ソフトバンクの細川亨捕手がまさに職人技と言っていいバスター打法で本塁打を放って話題を呼んだ。10日の楽天戦(ヤフオクドーム)でのことだった。5回にブリガムから左翼テラス席へ。きっちりとらえて運んだ。■なぜ走者なしでもバントの構えをするのか …

ソフトバンクの細川亨捕手がまさに職人技と言っていいバスター打法で本塁打を放って話題を呼んだ。10日の楽天戦(ヤフオクドーム)でのことだった。5回にブリガムから左翼テラス席へ。きっちりとらえて運んだ。

■なぜ走者なしでもバントの構えをするのか

 ソフトバンクの細川亨捕手がまさに職人技と言っていいバスター打法で本塁打を放って話題を呼んだ。10日の楽天戦(ヤフオクドーム)でのことだった。5回にブリガムから左翼テラス席へ。きっちりとらえて運んだ。

 細川は西武時代からバスター打法でヒットや本塁打を打ってきた。一見、力が入らず、打球は飛んでいかなそうな打撃フォームだ。しかし、細川はこれまで何本もバスターで打席に入っている。なぜ、走者なしでもバスターで打席に立つのだろうか。

 バントの構えをすると正対して両目で投手を見ることができること、余計な力が入らずに打つことができることなど諸説あるが、細川は「悪い時こそ、バスターで修正する」と話しており、スイングの軌道に主眼をおいている。他にもバスター経験者は「バッティング練習でもよくやっていますし、感じがよかったら試合でもやっています」と話す。

■打者にとっては確認作業

 打撃フォームは人それぞれだが、各バッター共にトップ(振り出す前の静止部分)の位置から無駄な動きをせずに最短距離でバットをボールにぶつけることを追い求める。しかし、ボールを打つまでに無駄な動きはどうしても生じてしまうもの。振り遅れたり、バットが最短距離でボールにいかなくなることも多い。それによって打ち損じが生じる。打者はそうならないように、素振りやティー打撃を日々、繰り返す。

 一方、バスターの構えからトップを作ると振るまでに時間的な余裕がなくなるため、最短距離でバットを出さざるを得なくなる。すると、自然と無駄な動きを生じさせずにスムーズにバットを出すようになるのだ。それができるようになれば、今度はトップを作っているフォームに変え、スイングに力を加えていく作業になる。

 プロの打者なら、タイミングとコンタクトさえしっかりできていれば強い打球を打つことはできる。それを崩すのが投手の仕事であり、バッターもその日の調子やコンディションなどで同じスイング軌道を継続できなくなるケースもある。

 打者が走者なしでもバスターで打席に入ったり、構える際にベース上のインパクト付近にバットを何度も出すのは、無駄な動きなくスイングをしようとする確認作業なのだ。