昔から「口は災いの元」と言います。それでもついつい、本音はポロリと出てしまうものです。 漫才日本一を決める今年の「M‐…
昔から「口は災いの元」と言います。それでもついつい、本音はポロリと出てしまうものです。
漫才日本一を決める今年の「M‐1グランプリ」では終演後、「とろサーモン」の久保田かずのぶさんと「スーパーマラドーナ」の武智正剛さんが審査員の上沼恵美子さんに暴言を吐き、大騒動に発展してしまいました。
しかし、野球界にとっても舌禍騒動は対岸の火事ではないのです。
過去、勢いのままに口走ってしまったあの一言が、大問題に発展した例は枚挙に暇がありません。今回はその中でも3つの例を検証しながら、未来を生き抜くためのヒントをつかみたいと思います。
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阪神・江本孟紀投手「ベンチがアホやから野球がでけへん」
最高です。最高としか言いようがありません。まさに「声に出して読みたい日本語」と言えるでしょう。
1981年8月26日、甲子園での阪神戦後に、歴史的暴言は生まれました。2点リードで迎えた八回二死二、三塁、打席には水谷新太郎選手。敬遠か、勝負か、内野がマウンドに集い、指示を仰ごうとベンチを見つめますが、何とその時、中西太監督がいない…。そうこうしていたら同点に追いつかれ、この回終了。
エモやんはあきれてベンチを出て、ロッカールームに引き揚げます。そこでスポーツ各紙の若手記者に「アホちゃうか」と首脳陣批判を繰り広げてしまったのです。
タテ社会の野球界にとって、首脳陣批判はタブー。
球団サイドは「10日間の謹慎」を課そうとしましたが、それを知ったエモやんは翌日、何と引退を表明しました。ちなみに「ベンチがアホやから野球がでけへん」と言ったわけではなく、発言をつなぎ合わせた結果、このように報道されたのが真相のようです。その時、エモやんは34歳でした。
近鉄・加藤哲郎投手「巨人はロッテより弱い」
1989年10月24日、近鉄は巨人との日本シリーズで開幕3連勝。
日本一へ一気に王手をかけます。勝利投手になった加藤投手は報道陣に囲まれ、こう言いました。「この程度の相手に負けたら、西武やオリックスに申し訳ない」。まだセ・リーグとパ・リーグの間に、人気の格差があった時代です。「実力のパ」を勝ち抜き、リーグ優勝した誇りがその胸中にはあったのでしょう。
そして報道陣はその年、リーグ最下位に沈んでいたロッテを引き合いに出し「ロッテより弱い?」と尋ねます。ここで加藤投手は「そうですね」と答えました。これが「巨人はロッテより弱い」という発言になった-というのが野球界の「定説」です。
反響は凄まじいものがありました。
翌日の紙面で大きな見出しとなったこのフレーズは、巨人ナインの闘志に火をつけてしまった。ジャイアンツはここから4連勝で逆転日本一を達成。第七戦で投げた加藤投手からホームランを放った駒田徳広選手が「バーカ」と言い放ったというエピソードも有名です。
そして関西ローカル球団のいち先発右腕だった加藤投手の名は一躍全国区に躍り出、今もなお日本シリーズの「伝説」としてファンの間で語り継がれています。
開星高校・野々村直通監督「21世紀枠に負けたことは末代までの恥です。腹を切りたい」
2010年の選抜高校野球1回戦、甲子園のアルプススタンドがざわめきました。
島根の強豪・開星高校が21世紀枠で選出された和歌山の公立進学校・向陽高校に敗れ、初戦敗退となったからです。甲子園大会では試合後、監督と選手が一人ずつ「お立ち台」に上がり、インタビューに臨みます。
ここでその発言が飛び出しました。
高校野球は「教育の一環」。高野連がこれらの言葉を看過するわけがありません。3日後には監督を辞任する事態になってしまいました。しかし、野々村監督には温かい人柄を慕う教え子が沢山いました。「監督、もう一度ユニホームを着て、采配して下さい」との声が相次ぎ、2011年4月に復帰。その夏の甲子園では1勝を挙げて、指導者生活にピリオドを打ちました。
その後は著書「やくざ監督と呼ばれて」を上梓するなど、教育評論家としても活躍。人間的な魅力にあふれた教育者として、現在の教育に独自の視点で提言なども行っています。
3名に共通して言えることは、舌禍騒動で自らの価値を下げるのではなく、最終的にそれを肥やしにして、活躍のステージを広げていったことです。
ピンチはチャンス-。
まさにそれを具現した生き様といえるでしょう。久保田さんや武智さんもこの騒動を糧にして、前に進んで欲しいですね。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]