*写真は張本智和(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 12月9日(日)アリーナ立川立飛>9日、Tリーグ、T.T彩たまと木下マイスター東京が3度目の対決をし、東京が0-2の劣勢からの逆転でリーグ…

*写真は張本智和(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 12月9日(日)アリーナ立川立飛>

9日、Tリーグ、T.T彩たまと木下マイスター東京が3度目の対決をし、東京が0-2の劣勢からの逆転でリーグトップの9勝目を挙げた。

12月発表の世界ランキングで日本人最高位の5位につけた張本智和(木下マイスター東京)は、3番で韓国のチョンヨンシク(T.T彩たま)を下すと、5番のビクトリーマッチでも好調の吉村真晴を破り、チームの勝利を決めた。

敗れたT.T彩たまの坂本竜介監督は試合後「内容は悪くなかったけど、張本、強すぎますね。チーム全体のレベルアップをしつつ、ビデオ研究などで個別対策をしないと」とコメントした。

T.T彩たまのホームマッチとして行われた人気球団同士の対決は、日曜のナイトゲームにも関わらずチケットが完売し、約1900人の観客がハイレベルなラリーに熱狂した。



T.T彩たまのチアダンサーTerraがダンスパフォーマンスで会場を盛り上げた

リオ五輪の出場権をかけて争った吉村真晴と大島祐哉が2番で対戦すると、4番では長年日本の男子卓球をリードしてきた岸川聖也と水谷隼が対決するなど、注目のカードが目白押しとなった。

各マッチの解説は以下の通り。

T.T彩たまvs木下マイスター東京 各マッチの解説

1番:チョンヨンシク/平野友樹 2-0 水谷隼/松平健太



T.T彩たまのチョンヨンシク(左)と平野友樹


両ペアの対戦は10月24日の開幕戦以来となった。開幕戦では水谷/松平ペアが2-0で勝利していたが、今回は逆にチョン/平野ペアが平野がチャンスメイクし、チョンが決める見事なコンビネーションでストレート勝ち。

試合を通じてチョンヨンシクのサイドスピンの多くかかったチキータと、フットワークを活かしたフォアドライブの得点率が高かった。

2ゲーム目9-9の場面では水谷のサーブをチョンがクロスへの高速チキータで攻めると、松平のフォアサイドをノータッチで打ち抜き10-9とマッチポイントを握る。勢いそのままに最後はロングラリーを制し、T.T彩たまが幸先の良いスタートを切った。

2番:吉村真晴 3-1 大島祐哉



大島を破った吉村真晴(T.T彩たま)


ダブルスに続き、開幕戦以来の対戦となったこのカードは吉村が手のつけられない大当たりを見せ3-1で勝利。

「吉村には思いっきり打って思いっきり負けろと伝えたら思いっきり勝ってきた。安全なプレーをしたところで吉村のいいところは出ない。吉村のいいところはアグレッシブでトリッキーなところ。」とT.T彩たま坂本監督が試合後にコメントした通り、今日の吉村は迷いなくラケットを振り切るアグレッシブなプレーが目立った。

1ゲーム目は一進一退の攻防で7-7となった場面でバックハンド同士の打ち合いから、バックストレートにコースを変えて打ち抜くプレーが炸裂。その後も大島が繋いだボールをスマッシュ気味の叩きつけるフォアハンドカウンターで得点し、10-8とゲームポイントを握ると、思い切ったロングサーブで得点し11-8で1ゲームを先取。2ゲーム目も吉村の強打がことごとく決まり、吉村が試合の主導権を握る。

3ゲーム目は大島が意地を見せて取り返すも、4ゲーム目は吉村がチキータからのフォア強打など、バックハンドでチャンスメイクし、フォアハンドで決めるコンビネーションがよく決まり、嬉しいシングルス2勝目を挙げた。

3番:チョンヨンシク 1-3 張本智和



張本智和(木下マイスター東京)


