全日本学生選手権(インカレ)2日目。早大からは、女子7.8級ショートプログラム(SP)に中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)、永井優香(社2=東京・駒場学園)、山野井英未(国教4=千葉・渋谷教育幕張)の三名が出場。それぞれが会心の出来とはいかなかったが、持ち味を生かした滑りで存在感を光らせた。

先陣を切ったのは全体で3番目の滑走となった中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)。「Time to say goodbye」の感動的な調べにのせて、情感豊かに滑り出した。たっぷりとした音楽を大きな動きで拾い、しっとりとした雰囲気を作り上げる。はじめのトリプルトーループの着氷に乱れが出たため予定していた連続ジャンプに繋げることが叶わなかったが、焦りをあらわにすることなく演技に集中した。続くトリプルサルコウにダブルトーループをつけてミスをすぐにリカバリーすると、優しげな表情で演技にさらなる深みを与えた。全身で音を表現する丁寧な踊りで観客を魅了しながらも、持ち味であるスピンの安定した回転とよく練られた美しいポジションで着実にポイントを重ねる。繊細な中に熱い想いを込めて滑りあげたステップでは、鋭いジャンプなどのキレのある動きとひと蹴りがよく伸びる柔らかなスケーティングを見事に調和させた。最後のジャンプであるダブルアクセルは会心の出来とはならなかったが、明るい表情で演技を終えた。 練習から演技終了までを清々しい笑顔で滑り切った今回の演技で、幸先よく明日のフリースケーティング(FS)出場を決めた。


情感豊かにステップを踏む中塩

(記事 犬飼朋花、写真 青柳香穂)

 続く永井優香(社2=東京・駒場学園)は、直前練習でジャンプを入念に確認して本番に挑んだ。「リバーダンス」の曲がかかると会場全体が賑やかな空気から一変し、永井の演技に引き込まれていく。冒頭のトリプルルッツーダブルトーループの連続ジャンプは難しい組み合わせであるが、どちらもしっかりと高さを出してダイナミックに決めた。観客を盛り上げるポイントとなる踊りでは、響き渡る手拍子に後押しされながらひとつひとつの音にはまった力強い振り付けを披露した。随所に散りばめられたスピンの、洗練されたポジションが氷上によく映える。ダブルアクセルを美しく着氷すると、流れに乗って表現は勢いを増した。最後のトリプルループが抜けて1回転になったが、それを忘れさせるようなステップで観客の心をつかんだ。軽やかなスケーティングと上半身の大きな動きで、終盤に向けて盛り上がる音楽を体現する。回転の早いスピンで締めくくり、音に合った鋭い動きでフィニッシュポーズをとった。 先日の全日本選手権ではジャンプに苦しんだ永井。今大会の結果は、スケートに対する真摯な気持ちときちんとした調整力を物語っている。体調が万全ではない中挑んだ演技ではあったが、中塩に続いて無事FSへと駒を進めた。


洗練されたスケーティングで魅せる永井

(記事 犬飼朋花、写真 青柳香穂)

 最後に登場したのは山野井英未(国教4=千葉・渋谷教育幕張)。「2年4,5ヶ月休んでいて、復帰して今1ヶ月半くらい」との言葉にもあるように久しぶりの試合であったが、その空白を感じさせない貫禄の滑りを披露した。曲は「黒い瞳」。落ち着いて演技をスタートさせると、力強い曲調をうまく表現した振り付けで魅せた。「ちょっと形になりました」と語るトリプルサルコウに果敢に挑戦したが、うまく曲に入らず「悔しい」と振り返る。しかし、持ち直してダブルトーループをつけて連続ジャンプを完成させた。続くトリプルトーループで両手をついたが、転倒することなくこらえて繊細な振り付けで会場の注目を集めた。足をまっすぐに上げるなど柔軟性を生かしたスピンでは、回転速度を保ったまま複雑なポジションをスムーズに入れ替える高い技術力を見せた。最後に迎えたダブルアクセルは両足着氷となったが、磨き上げた表現力で演技の流れを切らさない。ねじりを加えた女性らしい動きで、艶やかにステップを踏んだ。曲調の変化もメリハリをつけて表現し、レベルの高いビールマンスピンで演技を終えた。 惜しくもFS進出を逃したが、「私はスケートやってる方が自分らしいな」と復帰を決めた最後の競技会でしっかりと輝きを放った。残る1つの舞台を胸に、最後まで美しく滑り続ける。


曲調をとらえ豊かに表現する山野井

(記事 犬飼朋花、写真 青柳香穂)

結果

▽女子7.8級SP

中塩美悠 14位 48.45点

永井優香 10位 50.13点

山野井英未 35位 30.99点

コメント

山野井英未(国教4=千葉・渋谷教育幕張)

――きょうのジャンプを振り返っていかがでしたか

私は2年4,5ヶ月休んでいて、復帰して今1ヶ月半くらいなんですけど、やっと元旦くらいにダブルアクセルが完全に降りれるようになって、サルコーとトーループがちょっと形になりました。でも本番で曲に入らなくて、簡単に言うと悔しいです。

――スピンはいかがでしたか

コンビネーションスピンと最後のスピンは良くできたかなと思います。でもフライングキャメルがちょっとアクセルで失敗して、タイミングが崩れてしまって上手く回れなかったです。

――表現面はいかがでしたか

表現面に関しては3年ぶりの全国大会で緊張してたんですけど、全力で踊れたかなと思います。

――復帰の経緯はどのようなものだったのでしょうか

わたしがそもそも引退したのは留学がきっかけでその後は就活とかインターンとかで忙しくなって、将来はフィギュアスケートじゃない広告系のお仕事をするようになったのでそれに専念することになりました。それで復帰することになったきっかけは、東インカレに応援しに行ったときに早稲田がシード枠あるという話で、あと1ヶ月ちょっとだけど出てみないと言われて、そこからずっと休んでいたスケートですけど、滑りに行き始めました。滑っているうちにまたトリプルとか跳びたいなと思って、プライドは捨てることになるけど、もう一回舞台に立てる機会をいただいたので、これはチャンスかなと思って結果気にせずやってみようということで始めました。それと就職先が6月に決まってそこから旅行したりとか始めてアルバイトしたりとか新しいこと挑戦していて、ちょっと何か物足りないなと思ったときにちょうどそのスケートの話を聞いて。やっぱり私はスケートやってる方が自分らしいなと思って復帰したという事もあります。

――今後はどのような予定でしょうか

今後は試合としては多分きょうが最後になります。フェスティバルという発表会が千葉のアクアリンクで2月にあって、そこでは最後になるので新しい曲を自分で振り付けてプログラムを披露しようと思っています。