今シーズン、約2年4ヶ月ぶりの世界ランキングトップ10返り咲きを果たしたケビン・アンダーソン(南アフリカ)。203cmの長身から叩き込む、破壊力抜群の高速サービスを持つ選手だ。32歳にして初のツアー最終戦出場を果たした、そんなアンダーソンの…

今シーズン、約2年4ヶ月ぶりの世界ランキングトップ10返り咲きを果たしたケビン・アンダーソン(南アフリカ)。203cmの長身から叩き込む、破壊力抜群の高速サービスを持つ選手だ。32歳にして初のツアー最終戦出場を果たした、そんなアンダーソンの今シーズンを振り返る。

■約2年4ヶ月ぶりのトップ10返り咲き

アンダーソンは2015年10月に1週のみ世界ランキングトップ10入りしたが、2016年シーズンは膝、股関節、肩などの故障に苦しみ順位を落とし、2017年1月には80位となっていた。

復調した2017年は「全仏オープン」「ウィンブルドン」でベスト16入り、「全米オープン」で準優勝。そして2018年2月に世界ランキング9位となり、約2年4ヶ月ぶりのトップ10返り咲きを果たした。その後は10位以内を保ち、年間最終世界ランキング6位で今シーズンを終了した。

■グランドスラム史上2番目の長さ、驚異の試合時間6時間36分

7月の「ウィンブルドン」準決勝、身長208cmジョン・イズナー(アメリカ)とのビッグサーバー対決で驚異の試合時間6時間36分を記録。グランドスラム史上2番目に長いこの死闘を制し、アンダーソンは決勝進出を果たした。

ATP公式サイトによると、試合後アンダーソンは「本当に消耗戦だった」「普通のテニスの試合や戦術の域を超えている。どっちが相手よりも長く持ちこたえられるかの勝負だ」と過酷さを話し、「6時間以上コートにいる状況で第5セットに入るのは、本当に身体にとってきつい。前に進み続けようとするのみだ。とにかく戦い続けるために、精一杯やった」と振り返った。

「ウィンブルドン」は2019年から、最終セットでゲームカウント12-12となった際にはタイブレークで決着をつける新ルールの採用を決定。アンダーソンとイズナーの死闘は、「ウィンブルドン」のこの決定に大きく結びついたであろう。

■「本当に大きな目標だった」。32歳で初のツアー最終戦出場権獲得

アンダーソンは2018年、32歳で自身初となるツアー最終戦「Nitto ATPファイナルズ」の出場権を獲得。南アフリカ勢としてシングルスでは23年ぶりの出場権獲得となった。大会公式サイトによると「毎年、出場権の獲得は本当に大きな目標だった」「シーズンの初めから言っていたことなので、ついに実現させることができて、本当に嬉しい」とアンダーソンは喜びを語っていた。

アンダーソンはツアー最終戦で、グループステージ2勝1敗の戦績を残し見事決勝トーナメント進出。また、グループステージ第1戦が行われた日は妻であるケルシーさんの誕生日。勝利したアンダーソンは、オンコートインタビューの時に観客をまきこんでHappy Birthdayの歌を歌う一面も見せた。

準決勝ではノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れ、決勝進出とはならなかったアンダーソン。「とても素晴らしい大会だった。今週はずっとわくわくしていた。一年中追い求めてきたものだ。ここに出場するために、一年中頑張ってきたんだ」と初出場のツアー最終戦を振り返った。

■2018年の主な出場大会・結果

「Nitto ATPファイナルズ」 ベスト4

「全豪オープン」 1回戦

「全仏オープン」 ベスト16

「ウィンブルドン」 準優勝

「全米オープン」 ベスト16

「ATP1000 インディアンウェルズ」 ベスト8

「ATP1000 マイアミ」 ベスト8

「ATP1000 マドリード」 ベスト4

「ATP1000 トロント」 ベスト4

「ATP1000 上海」 ベスト8

「ATP500 アカプルコ」 準優勝

「楽天ジャパンオープン」 ベスト8

「ATP500 ウィーン」 優勝

「ニューヨーク・オープン」 優勝

■終わりに

7月16日更新の世界ランキングで自己最高の5位を記録したアンダーソン。今シーズン2個のタイトルを獲得し、通算シングルスタイトル獲得数は5となった。そしてツアー最終戦後「長年の間、トップ5に入ることは大きな目標だった。来年のこの時期には、トップ3に入っていたい」とアンダーソンは更なる目標を掲げた。

また「達成するには、マスターズ1000やグランドスラムで本当に良い成績を残さなければならない。いくつかの大会で優勝し、マスターズ1000やグランドスラムで決勝に進出し、できれば1回は優勝する必要がある。本当に大きな目標だ」と語ったアンダーソン。2019年シーズンもライバルたちとの熱い戦いを見せ、さらに勝ち上がっていく姿に期待したい。(テニスデイリー編集部)

※写真は「ウィンブルドン」でのアンダーソン

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)