全米女子オープン最終日は波乱の連続だった。単独首位スタートのリディア・コ(ニュージーランド)の逃げ切りが予想されたが、前半をボギー、ダブルボギーとし、まさかの失速。後半も2ボギーを喫し、優勝争いからズルズルと後退。結局75をたたき、プレーオ…

全米女子オープン最終日は波乱の連続だった。単独首位スタートのリディア・コ(ニュージーランド)の逃げ切りが予想されたが、前半をボギー、ダブルボギーとし、まさかの失速。後半も2ボギーを喫し、優勝争いからズルズルと後退。結局75をたたき、プレーオフ進出を逃し、同大会初制覇は持ち越しとなった。

優勝争いはこの日スコアを5つ伸ばしたアンナ・ノードクイスト(スウェーデン)と、4位タイスタートのブリタニー・ラング(アメリカ)が通算6アンダーでホールアウト。3ホールのプレーオフに突入したが、ここでも波乱が待ち受ける。ともにパーで2ホール目までを終えたかに見えたが、3ホール目プレー中にノードクイストに告げられた一言で事態が一変。ノードクイストが17番でバンカーショット時にクラブをソールしたとして2罰打が付加されると発表。気落ちしたノードクイストはこのホールもボギー。3ホールすべてをパーとしたラングに優勝が転がり込んだ。

優勝争いで波乱が起こる一方で、大きな注目が集まったリオ五輪日本代表争いでも事件が起きた。今大会でも通算1アンダー、11位タイでフィニッシュ。すでに出場権を確定させている野村敏京に告ぐ2番手を決める戦いは、決勝ラウンドに進んだ渡邉彩香のプレーにゆだねられた。渡邉は、5番でバーディが先行。逆転出場に向けて前進したが、9番で痛恨のダブルボギー。11番、14番もボギーとし、この時点で逆転は絶望的かに見えた。ところが五輪出場を熱望する渡邉の心の火は消えていなかった。15番、16番を連続バーディとして息を吹き返した。17番こそボギーとするも、パー5の18番でパーをキープすれば逆転出場が見えてくる状況で、3打目が痛恨の池ポチャ。五輪は夢と消えた。

渡邉と横峯さくらが通算4オーバー、38位タイ。原江里奈は大きくスコアを落とし通算17オーバー、69位タイで大会を終えた。エイミー・ヤン(韓国)、ジ・ウンヒ(韓国)、パク・ソンヒョン(韓国)、コが通算4アンダー、3位タイ。ステーシー・ルイス(アメリカ)が通算3アンダー、7位に入った。2011年から昨年まで、14年のミシェル・ウィー(アメリカ)を除き、韓国勢が制してきた同大会。今年も強さを見せ付けたが、最終日のつめの甘さが目立った。

■届かなかった65ヤード
届かなかったリオへの思い

涙が堰を切ってあふれ出た。最終ホールをダブルボギーとした渡邉の目が真っ赤にはれた。リオ五輪出場権を得るため、少しでも順位を上げたい最終日。「今まで経験したことのない緊張感でした。今まで自分がプレーした中で味わったことのない感覚というか・・・」声を振り絞った。最終ホールはパー5。飛距離に自身のある渡邉だったが、残り220ヤードのセカンドはレイアップを選択。3打目で勝負に出た。距離は65ヤード。「70ヤード打つつもりでと思っていたんですが、届かなかったです・・・」。熱い思いを含んだボールは無常にも池に消えた。大きなプレッシャーのもと戦った大一番を76でホールアウトして肩を落とした。発表された最新の世界ランキングでは、渡邉は45位に浮上したものの、予選落ちした大山志保が43位にとどまったため、渡邉の思いはリオに届かなかった。同じく予選落ちした宮里美香は47位。これにより、野村、大山のリオ行きが正式に確定した。

■全米オープンに次ぐルーリング
メジャーで起こる不幸な出来事

全米オープンで起こったダスティン・ジョンソン問題。最終日にグリーン上でボールが動いたとして、裁定を保留にしたままホールアウトしたとして紛糾したのは記憶に新しい。結局ジョンソンは大量リードを自ら作り出してペナルティを乗り越えて初栄冠に輝いた。今回は逆の結果となってしまった。2009年に全米女子プロを制しているノードクイストの驚異的な追い上げでプレーオフとなったが、勢いのノードクイストがまさかの事態に陥った。3ホールの合計ストロークで行われたプレーオフだったが、2ホール目のフェアウェイバンカーでテークバックの際にクラブが地面にわずかに触れた。「故意ではありませんが、触れました・・・」。ノードクイストの今後の活躍を祈るばかりだ。