)一緒になって。(早大に)入る前から投げ合いたいなという気持ちだったので、ラストチャンスの来年は春秋と先発として投げ合って、投げ勝ちたいなと思っています。

――徳山選手は昨春に登板機会がありましたが、対戦したくない打者はいますか

徳山 ああ・・・けどいなかったですね。高校の時だったら履正社の安田(尚憲、現千葉ロッテマリーンズ)がいましたが。あの子が一番すごかったので、彼を超えるバッターを大学でまだ見ていないです。

――昨秋は西垣選手をはじめ、他大学でも法大の三浦銀二選手(1年)や、立大の川端健斗選手(1年)、明大の竹田祐選手(1年)など、同い年の選手が多く活躍されていましたが、それを見てどう思われていましたか

岩本 やはりいいピッチャーなので打ち勝たないとな、と思っています。早く対戦して打ちたいと、スタンドから見ていて思いました。

徳山 高校の時は一緒にジャパンとかでもやっていた仲間なので、切磋琢磨(せっさたくま)していかなければならないし、ライバルとして自分も頑張っていきたいなと思います。

――これからは春に向けて冬の練習を積まれると思うのですが、どのように過ごしていきたいと思っていますか

岩本 やはり体づくりというか、基礎からしっかりと固めて、技術的なところもしっかりとレベルアップさせて、最高の状態で春のリーグに入りたいと思います。

徳山 体づくりという面では自分も同じで、これ以上ケガを悪くしてはいけないので。毎日のケアやトレーニングの積み重ねが大事なので、ベストな状態で春を迎えたいです。

――来季、優勝を目指す上でキーマンとなる選手はどなただと思いますか

岩本 加藤さんかなと思います。秋はなかなか結果が出ず、苦しかったと思いますが、人一倍バットを振っていて、自主練とかもやっている姿を見てきたので。こういう人が結果を出して、チームを引っ張ってくださるんだろうなと思っています。自分もああいうひたむきな努力を見習わなければならないなと思いますし、ずっと4番を打っていらっしゃったので必ず結果を出してくださると思っています。

徳山 自分は吉澤さん(一翔、スポ2=大阪桐蔭)ですかね。秋は出られなかったこともありましたが、バッターだったら持っているものはトップだと見ていて思うので。あの人が中軸を打てば、必ず打線はぐっと上がると思います。吉澤さんはとても努力される方なので頑張ってほしいです。

――お二人は来春に向けてどのような点をアピールしていきたいですか

岩本 自分は打力です。徳山もホームランをどんどん打ってほしいって言ってくれているので、そういうバッターになりたいです。

徳山 まずはケガする前よりも成長して帰ってくるというのが目標です。そして徳山がいないとチーム勝てないなと言ってもらえるような選手になりたいです。

――では最後に春への目標をお願いします

岩本 まず、スタメンで出るというのが目標です。その中でフルで出場できるキャッチャーになりたいです。

徳山 自分は第1先発です。そこを目標に頑張りたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 柴田侑佳、森迫雄介)


大阪桐蔭高出身バッテリー、ぜひまた神宮の舞台で組んでほしいです!

◆徳山壮磨(とくやま・そうま)(※写真左)

1999年(平11)6月6日生まれ。183センチ、82キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部1年。投手。右投右打。フォームの改造に着手されているという徳山選手。焦らず、じっくりと来るべきシーズンへ向けて調整を行う。

◆岩本久重(いわもと・ひさしげ)

1999年(平11)4月21日生まれ。182センチ、90キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部1年。捕手。右投右打。徳山選手も期待を寄せる長打力をアピールし、正捕手の座を勝ち取ることはできるか。