2018年11月24日から25日に行われた全日本選抜に、立大からは松山雛子(社2)と渡邉瑠(済3)が出場した。松山は総合6位、渡邉は総合3位のW入賞を決め、共に1月12日から始まる全日本選手権(※1)への切符を勝ち取った。


全日本選抜のレースで先頭に着き、他選手をリードする松山

見据える先は「全日本」

着々と戦績を向上させ、常に上を見据えている選手がいる。「(次の目標は)全日本選手権で代表入りするくらいの実力をつけること」。全日本選抜終了後、松山の口から強気の言葉が飛び出した。柔らかい雰囲気をもつ彼女だが、その発言からは強固なアスリート精神が垣間見えた。全日本選抜の次に控える全日本選手権は、2度目の挑戦となる。
シーズンの初戦である18年10月の全日本距離別では、女子1500メートルで自身初のA決勝進出を決めて堂々の5位入賞。平昌オリンピック出場の菊池純礼(トヨタ自動車)などを抑え、“立教大学・松山雛子”の名前が日本のトップ選手たちに続いた。滑り出しの勢いをそのままに、東日本でも総合3位と好成績をマーク。11月には選考会を経て、ユニバーシアードの補欠1番に選出されるまでになった。ジュニア時代からの目標の一つである“大学生のオリンピック”で戦う日も遠い未来の話ではない。

こうした好調について尋ねると、「だんだん上がって来てはいると思うので、一番大きな全日本選手権でベストを出せるようにしたいです」とニコリ。いつもより満足げな表情からは彼女自身の手ごたえを、繰り返し出る「全日本選手権」の言葉からは、懸ける思いの強さを感じることができた。


試合までの間、落ち着いた表情でブレードを磨く

「血を吐くんじゃないかって」
彼女の成長を加速させたものは何か。そのヒントはオフシーズンにあった。「夏休みは2週間、その前も2週間ほど韓国に行きました」。ショートトラック選手は、スケート大国・韓国へ渡ることが多く、松山もそのうちの一人だった。環境が整っており、特に練習メニュー(特に陸上トレーニング)が日本より充実しているのだという。長距離の走り込み、フォーム動作でのトレーニング、スタジアムの階段上り下りをダッシュで周回…。身を削るような陸上トレーニング後にやっと練習が始まる。「練習は厳しいか」と軽い気持ちで尋ねると、「厳しいです。血を吐くんじゃないかってレベルで。多分、記者さんが想像つかないくらい厳しいです」と言い切った。
一方国内では、JISS(国立スポーツ科学センター)を積極的に活用した(※2)。はじめはおもりのないバー20キロから始まった筋力トレーニングも、今ではスクワット10回を60キロで行うほどの力をつけた。韓国とJISS、氷上を離れたところでのぬかりのない努力が、彼女の今を作っているのだ。

勝てるレースへ。松山自身の“攻め”に磨きがかかる。様々な試合を経験した彼女が試合後に口にしたのは、「自身の思い描いたプレーを実行すること」。1月12日からの2日間、氷上のヒロインが自己最高記録を刻む。(1月11日・𠮷岡麻綾)

※1全日本選手権とは
ショートトラック競技の国内大会で最も大きな大会。全日本選抜選手権(東日本選手権または西日本選手権に上位入賞したのち参加できる大会)で上位入賞した選手、またはW杯派遣経験選手のみが参加資格を得る。10月に行われた全日本距離別選手権と合わせ、次の世界大会(世界選手権、W杯)派遣選手の選考対象にもなっている。

※2JISSとは
東京都北区にある、スポーツ医・科学研究推進の中枢機関で、最新のトレーニング施設を備える。ショートトラックでは、ナショナル強化選手がJISSを利用する権限を与えられる。松山はナショナル強化B選手、渡邉はナショナル強化選手A。