“駅伝に詳しすぎるアイドル”として知られるNGT48の西村菜那子さんは、前回の記事で第95回箱根駅伝(2019年)のトップ3を「1位法政大、2位帝京大、3位青学大」と大胆予想。その他の注目チームはどのように見てい…

“駅伝に詳しすぎるアイドル”として知られるNGT48の西村菜那子さんは、前回の記事で第95回箱根駅伝(2019年)のトップ3を「1位法政大、2位帝京大、3位青学大」と大胆予想。その他の注目チームはどのように見ているのか。



箱根駅伝の注目ポイントを挙げたNGT48の西村菜那子さん

 まずは、前回3年生以下のメンバーで往路Vを飾った東洋大。今季は出雲駅伝で青学大を終盤追い込んで2位になったが、全日本大学駅伝は主力の故障や不調があり、一度もトップ争いに加わることなく3位に終わっている。

「出雲と全日本で調子を崩していた西山和弥選手(2年)が、12月1日の日体大長距離競技会1万mで28分台をマークしたんです。この復活は大きいと思いますよ。西山選手が本来の力を発揮していれば、出雲と全日本はもっと上にいけたと思うので、箱根では頑張ってほしいなと思います。全日本は吉川洋次選手(2年)も欠場したので、2年生コンビの復活がポイントになりそうです」

 東洋大がトップ3にもっとも近い位置にいると予想する菜那子さんだが、”鉄紺軍団”について以前から気になっていることがあるという。それは選手たちの腕だ。

「東洋大は『その1秒を削りだせ』という文字を腕に書き込んでいる選手が多いですけど、スタンプなのかなというくらい、文字がうまい選手がいるんです。他の言葉を書いている選手もいますし、利き腕には誰に書いてもらっているのかも気になりますね」

 テレビ画面に東洋大の選手が登場したときには、ぜひ彼らの両腕もチェックしてみよう。

 一方、”打倒・青学大”を掲げる東海大については、「トラックやハーフの持ちタイムは1番いいですし、スピードのある選手が多いのが魅力です。でも、長い距離が苦手なイメージがありまして。箱根はちょっと苦戦するのかなと思います」と話す。それでも、關颯人、鬼塚翔太、館澤亨次ら3年生のポテンシャルを高く評価している。

「私と同じ”97年組”の黄金世代に注目です。とくに同じ長野県出身の關選手は、前回出場できなかったので今回は期待しています。また、箱根駅伝の先の話になりますけど、關選手には私の出身地である長野県代表として、都道府県駅伝でも頑張ってもらいたいです」

 予選会を勝ち抜いてきた大学では、予選会を史上最速タイムで走破し、全日本大学駅伝でも4位に入った駒澤大について、「大八木弘明監督が柔和になったなと思います(笑)。予選会で駒澤大学関係者に配られた、大八木監督の顔写真が入った『男だろ!! うちわ』なんて、少し前では考えられないことです」と、”闘将”の変化を感じている。また、同じ”予選会突破組”の中では、明治大も指揮官に注目しているという。

「実は、明治大には中学の先輩が4年生(竹山直宏)にいまして、徐々に注目するようになったんです。今季から、山本祐樹コーチが監督に昇格して、チームカラーも少し変わりました。前回は予選会で落選しましたが、今季は阿部弘輝選手(3年)が1万mで27分台を出しましたし、4年ぶりにシード権を獲得するんじゃないかなと思います」
 
 今季の明治大は予選会を5位で通過し、全日本大学駅伝では9位に入った。11月24日の八王子ロングディスタンス1万mでは阿部が今季日本人学生最速となる27分56秒45をマーク。登録選手上位10人の1万m平均タイムは2位につけており、非常に楽しみな存在だ。

 2年連続のシード権獲得を狙う拓殖大では、名実共にチームの柱になった留学生キャプテンの起用に個人的な希望も。

「拓殖大はワークナー・デレセ選手(4年)に注目しています。3年連続で2区を好走していますけど、合宿の映像を見ても、デレセ選手は上り坂が得意なのがわかります。本人も『5区を走りたい』と話していますね。留学生キャプテンはすごく異例なことですけど、日本人よりも日本人らしい性格だと岡田正裕監督もおしゃっているので、最後は走りたい区間を走ってもらえたらうれしいですね」


留学生キャプテンとしてチームを引っ張る、拓殖大のデレセ

 photo by Nishimura Naoki/AFLO

 マニアックな話がポンポン飛び出す菜那子さんだが、まだまだ知ってほしいことがたくさんあるという。

「日体大はいろいろありましたけど、今季は廻谷賢選手(3年)がすごく成長しました。出雲は4区で区間3位、全日本は7区で区間4位。成績が安定している選手なので、箱根でも結果を出してくれるんじゃないでしょうか。

 全日本大学駅伝に出場できず悔しい思いをしただろう中央大の注目は、やはり舟津彰馬選手(3年)です。2年前の予選会落選の際の”1年生の主将”として話題になりましたが、今年は関口康平選手(3年)に主将を任せたので、持ち前のハングリー精神を前面に出した走りをしてくれると思います。中央大と同じく、前回走ったメンバーに4年生がひとりしかいなかった上武大は戦力ダウンが少ないですね。必ず予選会を突破してくるイメージがありますが、今回はシード権を狙ってほしいです」

 さらに、予選会で落選した大学のメンバーで構成される関東学生連合を強くプッシュ。その理由も”通好み”だ。

「今年の予選会では麗澤大が次点の12位まで浮上して、盛り上げてくれました。麗澤大の山川達也監督は中京大出身で、青学大の原晋監督の後輩になります。2008年に原監督が指揮を執ったときの学連選抜は過去最高の4位。育成力もそうですけど、チームの結束を高める能力なども原監督と重なる部分があると思うので、山川監督の手腕に期待しています。

 選手としては麗澤大の国川恭朗選手(3年)の走りも楽しみですけど、やっぱり最大の注目は、東京大の近藤秀一選手(4年)ですね。前回は直前にインフルエンザにかかり、出場できませんでした。4度目の正直になりますし、頑張ってほしいなと思います」



総選挙の公約で実際に箱根の5区を走った菜那子さん

 駅伝ウォッチャーの菜那子さんは、今年のAKB48選抜総選挙で、「75位以内に入ったら、箱根駅伝5区を走る」という公言を掲げて、43位にランクイン。11月に箱根駅伝5区の20.8kmにチャレンジし、5時間半かけて往路のゴールに到着した。ちなみに前回、往路Vの東洋大は5時間28分29秒で107.5kmを走破している。

「これが”山の神”の方々も走られたコースかと感動しました。でも、本当にきつかったです! 歩くだけでも大変なコースなのに、そこを競い合いながら走るわけですから、『区間賞を取ってほしい』などと安易に言えませんね。区間下位の選手でも、どれだけすごいのかを実感しました。

 厳しい区間が続く箱根駅伝には、4年間しか出場できるチャンスがありません。だからこそさまざまなドラマが生まれますし、選手たちの駅伝にかける思いが美しいと思います。今大会も本当に楽しみです!」

■NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ)

1997年8月11生まれ。長野県出身。2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で箱根駅伝を見るようになり、現在は大学駅伝だけでなく、あらゆる駅伝大会に精通。2018年のAKB48選抜総選挙では43位にランクインするなどグループでの活動を精力的にこなしながら、”駅伝に詳しすぎるアイドル”としても活躍中。特技は箱根駅伝の歴代優勝校をすべて言えること。