1,2番を連取したチームの勢いそのままに、1ゲーム目はチョンが張本に対し5-0でリードする。張本も徐々にエンジンがかかり、デュースまで追いつくも、チョンのロングサーブからのフットワークを活かしたフォアハンド攻撃と、回転量の多いチキータが決まりチョンが1ゲームを先取する。

しかし、2ゲーム目以降の張本にはスキがなかった。「0-5からデュースまで追いついた時点で、たとえ1ゲーム目を落としてもチャンスがあると思っていた。2ゲーム目から冷静になり、あまりいいプレーはなかったがしっかり粘ることが出来た。」と張本が試合後にコメントした通り、ストップレシーブがしにくい絶妙な長さにコントロールされたサーブや、ミスの少ない丁寧なレシーブから、得意のバックハンドで主導権を握ると、時折見せる「ハリパンチ」(フォアスマッシュ)も決まり出す。

チョンもロングサーブや緩急をつけたプレーで試合の流れを変えようとするが、張本が見事に対応し、そのまま3ゲームを連取して勝利した。

4番:岸川聖也 1-3 水谷隼



岸川に勝利した木下マイスター東京の水谷隼


Tリーグのシングルス初出場となる岸川聖也が水谷隼と対戦した。岸川と水谷は2人が組んだダブルスで世界選手権銅メダル2回、全日本選手権優勝5回の記録を持ちお互いを知り尽くしている。

3年ぶりとなる岸川と水谷の試合動画はこちら

2015年の全日本選手権準決勝以来の対戦となった好カードは、岸川が序盤から台上、バックハンド、フォアハンドともにミスの少ないプレーと時折見せるカウンター強打で1ゲームを先取する。

2ゲーム目からは岸川得意のバックハンドを水谷がフォアハンドのカウンターで打ち返す展開が増え、水谷が第2ゲーム、第3ゲームを取り返す。

第4ゲーム、岸川もアグレッシブなプレーを見せるが、水谷のしのぎから攻撃に転じて得点するシーンが多く見られ、水谷がデュースの接戦を制しゲームカウント3-1で勝利した。

31歳の岸川はナショナルチームを退いているが、まだまだトップでやれることをTリーグの舞台で証明した。


T.T彩たまの岸川聖也

5番:吉村真晴 0-1 張本智和

ともにシングルスで勝利し、勢いのある吉村と張本が1ゲーム先取のビクトリーマッチで対戦し、張本が6本連取を含む安定したプレーを見せて11-3で完勝した。

張本は11月25日の岡山リベッツ戦のビクトリーマッチで吉村真晴の弟の和弘に敗れているが、木下マイスター東京の邱監督は「ラストは張本しかないと思っていた。前回は焦って強く打ってしまったので、今回は試合に入る前に整理し、熱くなりすぎないようにアドバイスした」と張本を信頼して送り出すと、張本は見事にその期待に応えた。

試合後、張本は「前回弟さんに負けていて、兄弟に揃って負けるわけにはいかないと思いました。和弘さんだと思ってやりました。前回ビクトリーマッチで負けた直後はコーチの父に、もう5番出たくないと伝えたりもしましたが、オリンピック決勝3-3の舞台を見据え、準備をして臨みました」と苦悩を乗り越えての勝利であったことを明かした。



試合後に安堵の表情を浮かべる張本智和(左)とコーチで父の宇さん

「1ポイント目を取られてから整理できて、1ゲームの中で修正できました。」(張本)とのコメントの通り、吉村が強烈な台上強打で先制した後、冷静に3連取し試合の流れを作るなど、メンタル面での成長を見せた。

12/9 T.T彩たま 2-3 木下マイスター東京

◯チョンヨンシク/平野友樹 2-0水谷隼/松平健太
11-7/11-9

◯吉村真晴 3-1大島祐哉
11-8/11-3/9-11/11-5

チョンヨンシク1-3◯張本智和
13-11/5-11/4-11/8-11

岸川聖也1-3◯水谷隼
11-7/9-11/7-11/11-13

吉村真晴0-1◯張本智和
3-11

写真・文:ラリーズ編集部