昨年6区で区間賞を獲得した小野田勇次は、今年も安定を走りを見せるか

 12月29日に発表された、第95回箱根駅伝の区間エントリー。絶対的な優勝候補である青山学院大は、東洋大の酒井俊之監督が「青学大は復路の選手層が一番厚いと予想されるので、そう考えた場合は7区と8区で勝負を決めてくる戦術で来るのではないかと思います」と話していたように、復路勝負を狙う布陣だ。

 だからといって往路を手薄にしたというわけではない。1区に5000mチームトップの13分37秒75を持ち、出雲駅伝1区で区間賞を獲得、全日本は2区を走っていた橋詰大慧(4年)をエントリーしたのは、ある意味勝負にいっていると考えることもできる。

 橋詰は、箱根は初出場だが、11月に1万mで今年チーム2位の28分28秒08を出しているスピードランナーだ。その点では区間賞獲得も視野に入れ、絶対に外さない走りをすると期待しての起用だろう。

 2区エントリーの梶谷瑠哉(4年)は、これまで箱根で1区と4区を走っている選手。全日本では最長区間の8区に起用されて、区間賞の相澤晃(東洋大・3年)に21秒差の区間3位で走っている。前回も地力が必要な4区を堅実に走っているだけに、終盤の上りにも対応でき、他校に前に行かれても大崩れはしないはずだ。

 さらに、3区エントリーの湯原慶吾(1年)は当日区間変更となる可能性が高いが、補欠になっている1万m28分31秒66を持っている前回1区の鈴木塁人(3年)を使えば、ライバル校のエース格が来ても対等に近い戦いができるだろう。

 4区を岩見秀哉(2年)が走って若干耐える区間になっても、原晋監督が「力をつけている」と自信を持って送り出す5区の竹石尚人(3年)が期待どおりの走りをすれば、前回の法政大の青木涼真(3年)の区間賞獲得の記録とほぼ同じになる計算。他校に先行されて、そこで先頭に追い付けなくとも、僅差には迫れると考えての起用だろう。

 そうなれば、6区には前回区間賞の小野田勇次(4年)、7区には前回区間2位に2分34秒の大差をつけて区間記録更新を果たした林奎介(4年)が控えている。さらに原監督がこれまで重視していた8区は、補欠に回っている前回2区区間賞の森田歩希(4年)の起用となる可能性が高い。そうなれば6、7、8区でダメ押しの走りができる強力な布陣だ。

 対抗する東洋大は、前回1区で抜け出して区間賞を獲得した西山和弥(2年)を今回も1区にエントリーして、主力の相澤と山本修二(4年)を補欠に回している。3区には前回4区区間2位の吉川洋次(2年)を起用していることもあり、2区に当日変更で相澤を入れてくれば、1、2、3区で飛び出す作戦になる。そこで後ろとの差を開くことができれば、4区ではハーフマラソン1時間02分56秒の鈴木宗孝(1年)の走力が生かせるようになる。

 5区と6区は青学大に比べて力は劣るが、7区は前回10区区間賞の小笹椋(4年)の起用で青学大・林の走りをうまくしのぎ、8区には補欠に回している山本で対抗しようという構想だろう。それは相澤と山本の区間が入れ替わっても同じだ。

 また、スピードランナーが豊富な東海大は、エースの關颯人(3年)と舘澤亨次(3年)を補欠にしている。故障者や体調不良者がいない限り、エントリーした1区の鬼塚翔太(3年)と2区の湯澤舜(4年)、3区の西川雄一朗(3年)はそのままだろう。4区の本間敬大(1年)は当日変更の可能性が高いが、關と舘澤のどちらかを使ってどちらかを復路に残せる。

 打倒青学大を考えれば、往路を重視する大学が多くなり混戦が予想される。それだけに、往路はうまく流れに乗って復路で勝負というのが東海大・両角速監督の狙いと考えられる。区間エントリーを見れば9区の当日変更も十分ありうるが、そこに關か舘澤という学生トップクラスの選手を持っていけば、十分に勝負区間にできる。

 今回の箱根の優勝をにらむ3校は、ともに勝負の場を復路と腹をくくっているようだ。