今シーズン2度目となる国内リーグ戦の先発も、あるのではないか──。そんな期待を胸にレスター・シティの取材へと向かったが、12月8日に行なわれたプレミアリーグ第16節のトッテナム・ホットスパー戦も、岡崎慎司はベンチスタートだった。第16…
今シーズン2度目となる国内リーグ戦の先発も、あるのではないか──。そんな期待を胸にレスター・シティの取材へと向かったが、12月8日に行なわれたプレミアリーグ第16節のトッテナム・ホットスパー戦も、岡崎慎司はベンチスタートだった。
第16節を終えて先発わずか1試合と、厳しい状況が続く岡崎慎司
岡崎は前節のフラム戦で、途中出場ながら貴重な同点ゴールをアシストした。得点を決めたのは「練習でいい連係ができている」(岡崎)というMFジェームズ・マディソン。エースのFWジェイミー・バーディーが負傷離脱中であるため、岡崎(CF)とマディソン(トップ下)のペアでトッテナム戦に挑む可能性もあった。
しかし、クロード・ピュエル監督がCFに選んだのは、ナイジェリア代表FWのケレチ・イヘアナチョだった。岡崎が主戦場にしてきたセカンドストライカーのポジションのない「4-3-3」のフォーメーションを採用し、左FWにマディソン、右FWにデマライ・グレイを配した。結果として、32歳のストライカーは今季リーグ戦11度目となるベンチスタートを命じられた。
岡崎に出番が訪れたのは、トッテナムに2点のリードを許した79分。反撃に移りたいレスターは、それまでの「4-3-3」から「中盤ひし形の4-4-2」に変形し、岡崎とグレイを2トップに入れた。岡崎は局面、局面で積極的に顔を出し、攻撃を活性化させようとした。
だが、リーグ3位につけるトッテナムは冷静に対応した。88分にマディソンのクロスボールに岡崎が合わせようとするシーンはあったが、チームも岡崎も無得点で、0-2のまま敗戦を喫した。
第16節を終えたプレミアリーグで、岡崎の先発数はたった1試合しかない。ベンチスタートが11試合で、メンバー外が4試合と、依然として厳しい状況が続いている。
しかし、コンディションは「完璧に仕上がっている」と言う。W杯期間中に痛めた足首のケガも完治し、軽快な動きも見せている。だが、なかなか先発出場につながらない。
それでも、岡崎はけっしてクサろうとしない。「試合に出たい」とモチベーションを高く保ちながら、試合に出られない状況のなかで自分に何ができるのかと、自問を繰り返す。
そんな岡崎が、課題として取り組んでいるのが「シュート」。無難なプレーを見せていては現状を打破できないと、シュート練習に明け暮れる日々を過ごしているという。岡崎は語る。
「自分のなかで悔しかったのが、カップ戦(9月25日・リーグ杯3回戦)のウルヴァーハンプトン戦でした。(先発するも)60分で交代したんですけど、無難にこなしていても点が獲れないと、交代させられてしまう。そこから、シュート練習に没頭する日々になった。
これまでを振り返ると、(ターンなどをして)前を向くことができなくなっていた。試合に出ないというのは、自分を変えるチャンスでもあるじゃないですか? だから、シュートを繰り返し練習した」
それまでの岡崎は、空いたスペースで無難にパスを受けることが多かったという。そうではなく、仕掛ける気持ちを強く持ちながら、DFラインの背後に抜ける。そして、シュートの意識を高めて危険なプレーを増やす──。こうした練習を繰り返し行なっていたという。
その結果、11月24日に行われた第13節・ブライトン戦で、リーグ戦で今シーズン初先発を言い渡された。「ピュエル監督は練習をよく見てくれている人。それでチャンスをもらえたのかな」と、岡崎はこの試合を振り返る。
岡崎はブライトン戦でCFとして先発したが、トップ下のマディソンが前半28分という早い時間帯に退場処分を受けた。チームはプラン変更を余儀なくされ、岡崎も守備に走らざるをえなくなった。結局、岡崎は無得点で70分に交代。先発のチャンスを生かせず、序列を変えることもできなかった。
しかし、こうしたひたむきな姿勢こそが、岡崎のストロングポイントだろう。「試合に出られないのなら、自分を変えるチャンス」。そう自分に言い聞かせ、転んでも何度も起き上がって課題に取り組んできた。レスター在籍4シーズン目で最大の壁にぶち当たっているが、その壁を乗り越えようと気概に満ちているのだ。
W杯ロシア大会以降、メンバーから外れている日本代表についても、「呼ばれればもちろん行きたいですけど、今の成績じゃ、個人的には『呼ばれるはずがない』と思う。なので、今はクラブで試合に出たい気持ちのほうが強い」と語る。12月12日にアジアアップのメンバーが発表される代表について、岡崎は言葉を続ける。
「ある意味、代表には若い選手が行くべきだと。今は若い選手がたくさん呼ばれているし、親善試合だけで試すのはもったいないと思う。公式戦でああいうサッカーができれば、(日本の若手も移籍などで)ステップアップしていくと思う。俺らも、アジアカップの後にステップアップした選手が多いので」
そう言うと岡崎は、「(自分としては)こっそり南米選手権を狙いながら」と顔をくしゃくしゃにして笑顔を見せた。日本代表が招待を受けている来年6、7月の南米選手権(ブラジル)出場を密かに狙いながら、レスターで出番を増やしていくと闘志を燃やしていた。