写真:平野友樹(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 12月22日(土)ウイング・ハット春日部>12月22日、ウイング・ハット春日部にて、T.T彩たまのホーム戦が行われた。対するは岡山リベッツ。11月…

写真:平野友樹(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 12月22日(土)ウイング・ハット春日部>

12月22日、ウイング・ハット春日部にて、T.T彩たまのホーム戦が行われた。対するは岡山リベッツ。11月20日以来、1ヶ月近く勝利から遠ざかっていたT.T彩たまは、エースのチョンヨンシクを欠いていることに加え、主将の吉村真晴が熱を出してしまい、急遽ダブルスを黄鎮廷/高木和卓ペアに変更。しかしこのアクシデントを力に変えたT.T彩たまは、1番のダブルスを奪取して勢いにのると、最後は実力者の平野友樹が岡山リベッツの主将・上田仁を下し、見事ホーム戦での勝利を飾った。

各マッチの解説は以下の通り。

T.T彩たま vs 岡山リベッツ 各マッチの解説

1番:黄鎮廷/高木和卓 2-1 上田仁/森薗政崇



写真:ラリーズ編集部


1番手のダブルスには急遽結成された黄鎮廷/高木和卓ペアが出場。対するは岡山リベッツのエースダブルスである上田仁/森薗政崇ペアだ。

序盤は台上、ラリー共に丁寧なプレーで上田/森薗ペアが大量リード。しかし高木和のミスのない卓球でジワジワ追い上げると、9-8岡山リードの場面で岡山ペアがたまらずタイムアウトを取った。重要なタイムアウト明けのポイントで、森薗の強烈なチキータが炸裂し岡山ペアがゲームポイントを握ると、最後は上田がバックハンドでストレートに鋭いボールを決め、このゲームを先取した。

第2ゲーム、黄/高木和ペアは上田と森薗のフォア前にストップを徹底し、チキータを封じる作戦を展開。上田/森薗ペアに思うように先手が取らせず、さらにラリーでは森薗のバックを徹底して狙う戦術が功を奏す。終始主導権を渡さなかった黄/高木和ペアがこのゲームを取り返す。

最終ゲーム、なんと1本目から黄/高木和ペアが連続でロングサーブを選択し、上田/森薗の意表をつくも、得点には結びつかず。その後、岡山リードの8-7で彩たま側がタイムアウト。坂本監督の熱心なアドバイスを受けた後、彩たまペアはそこから息を吹き返し1点も与えず、見事な粘り勝ちを見せた。高木和は嬉しいTリーグ初出場初勝利となった。

2番:戸上隼輔 1-3 吉田雅己



写真:ラリーズ編集部

2番手、T.T彩たまは高木和に続き、Tリーグ初出場となる17歳の戸上隼輔をオーダーした。対する岡山は主力の吉田雅己を起用。戸上は前日の練習の際に坂本監督から起用を告げられ、入念な準備をしていたそうだ。

第1ゲーム、戸上は得意のチキータを吉田に狙われ、終始後手に回ってしまい、このゲームを落とす。

第2ゲーム、戸上はロングサーブを増やし、吉田に打たせる展開を作る。戸上はラリーになると強く、カウンターも炸裂し、点差を詰めた。このゲームはデュースに突入し、戸上リードの12-11となったところで彩たまがタイムアウト。

吉田はロングサーブを選択し、戸上のリズムを崩しにかかるも、最後は戸上が強烈なチキータをノータッチで決めこのゲームを取り返した。



写真:ラリーズ編集部

第3ゲーム、吉田は戸上のチキータを封じるべく、フォアへの短いサーブとバックへの長いサーブを使い分ける。吉田リードの7-6となった時点で岡山サイドがタイムアウトを申請。勝負所と見たようだ。タイムアウト後も効いている2種類のサーブを徹底して使い続けた吉田がこのゲームを奪取した。

第4ゲームも、フォア前へのナックルサーブを出し、甘くなった戸上のストップを狙い撃ちしてラリーを優位に進める吉田。弧線の高いチキータによる安定したレシーブで、最後は大差で試合をものにした。試合巧者・吉田の戦術が光り、1-1として前半戦を終えた。

3番:黄鎮廷 3-2 吉村和弘



写真:ラリーズ編集部


ハーフタイム後の3番ではT.T彩たまはダブルス勝利で勢いに乗るペンホルダーの黄鎮廷を起用。対する岡山は先日の日本代表選考会で1位となった吉村和弘を起用した。第1ゲーム、黄が吉村のミドルを突き、吉村は思い切った打球ができないものの、ミスの少なさで点差を広げさせない。

