箱根駅伝・全チーム戦力分析【予選会上位校編】 第1弾の「シード校編」に続き、箱根駅伝の全チーム戦力分析の第2弾は、予選会を突破してきた11校のうち上位6校を紹介。激しいシード権争いを繰り広げそうな各大学の戦力をチェックしていこう。シード…

箱根駅伝・全チーム戦力分析【予選会上位校編】

 第1弾の「シード校編」に続き、箱根駅伝の全チーム戦力分析の第2弾は、予選会を突破してきた11校のうち上位6校を紹介。激しいシード権争いを繰り広げそうな各大学の戦力をチェックしていこう。

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※紹介は予選会の結果順




ユニバーシアード・ハーフ金メダリストの4年の片西景 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

駒澤大学

高い総合力で”3強”にチャレンジ

 前回12位に沈み、今季は距離への対応を強化した。9年ぶりの予選会を史上最速タイムで走破してトップ通過。登録選手上位10名のハーフ平均タイムでも出場校全体の2位につけるなど、強化策が実っている。

 全日本は3年連続の4位に食い込むと、1万m記録挑戦会で山下一貴(3年)、伊東颯汰(2年)、加藤淳(2年)、片西景(4年)が28分30秒台の自己新をマーク。往路は17年ユニバーシアードのハーフで金メダルを獲得した片西、全日本8区2位の山下、同1区8位の加藤らが候補で、復路にも前回9区2位の堀合大輔(4年)、同10区4位の伊勢翔吾(4年)ら強力メンバーが控えている。

 やや不安のある6区を含めて、山をうまく乗り切ることができれば、3年ぶりのトップスリー返り咲きが見えてくる。



3000m障害の日本代表としても活躍する4年の塩尻和也 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

順天堂大学

花の2区で大記録を目指すエースに注目

 前回(11位)は14秒差で3年連続シードを逃したが、予選会を2位で突破。今回は大エース・塩尻和也(4年)のラストイヤーで、チームとしても60回目の出場という節目になる。

 今季はトラック、ロードともに日本人学生に負けておらず、今夏のアジア大会3000m障害で銅メダルを獲得している塩尻は、4年連続の2区が濃厚。日本人最高記録(1時間6分46秒)を狙えるスピードと強さを持っている。1区候補の野口雄大(2年)で好発進できれば、2区塩尻でトップに立つことができるだろう。

 5区にも前回4位の山田攻(4年)が控えており、2区と5区の”攻撃力”はナンバーワンだ。1万m28分台の野田一輝(3年)と橋本龍一(3年)らが候補に挙がる3、4区の活躍次第では、2007年以来となる往路Vとトップスリーが期待できる。


1万mの神奈川大記録を持つ4年の山藤篤司

  photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

神奈川大学

「育成の年」だがシード復帰を狙えるチーム

 前年は20年ぶりに全日本を制するも、箱根は13位に転落した。「育成の年」と定めた今季は、予選会を3位で通過し、全日本でも10位。シードを狙えるチームに成長した。

「往路重視」の戦略で、1万mの神奈川大記録(28分25秒27)を保持する主将・山藤篤司(4年)と、予選会チームトップで全日本8区を6位と好走している越川堅太 (3年)を1~3区に起用する方針。スピードのある荻野太成(3年)も往路の平地候補に挙がる。

 6区は前回の同区9位の安田共貴(3年)が濃厚で、区間上位の走りが期待できるだろう。前回最下位に沈んだ5区は未知数だが、堅実な走りでつないでいく予定。前回チームのような派手さはないが、往路を10位以内で折り返して、50回目の出場をシード復帰で飾りたい。



前回1区で区間2位の3年・浦野雄平 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

國學院大學

充実戦力で過去最高順位を上回るか

 予選会を4位で通過すると、3週間後の全日本で6位。2区浦野雄平(3年)の11人抜きで波に乗り、過去最高順位(9位)を大きく上回った。

 前回は5人が区間5位以内で好走するも、2区(20位)と5区(18位)のブレーキが響いて14位。それだけに2区と5区がポイントになりそうだ。前回1区2位の浦野と同4区3位の主将・土方英和(3年)が2区の候補で、浦野を5区にまわす可能性もあるという。

 前回3区5位の青木祐人(3年)は1万m記録挑戦会で自己ベストとなる28分50 秒98をマーク。往路に配置予定の”強力3年生トリオ”でうまく流れを作りたい。過去最高順位は11年と12年に記録した総合10位。7年ぶりとなるシード権をどんな順位で飾るのか。



1万mで今季の日本人学生最高タイムを持つ3年の阿部弘輝 photo by Tsukida Jun/ AFLO SPORT

明治大学

1万m平均タイム2位のスピードで突っ走る

 前回は不運もあり予選会で敗退したが、今季は予選会を5位で通過。全日本(9位)は2区阿部弘輝(3年)の8人抜きで勢いに乗り、終盤までシード権争いを繰り広げた。

 今季のチームは、登録選手上位10名の1万m平均タイム2位のスピードを誇る。なかでも注目は八王子ロングディスタンス1万mで今季日本人学生最高の27分56秒45をマークしている阿部で、本人は3区を希望している。中島大蹴(3年)と鈴木聖人(1年)は2区の候補に挙がるなど、往路の起用が濃厚だ。

 1万m記録挑戦会では三輪軌道(3年)、佐々木大輔(3年)、小袖英人(2年)、村上純大(2年)が28分台に突入。予選会と全日本を欠場した1万m28分35秒47の坂口裕之(4年)も復帰している。山は未知数だが、充実戦力で目標の「8位以内」を目指す。



2年連続の2区が濃厚な3年の伊藤達彦 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

東京国際大学

“山”を乗り切ることができれば好機あり

 予選会を過去最高の6位で通過して、2年連続3回目の出場となる。

 前回2区(15位)を務めた伊藤達彦(3年)が八王子ロングディスタンス1万mで28 分28秒62の自己ベストをマーク。3区は1万m28分16秒35のモグス・タイタス(3年)が濃厚だ。前回20位と出遅れた1区で好位置につけることができれば、2区の伊藤と3区タイタスで上位進出が期待できる。

 実業団時代に世界選手権出場経験のある31歳の渡邊和也(2年)は4区か7区(前回7位)に入る見込み。不確定要素の多い”山”をうまく乗り切ることができれば、復路でもシード権争いができるかもしれない。初出場時は8区、前回は9区で「繰り上げスタート」を味わっているだけに、まずは最後まで1本のタスキをつなげたい。

(予選会下位+α編に続く)