やっと、やっと。長いトンネルをようやく抜けた。 テニスの2019年ツアー開幕戦となるブリスベン国際は男子シングルス決勝が6日、オーストラリアで行われ、世界9位の錦織圭(29=日清食品)が、16年2月のメンフィスオープン以来、約3年ぶりにツ…

 やっと、やっと。長いトンネルをようやく抜けた。

 テニスの2019年ツアー開幕戦となるブリスベン国際は男子シングルス決勝が6日、オーストラリアで行われ、世界9位の錦織圭(29=日清食品)が、16年2月のメンフィスオープン以来、約3年ぶりにツアー優勝を飾った。同16位のダニル・メドベージェフ(22=ロシア)を2-1で下し、ツアー通算12勝目。開幕戦の優勝も初めてで、14日から始まる全豪オープンへ最高のスタートを切った。

 

(c)GettyImages

 

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粘り強い錦織の真骨頂

 

 ツアー大会シングルス決勝は9連敗中の「鬼門」だった。一部では「錦織はもう終わった」とも言われた。鮮やかなパッシングショットで試合を決めた錦織は、両手の拳を高々と上げた。「最高にハッピー。やっとここでタイトルがとれた」。忘れかけていた勝利の味をかみしめ、安堵の笑みがこぼれた。

 相手は昨年10月の楽天オープン決勝で敗れた22歳メドベージェフ。長身で若さあふれる直線的な弾道に苦しみ、いきなり3ゲームを先取された。だが、ここから得意のストロークで巻き返し2度ブレークするなど5ゲームを連取して逆転。第2セットは落としたが、第3セットは積極的に攻め、相手ミスも誘って3ゲームをブレーク。いら立ったメドベージェフが、何度もラケットをコートにたたきつけて悔しがる。粘り強い錦織の真骨頂だった。

 「タフな試合だった。スタートが良くなかったのに、自分のテニスを取り戻せた。2セット目でチャンスがありながら落とした。どうしたらいいかという気持ちもあったが、3セット目で修正できた。後半からリスクを背負いながら、思い切っていけた。去年はケガをしていたので、ここまで回復できてうれしい」

別人「ニュー錦織」

 故障に苦しんだ1年前とは別人のようだった。17年8月に右手首の腱(けん)を脱臼。原因は、手首に負担の大きいサーブにあった。長期離脱する間、フォーム改造に着手。ケガの再発防止を最優先に考え、体のひねりや腕のしなりを生かした新サーブをひっさげて18年1月にツアー復帰。一時は39位まで落ちた世界ランキングを9位にまで上げ「痛みが出なかったのは、今までなかったこと」と試合を重ねるごとに自信を深め、つかんだ12度目の優勝だった。

 1週間後に控える全豪オープンにも弾みがついた。「これ以上ないスタート。プレー内容が良く、とてもいい準備ができた。去年の終盤から最高のテニスができているし、今週のようなプレーができれば(全豪でも)上位にいける」ときっぱり。

 ケガの不安なく、決勝の「呪縛」からも解き放たれた「ニュー錦織」が完全復活を予感させた。

◆錦織のツアー決勝記録
(順位は当時世界ランク)

16年
04月マイアミOP
錦織(第6シード、6位)
●3-6、3-6
ジョコビッチ(セルビア、第1シード、1位)

04月バルセロナOP
錦織(第2シード、6位)
●4-6、5-7
ナダル(スペイン、第1シード、5位)

07月ロジャーズ杯
錦織(第3シード、6位)
●3-6、5-7
ジョコビッチ(第1シード、1位)

10月スイス室内
錦織(第3シード、5位)
●1-6、6-7
チリッチ(クロアチア、第4シード、12位)

17年
01月ブリスベン国際
錦織(第3シード、5位)
●2-6、6-2、3-6
ディミトロフ(ブルガリア、第7シード、17位)

02月アルゼンチンOP
錦織(第1シード、5位)
●6-7、4-6
ドルゴポロフ(ウクライナ、ノーシード、66位)

18年
04月モンテカルロM
錦織(ノーシード、36位)
●3-6、2-6
ナダル(第1シード、1位)

10月楽天ジャパンOP
錦織(第3シード、12位)
●2-6、4-6
メドベージェフ(ロシア、ノーシード、32位)

10月エルステバンクOP
錦織(第5シード、11位)
●3-6、6-7
アンダーソン(南アフリカ、第2シード、8位)

19年
01月ブリスベン国際
錦織(第2シード、9位)
○6-4、3-6、6-2
メドベージェフ(第4シード、16位)

OP=オープン
M=マスターズ

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]