12月30日に行なわれたプレミアリーグ第20節のマンチェスター・シティ戦で、サウサンプトンのDF吉田麻也に出番は訪れなかった。 ラルフ・ハーゼンヒュットル新監督のもと、国内リーグ戦で3試合連続の先発出場を果たした吉田だが、この日はベン…
12月30日に行なわれたプレミアリーグ第20節のマンチェスター・シティ戦で、サウサンプトンのDF吉田麻也に出番は訪れなかった。
ラルフ・ハーゼンヒュットル新監督のもと、国内リーグ戦で3試合連続の先発出場を果たした吉田だが、この日はベンチスタートにまわった。その理由を、51歳のオーストリア人指揮官は次のように説明した。
ローテーション制が採用されて第20節は温存された吉田麻也
「今日の狙いは、(1月2日の)チェルシー戦に向けて選手をリフレッシュさせることだった。(FWダニー・)イングスや(MFスチュワート・)アームストロングは戻ってくるし、麻也やヤニク(・ヴェステルゴー)も前節のウェストハム戦で疲弊していた。だから、今日のシティ戦で起用しなかった。
彼らにはまたチャンスが与えられるはずで、フォーメーションもこれまでのものに戻るかもしれない。(スカッド内の)若手の数も少なくなるだろう。ただ若手にとっては、シティのような世界でもトップクラスのチームと戦えて、いい経験になったはずだ」
現在、プレミアリーグは年末年始の過密日程の真っ只中にある。サウサンプトンは12月27日にウェストハム・ユナイテッドと戦い、中2日で今回のマンチェスター・C戦に臨んだ。さらに中2日の強行日程で、チェルシーとの一戦(1月2日)に挑む。
そのため、ハーゼンヒュットル監督は、マンチェスター・C戦でローテーション制を採用し、前節のウエストハム戦から7名も先発を入れ替えた。要するに、吉田は次戦に向けて温存された格好だ。
肝心の試合は、優勝争いを演じているマンチェスター・Cのペースで進んだ。
マンチェスター・Cが開始10分の早い時間に先制するも、サウサンプトンも最終ラインのパス回しをかっさらい、同点ゴールを奪うことに成功した。しかし、前半終了間際に地力でまさるマンチェスター・Cが2点を加えて勝負を決めた。
後半のマンチェスター・Cは、完全に省エネモード。かといって、サウサンプトンに反撃のチャンスはなく、3−1でマンチェスター・Cの勝利に終わった。
ただし、ハーゼンヒュットル監督のもとで「チーム改革」が進行中のサウサンプトンとしては、強豪相手の敗戦を悲観する必要はないだろう。
今シーズンの目標は、あくまでもプレミアリーグ残留。同時に、長期的なビジョンに立ち、新監督の戦術を浸透させていく必要がある。あまりに無策すぎたマーク・ヒューズ前監督時代の絶望感を払拭し、地に足をつけて一歩一歩進んでいきたいところだ。
その一環として、ハーゼンヒュットル監督は、選手全員と個別ミーティングを行なっているという。選手たちから意見を聞き、自分の考えをぶつける――。こうした監督の姿勢を、吉田は「僕は好きです」と語る。「熱意のある人で、生き生きしている。チームもいい雰囲気になった」と、好印象を抱いているようだ。
各選手との話し合いは15分程度だったが、吉田との個別ミーティングは30分にも及んだという。そのなかで話題のひとつに上がったのが、1月から始まる「アジアカップ」だった。
1月2日に行なわれるチェルシー戦後に、吉田は英国を離れて日本代表に合流する。チームの基盤固めを行なっているハーゼンヒュットル監督と、レギュラーの座を確かなものにしたい吉田の双方にとって、シーズン真っ最中に行なわれるアジアカップのタイミングは非常に悩ましいところだ。
アジアカップの決勝が行なわれるのは2月1日。最長で約1カ月強もチームを離脱するだけに、「(アジアカップについて)監督はぶつくさ、ぶつくさ言っている」(吉田)という。
しかし、こればかりはレギュレーションなので仕方がない。シーズンオフに行なうとなれば、とくに中東開催は酷暑がネックで、こちらも現実的ではないだろう。
代表のキャプテンとして臨むそのアジアカップについて、吉田は次のように語った。
「多くの選手が、『目標は優勝』と公言しています。もちろん、その気持ちを守ることも大事ですけど、簡単に勝たせてくれる相手ばかりじゃないので、ひとつひとつ勝っていかないといけない。その難しさは僕もひしひしと感じているので、手堅く、手堅く戦っていきたい。
もちろん、そのなかでチームが成長していかないといけない。何よりも、『アジアカップを取り返す』というのが一番のポイントになります。そして、みなさんに期待されているなかで、結果を出すという違ったプレッシャーのなかで戦うことも、ポイントになるかなと思います」
吉田にとって、30日のマンチェスター・C戦は2018年最後の公式戦でもあった。2018年を振り返ると、サウサンプトンの残留争い、W杯ロシア大会、シーズン序盤のスタメン落ち、ヒューズ監督の解任と、揺れに揺れた1年になった。そんな激動の1年を、吉田は次のように振り返る。
「最終的に(サウサンプトンで先発レギュラーに)返り咲くというのを繰り返している。今回も、そうなればいいなと思います。返り咲く必要がなく、ずっとレギュラーでいられたらいいんですけどね。
目まぐるしく、いろいろと変わったなと思います。ただ、大事なのは過去ではなく、今なので。これから、このチームで自分が居場所を見つけられるか、結果を出せるかだと思う。もう1試合ここで集中して、アジアカップに行きたいと思います。そして、アジアカップでまたいいスタートを切って、いい1年にしたいです」
アジアカップ後のサウサンプトンでの立ち位置を確かなものにするためにも、まずはチェルシー戦で盤石な守備を披露し、最大限のアピールをしたいところだ。