チームとしての完成度で上回った福岡第一ウインターカップ決勝は福岡第一が85-42のダブルスコアで中部大学第一を退け、2年ぶり3回目の優勝を成し遂げた。立ち上がりの数ポゼッションこそ重かったが、クベマジョセフ・スティーブがゴール下を支配、リバ…

チームとしての完成度で上回った福岡第一

ウインターカップ決勝は福岡第一が85-42のダブルスコアで中部大学第一を退け、2年ぶり3回目の優勝を成し遂げた。

立ち上がりの数ポゼッションこそ重かったが、クベマジョセフ・スティーブがゴール下を支配、リバウンドからの速攻が飛び出した福岡第一が13-4とリードを奪う。それでも中部大学第一のゾーンディフェンスに攻め手が止まると、中村拓人、矢澤樹にゴール下まで切り込まれて得点を許し、中村からバトゥマニ・クリバリのハイローも決められて18-16まで詰め寄られる。それでもここで福岡第一はキャプテンの松崎裕樹が2本連続で3ポイントシュートを決め、小川麻斗も続いて2桁のリードを作り出した。

中部大学第一はリバウンドで身体を張り、福岡第一の武器であるトランジションの出どころを徹底してケア。福岡第一は速攻を封じられ、中部大学第一も相手のディフェンスをこじ開けられない我慢の時間帯に。それでも松崎、小川がその状況で貴重な3ポイントシュートを沈め、39-21で前半を終えた。

第3クォーター、このままではジリ貧だと判断して動いた中部大学第一だが、これが裏目に。3ポイントシュートで点差を詰めようとするも、自分のリズムで打てていないシュートはリングに嫌われ、これを拾った福岡第一がファストブレイクを繰り出す。前半、速攻が出せない状況で我慢強くプレーしていた河村勇輝が、ここぞとばかりに自慢のスピードを発揮。残り3分半、リズムに乗った河村は身体を流しながらの3ポイントシュートをねじ込んで48-27と突き放す。

我慢比べの展開で根負けしてしまった中部大学第一は、淡白なシュートを外しては速攻の餌食に。ゴール下を決められなかったバトゥマニ・クリバリが守備に戻らないシーンがあるなど、集中を切らしてしまった。

松崎裕樹「支えてもらった」と感謝

62-31で迎えた最終クォーター、最初のプレーでスティーブがダンクを叩き込んで早々に勝負アリ。残り3分半からチームを支えてきたベンチメンバーを投入し、最後はスタートの5人を戻す。古橋正義がボールを高く放り上げるとともに試合終了のブザー。福岡第一の大勝でウインターカップは幕を閉じた。

中部大学第一の常田健コーチは「あれだけの観客の中でもう少し福岡第一を苦しめられたら良かったのですが、初めての決勝で選手が緊張し、自分たちの戦術がうまく表現できませんでした」と試合を振り返る。大敗を喫したが、「3年生は言い訳をしないで一つずつの大会をこなしてきました。ウチの部員には胸を張って『良かった』と送り出したい。結果に満足はしていませんが、日本一を目指して一緒にやってきたプロセスは一生の宝になると思います。決勝はだらしない試合になったかもしれませんが、胸を張って生徒を送り出したい」と、敗れてなお前を向いた。

福岡第一は2年ぶりのウインターカップ制覇。井手口孝コーチは、優勝を決めるまでの道のりを振り返るとともに、ライバルへのリスペクトを忘れなかった。「インターハイで負けてから、可能な限りの時間をスタッフと子供たちと体育館ですごして来ました。これが今日の結果だと思います。毎日一生懸命練習しています。あらためて練習は裏切らないと痛感することのできる大会でした。バスケットの怖さ、一つ歯車が違えば僕らがそういう結果になったかもしれない。最後まで気を緩めず試合をしました」

キャプテンの松崎は、1年生で参加した2016年大会に続き、自分の代でもウインターカップで優勝。「キャプテンとしてチームをまとめなければいけないとは思っていましたが、試合に出ない3年生がしっかりやってくれて、下級生もそれを理解してくれました。プレッシャーはありましたが、それが気にならないぐらいの支えがありました」と、キャプテンとしてチームを引っ張ったことを誇るのではなく、支えてもらったことを感謝した。