今季序盤から不調のバイエルンは11月も散々だった。チャンピオンズリーグで2勝しているものの、ブンデスリーガでは2分け1敗。しかも引き分けたうちのひとつは、今季の昇格組で、降格の可能性すらあるフォルトゥナ・デュッセルドルフだ。ドイツの盟…
今季序盤から不調のバイエルンは11月も散々だった。チャンピオンズリーグで2勝しているものの、ブンデスリーガでは2分け1敗。しかも引き分けたうちのひとつは、今季の昇格組で、降格の可能性すらあるフォルトゥナ・デュッセルドルフだ。ドイツの盟主らしからぬ日々が続いている。
だからこそ、バイエルンをホームに迎えたブレーメンは勇気を持ってこの試合に臨むことができた。大迫勇也が明かす。
「『リスペクトしすぎないように』とはミーティングから言われていて、しっかりと前からいこうと、プレスをかけていました」
フロリアン・コーフェルト監督がチームに指示した、守りに入りすぎず、前からボールを奪っていこうとする姿勢は、試合開始直後から明らかだった。だが、戦術以前に、バイエルンの選手の能力が高いことは言わずもがなの事実である。大迫のコメントはこう続く。
「どうしてもサイドの選手が速くて、なかなか難しい部分がありました……」
大迫は、前半は左で、後半は右で、相手SBをケアするタスクを与えられていた。その一方で、より攻撃面での貢献も求められた。
「自チームのセンターバックが(ボールを)持った時に、もっと中に入ってこいと。外に張るんじゃなくて中に入ってこい、『もっと中に入ってプレーしろ』と言われていたんです。すごくやりやすかったですね」
バイエルン戦でゴールを決め、チームメイトに祝福される大迫勇也
「前半の左はできたけど、後半の右サイドはうまくできなかった」と反省するが、この日、ブレーメン唯一の得点を挙げたのは大迫だった。バイエルン戦の得点は、何よりも高く評価され、注目を浴びる。
試合は前半20分、昨年の夏までブレーメンにいたセルジュ・ニャブリが押し込んでバイエルンが先制する。だが、33分、左サイドのマックス・クルーゼからのピンポイントのクロスを大迫が頭で合わせた。大迫がマークを外す動きと、クロスのコース、強さがピタリとあった美しい得点だった。
「前に行くふりをして、後ろのスペースを取れたのが一番よかった。ボールの質がよかった」と、大迫はアシストのクルーゼを称えた。
ただ、ドイツで物議をかもしているのは、この時のバイエルンのGKマヌエル・ノイアーのプレーだ。ノイアーはクロスに反応して前に出たが、大迫がヘディングするより先にボールに触ることができなかった。名手ノイアーにしては中途半端な出方で、大迫のヘディングシュートに反応することもできなかった。
大迫のゴールで1-1としたブレーメンだが、後半になると息切れし、再びニャブリに勝ち越し点を決められ、結果は1-2に。ただ、コーフェルト監督は大迫を右に回し、ボランチのヌリ・シャヒンに代えてクラウディオ・ピサーロを投入するなど、攻撃的かつフレキシブルな姿勢を見せ続けた。
ブレーメンはこれで4戦勝ちなし。序盤の貯金も徐々に目減りし、順位も8位に落としている。
「チームとして勝てなかったことが悔しいですね。頭の中をフレッシュな状態に戻せるように、いいトレーニングができるようにして臨みたいなと思います」
試合に勝てていれば、もっと素直にゴールを喜べたはずだが、今の大迫は、チームを勝たせることを主眼に戦っている。そんな様子が潔くもあった。