「十年一昔」といいます。時代の流れが速すぎる現代において、10年は遠い過去ともいえます。そんな中、今季から三度目の指揮…

 「十年一昔」といいます。時代の流れが速すぎる現代において、10年は遠い過去ともいえます。そんな中、今季から三度目の指揮を執るジャイアンツ・原辰徳監督の「第2回WBC補強」ともいうべき策が論議を巻き起こしています。

 2009年のWBCで世界一に上り詰めた際、活躍した岩隈久志投手や中島宏之内野手をこのオフにジャイアンツへと招き入れたのですが、お世辞にも二人ともパフォーマンスは全盛期のそれではありません。ベテランに厳しいイメージがあり、功労者の内海哲也投手を西武へのプロテクト名簿から外した指揮官が、なぜこの二人を依然として高評価しているのか。

 それはやはり、第2回WBCでの信頼関係が根底にあると推察するのが自然と言えるでしょう。

 
 「日本中が野球で一つになった最後の瞬間」とも呼ばれるあの大会のトピックスを、もう一度振り返ってみましょう。

 

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中日勢、みんなで辞退

 第2回WBCが順風満帆での世界一だったら、こんなに盛り上がりません。だいたいチーム編成から原監督は困難を強いられました。立ちはだかったのはライバルの中日・落合監督です。

 日本代表候補に挙がった中日の岩瀬、和田、森野、浅尾、高橋の5選手が出場辞退を表明。落合監督はあくまで「個人の意思」としましたが、事実上の「ボイコット」にも映る行動には賛否両論の声が巻き起こりました。

高視聴率にテレビ局はウハウハ

 

 東京ドームでの1次ラウンドはテレビ朝日が独占中継。3月5日の開幕戦・中国戦は28・2%でしたが、7回コールドで勝利して2次ラウンド進出を決めた7日の韓国戦は37・8%。0-1で競り負け、2位通過となった9日の韓国戦も33・6%と、高視聴率にメディア関係者は驚きの声を挙げました。

 米国入りしてからの2次ラウンドはTBSの独占放送となりましたが、注目度はさらに増すばかり。2次ラウンド1位通過を決めた韓国戦の平均視聴率が40・1%、瞬間最高48・1%と怒濤の40%超えを成し遂げました。

 決勝の韓国戦も平日の昼間にもかかわらず平均36・4%、9回に追いつかれた場面では瞬間最高45・6%と、外回りの営業マンはみんな喫茶店のテレビかガラケーのワンセグでくぎ付けになっていたことは容易に想像できます。

 繰り返し聴くことになった、TBSの日本代表テーマ曲であるジャーニーの「セパレイト・ウェイズ」が頭からこびりついて離れなくなった方々も多いことでしょう。

 ちなみにこの曲、恋人との別れを歌っていて、全く野球とも国際試合とも関係ないんですがね…。

ナカジの笑顔に女性ファン急増

 前年、渡辺久信監督が就任1年目の西武を日本一に導いた立役者の中島でしたが、日本代表では攻撃的な2番打者を務めました。

 常時30%を超える視聴率をたたき出したということは、普段野球の試合を見ないライトな層も観戦するということ。そして、女性を中心にナカジ人気が爆発します。

 大会後の西武ドームには中島や片岡易之(現・治大)らイケメン目当ての女性ファンが押し寄せるようになり、雰囲気が大きく変わることになります。日本代表で自身のブランド力を高め、所属チームに還元した好例と言えるかもしれません。

何試合やるんだ日韓戦

 運営方式が複雑なこともありますが、この大会だけで宿敵・韓国とは5試合を戦いました。決勝は2勝2敗で迎えただけに、両国の国民はともにエキサイト。ドジャー・スタジアムには5万4000人もの大観衆が訪れることになります。

 そして不振のイチローが延長10回に2点打を放ち、侍ジャパンが2連覇という日本にとっては最高のハッピーエンドを迎えます。

 4月1日には麻生太郎首相が韓国の李明博大統領(ともに当時)と会談し、李大統領がWBCでの日本の連覇を祝福する一幕もありました。麻生首相が「3勝2敗で勝たせてもらいました」と笑顔で語りかけ、李大統領もガッチリ握手。今でも常にバチバチな日韓関係ですが、試合前と試合中はヒートアップし、終わってからはノーサイドにできるなら、野球はまさに平和の象徴と言えるでしょう。

イチローが胃潰瘍に

 決勝では日本中を狂喜乱舞させたイチローでしたが、不振の中で重圧は大きかったのでしょう。公式戦開幕を目前に体調を崩し、胃潰瘍のためメジャー9年目で初めてDL入り。開幕から8試合を欠場しました。

 しかしこの年の背番号51は輝きを放ち続けます。4月16日に張本勲の日本プロ野球記録を超える日米通算3085安打をマーク。9月にはメジャー史上初の9年連続200安打を達成するのです。

 そんな天才安打製造機も体調を崩したわけですから、国際大会のプレッシャーがいかに過酷であるかが分かりますね。

 他にも「クローザー・ダルビッシュ」や「ノムさんVS城島、場外舌戦バトル」など見所満載だったこの大会。原監督にとっても名将の仲間入りをする思い出深い大会だったようです。そしてこの年、勢いのままに原巨人は日本一に躍り出ます。

 あれから10年。岩隈や中島は原監督の胴上げに貢献することができるでしょうか。注目しましょう。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]