黄の9-7リードから吉村の3本連取で9-10と逆転したタイミングで、黄のロングサーブが不運にもレット(やり直し)。黄は引き続きロングサーブを出すもそれを予想していた吉村はラリーに持ち込み、積極的なカウンター攻撃でこのゲームを勝ち取る。

第2ゲームはお互いにサーブを持った方が連続得点をする接戦の展開に。しかし吉村サーブの8-6で黄が得点し均衡が崩れ、最後はリードを保った黄がこのゲームを取った。

第3ゲーム、吉村がロングサーブから黄を崩して得点すると、リードを広げる。その後黄も追いつき、9-9となったところで吉村がエッジのラッキーポイント。黄はロングサーブで崩しにかかるも最後は吉村が痛烈なバックハンドでこのゲームを制した。

第4ゲーム、ロングサーブが多めだったこうはフォア前のショートサーブを主体にゲームを進める。フォア前のサーブに上手く対応できない吉村はリズムを崩され、ラリーでもフルパワーの打球ができなかった。吉村の2-7で黄が珍しいサーブミス、ここから吉村が怒涛の攻撃で7-7まで追い上げるも、黄が再度、効いていたフォア前にサーブを繰り出し3球目攻撃を決めるとこのまま逃げ切り、ゲームカウント2-2とした。

Tリーグ特別ルールの6-6から始まった最終ゲーム、黄が2点を引き離すと吉村の追い上げを許さず、T.T彩たまに貴重な2点目をもたらした。

4番:平野友樹 3-0 上田仁

4番手、後がない岡山は主将・上田仁が登場。対する彩たまは平野友樹が登場した。第1ゲーム、平野がレシーブから積極的に仕掛け、ラリーでもミスのないプレーで岡山の主将、上田を圧倒。

最後は上田の粘りのドライブを前陣で”イナズマカウンター”。これには会場も大盛り上がり。平野は最高の立ち上がりでゲームを先取した。

平野友樹の“イナズマカウンター”をご覧あれ

第2ゲームは上田が台上から一手先に攻める展開で、平野の勢いを封じ込める。しかし平野も得意のYGサーブで反撃。7-7と差を縮める。

8-7と平野リードで岡山側がタイムアウト。タイムアウト明けのポイントは上田のロングサーブから激しいラリー戦となる。最後は平野が上田の空いたフォア側にボールを叩き込み、このラリーを制した。平野がこのまま逃げ切ってゲームを奪取し、T.T彩たまは勝利に王手をかけた。

第3ゲームも引き続き平野のペースでゲームが進む。上田がレシーブをどこに散らしても、食らいつく平野。ネットインのボールですらリカバリーして攻めきる平野のガッツが光る。まるで平野友樹の姉、“卓球の鬼”と言われた平野早矢香氏のプレーを見ているような凄みがあった。

しかし、団体戦に強い上田も簡単には引き下がらない。上田が6-2から6-4と追い上げたところでたまらず彩たま側がタイムアウトで流れを断ち切ろうとするも、上田が丁寧な卓球で6-6まで追いつく。

平野はラッキーなネットインでこの流れを断ち切ると、最後は粘りの卓球でこのゲームを制し、彩たまに嬉しいホーム戦勝利をもたらした。

平野は勝利後のインタビューで「選考会の時から調子が良かった。普段は自分からガンガン攻めていくスタイルなのですが、今回は一度相手に攻めさせて、こちらがブロックしてから落ち着いて攻める展開がハマったのでそれを徹底しました」と冷静にコメントした。

ファンサービスも充実 プレーだけではないT.T彩たまホームゲームのみどころ

Tリーグの試合ではホーム球団が趣向を凝らした演出を見せている。


写真:ラリーズ編集部

22日の試合開始前にはT.T彩たまのダンサーチーム「TERRA」がパフォーマンスをし、会場を盛り上げた他、春日部市長の石川良三氏が始球式に登場し、高木和卓のトスを受けてスマッシュに挑戦。会場からは大きな拍手が送られた。



写真:ラリーズ編集部

また、試合後には坂本監督の提案で急遽「サイン会」が行われ、ファンは大満足の様子だった。



写真:ラリーズ編集部

12/22 T.T彩たま 3-1 岡山リベッツ

◯黄鎮廷/高木和卓 2-1 上田仁/森薗政崇
8-11/11-6/11-8

戸上隼輔 1-3 ◯吉田雅己
5-11/14-12/6-11/4-11

◯黄鎮廷 3-2 吉村和弘
9-11/11-7/9-11/11-9/11-8

◯平野友樹 3-0 上田仁
11-4/11-7/11-9

文:ラリーズ編集部