大学女子サッカーの日本一を決める、全日本大学女子サッカー選手権大会が2018年12月23日(日)にいよいよ開幕する。全国の地域大会を勝ち上がってきた24校が来年1月20日(日)の決勝を目指し熱い戦いを繰り広げる。 日本体育大学、早稲田大学な…

大学女子サッカーの日本一を決める、全日本大学女子サッカー選手権大会が2018年12月23日(日)にいよいよ開幕する。全国の地域大会を勝ち上がってきた24校が来年1月20日(日)の決勝を目指し熱い戦いを繰り広げる。

 日本体育大学、早稲田大学などを筆頭に全国から強豪が集まる中、今大会注目校の一つが帝京平成大学だ。今年創部わずか6年で関東大学リーグ1部優勝を飾り、今大会の優勝候補に一躍名乗りを上げた。そして、このチームを率いるのが、なでしこジャパンの2011年女子ワールカップ優勝メンバーでかつて浦和レッズレディースでプロ選手としても活躍した矢野喬子監督だ。3年前に就任してから年々成績を向上させ、ついに今年はチームをリーグ初優勝に導いた。

さぞや厳しい練習をしているのかと帝京平成大学を覗いてみると、そこには笑顔の絶えない選手たちの姿があった。鈴木愛里沙選手は「選手が何を思っているのかをちゃんと考えてくれている、優しい監督です」と語るように、矢野監督の指導方針は旧態依然としたスパルタ方式ではない。選手たちにさらに話を聞くと、監督がチームに与えた変化について、2つのキーワードが浮かんできた。

■変化① 自主的に考え判断すること

大竹麻友選手「今までチームになかった、自分たちで考える事を監督は大事にしています」

 まず1つ目のキーワードは、チームの問題点を選手が自主的に考え判断すること。この取材中でも選手同士で問題点を自主的に話し合う姿が垣間見えた。選手に自分達で考え判断するよう促したのには、世界と戦ってきた矢野監督のこんな考えがあった。

 矢野監督「ピッチの外から言われる事とピッチの中で感じる事は全てが一緒ではありません。外からはこう言われたけど、中ではすでに状況が全く変わっているということを自分も経験してきました。外からの指示はしっかり聞いた上で、自分の考えとどう組み合わせてやっていくかが、すごく大事です。今まで『こうやれ』と言われてきたことしかできない選手も中にはいますが、状況がどんどん変わる中で一人一人が自分で考えて判断できないと、ピッチに立っても楽しくないと思います。」

■変化② 世界基準

伊藤莉那選手「練習のレベルも世界基準でやろうというのは、矢野監督が口にしている言葉。それによって練習のレベルも上がったと思います。」

 「世界基準」。矢野監督がもたらしたチームの変化の二つ目のキーワードだ。例えば、一見何でもないパス練習でも、その指導方法はスペイン流だ。スペインでサッカー指導者のキャリアを積んでいる坪井健太郎氏によれば、ボールをトラップする際、日本ではボールを足元に置くように指導されることが多いが、スペインでは利き足の斜め前に置いて顔を上げてどこにでもパスを出せるように指導されるという。帝京平成大学では、シンプルな練習からでもこのような世界のスタンダードを取り入れている。

矢野監督「私が現役時代に浦和でプレーしていた頃、自分のプレーが『アメリカ代表の選手に通用するか?』ということを常に問いかけながらやっていました。現状に満足しないということです。このチームでは『各致日新』をテーマとして掲げています。現状に満足せず、常に何かを良くしていこうということです。完璧な試合というのはないですし、常に上を目指さなければそこで止まってしまう。そういう意味で、『世界基準』という言葉を使っています。」

矢野監督のもと帝京平成大学が初の日本一に挑む、全日本大学女子サッカー選手権大会は12月23日(日)に開幕、日本一の決まる決勝は1月20日(日)に行われる。結果は果たして。

なお、この取材の模様は12月14日(金)に『スカサカ!ライブ』で放送されており、こちらからも動画視聴可能。
また、1月20日(日)の決勝戦はスカパー!で生中継される。詳しくはこちら