フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ上位6人で競い合ったGPファイナルの女子フリーで、ショートプログラム(SP)首位だった16歳の紀平梨花はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2本跳んで1本を成功させ、他のジャンプやステップとスピンなどでも出来栄え点(GOE)加点がついて150.61点をマーク。合計233.12点でSP、フリーともに1位となり完全初優勝を果たした。



初出場のファイナルで初優勝した紀平梨花

 SP2位のアリーナ・ザギトワ(ロシア)は、プログラム全体で跳び急ぐジャンプに終始してバタバタ感がぬぐえず、得点を取りこぼしたフリーで148.60点を出して、合計226.53点で総合2位に甘んじた。

 今季シニアデビューとなった16歳は、トリプルアクセルという武器をひっさげて、同い年の強敵で大会連覇を狙った平昌五輪女王のザギトワらを抑えて、一気に世界トップへと駆け上がった。

 日本女子としては2005年の浅田真央以来、13年ぶり2人目の快挙となるGPデビューシーズンのファイナル初制覇だ。さらには、日本女子のファイナル優勝は13年の浅田以来、5年ぶり3人目(6度目)という快挙を成し遂げた。

「最初のトリプルアクセルでミスがあっても、2本目で切り替えることができて、その後はほとんど自分では悔いのない演技ができたので、演技が終わった時に、すごいうれしさが一番初めに出てきたので『よかった!』とつぶやきました」

 憧れの浅田真央と肩を並べる結果を出した16歳だが、13年前に15歳の中学生で鮮烈なシニアデビューを飾った浅田はまだジュニア感満載で勢いがとにかくすごかった。それと比べると、高校生の紀平はすでにシニア然とした落ち着きをまとっていて、浅田とはひと味違ったシニアデビューを飾ったと言えるだろう。

 女子としては高難度の大技であるトリプルアクセルを浅田と同じように習得することを選択した紀平にとっては、自分が世界のトップを目指すためにはどうしても武器にしなければいけないジャンプだとわかっていた。だから、何が何でも、どんなに苦労しても身につけなければならなかったのだ。

「トリプルアクセルは昨季から跳んでいたものですけど、本当に試合で跳ぶことが難しくて、本当に頑張ってやっと、今季から安定感が出てきたし、(昨季の悔しさを)絶対に今季晴らしたいと思っていました。トリプルアクセルの大技をやらない選択もあったと思うんですけど、いまはやり続けてきてよかったなと思えるし、やらなかったほうがよかったなという思いは絶対したくないと思いました。習得は難しかったんですけど、やってきて本当によかったですし、いまは自分の実力が出せてうれしい気持ちです」

 そう話した紀平は、冒頭のトリプルアクセルで失敗した以外はミスのない演技を披露。試合に集中できるようになって「練習どおりの演技ができる確率が上がった」と言う。また、「シーズン初めはファイナルで優勝できるとは想像もしていなかった。昨季のように練習でやれたことを試合で出せないことだけは嫌だったので、毎日頑張って練習してきて良かったなと今は思います」と、喜びで自然と笑みがこぼれていた。

 フリーの得点は自己ベストを更新できなかったものの、合計得点の233.12点は自己ベストを8.81点更新する高得点だった。キスアンドクライで祈るように点数が出るのを待った紀平は、喜びを爆発させて両手を高々とあげた後、両手で頬を押さえてうれしさに浸っていた。

「150点という良い点数が出て本当にうれしかったです。最初のトリプルアクセルでミスがあっても、他の部分でも評価してもらえたのでうれしいですし、本当にあきらめずにやってきてよかったなって思っています」

 大きな国際大会においてシニア初タイトルを手にした16歳がこれからどんな活躍ができるのか、楽しみがまたひとつ増えた。

「今季ここまで戦ってきて、NHK杯ですごく良い点数を出すことができたので、完璧なノーミス演技をすれば、ファイナルの表彰台に乗れるかなと思っていました。だから、自分の演技をしっかりできた結果がつながったと思います。フリーは最初のジャンプで失敗しましたが、うまくまとめることができたのでうれしい。いまはどの試合でも安定した成績を出すことが大事なので、次の全日本選手権に向けてしっかりやりたいです。

 そして、やっぱり北京五輪で優勝という夢があるので、それに向けたモチベーションはすごくいい状態なので、それまでにこれからも安定した成績を残せるようにやりたいです」

 この結果でさらなる自信をつけた超新星が、今後、どんな輝きを放っていくのか。その成長を追っていきたくなる選手だ。