ミケル・エチャリのキルギス戦レポートを読む>>「ベネズエラ戦は、ウルグアイ戦から先発を3人変えた。そしてキルギス戦は、そこから11人全員を総入れ替えした。森保一監督は、意識的に多くの選手を起用している。監督としては、直近のアジアカップに…
ミケル・エチャリのキルギス戦レポートを読む>>
「ベネズエラ戦は、ウルグアイ戦から先発を3人変えた。そしてキルギス戦は、そこから11人全員を総入れ替えした。森保一監督は、意識的に多くの選手を起用している。監督としては、直近のアジアカップに向けてチーム力を積み上げているのだろう」
ベネズエラ戦、キルギス戦で森保ジャパンをスカウティングしたスペイン人指導者、ミケル・エチャリは、日本代表の現状をそう考察している。エチャリは、過去にホセバ・エチェベリア、フランシコ・デ・ペドロ、シャビ・アロンソなどのスペイン代表選手を発掘した。2009年から日本代表をスカウティングしてきたのだが、今回、その眼鏡にかなう選手はいたのだろうか。
「森保監督はこれまでの日本のよさを引き継ぎながら、新戦力を積極的に用い、チームを見事に刷新している。もともと日本にはスピード、テクニックのある選手が多い。そのなかで、戦術的なレベルアップが進化を促しているのではないか」
エチャリはそう語って、選手たちへそれぞれの評価を与えている。
GK
シュミット・ダニエル
ベネズエラ戦にフル出場
シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)
「ベネズエラ戦では、大迫勇也の胸にピタリと合わせたり、バックパスをサイドに展開したり、キックのいいところを見せていた。PKは止め切れなかった」
DF
酒井宏樹
ベネズエラ戦にフル出場
酒井宏樹(マルセイユ)
「ベネズエラ戦は、セットプレーから中島翔哉のクロスをボレーで合わせている。相手GKのミスもあったが、身体能力の高さを示した。ロシアW杯前から不動の存在で、この日も右サイドで強度を与えている。ただし終盤、不用意に体を入れようとしてファウルとなり、PKを与えたシーンは反省材料か」
吉田麻也
ベネズエラ戦にフル出場。キルギス戦は後半16分から出場
吉田麻也(サウサンプトン)
「ベネズエラ戦は先発。そこまで多くの仕事があったわけではないが、存在感を示した。前半、相手のクリアをインターセプトし、迅速に中島につけたシーンは出色だった。キルギス戦も後半途中出場し、チームに落ち着きを与えていた」
MF
遠藤航
ベネズエラ戦にフル出場
遠藤航(シント・トロイデン)
「ベネズエラ戦は柴崎岳と連係。取り上げたいプレーが終盤にあった。セカンドボールを拾い、シュートまでいったシーンだ。攻撃しているとき、その背後のスペースをイメージすることができていた」
柴崎岳
ベネズエラ戦にフル出場。キルギス戦は後半14分から出場
柴崎岳(ヘタフェ)
「先発したベネズエラ戦は、前半、あまり目立たなかった。ただし遠藤とのポジション的な補完関係はできていた。後半はカウンターのシーンで、高いクオリティのパスがあった」
守田英正
キルギス戦にフル出場
守田英正(川崎フロンターレ)
「キルギス戦で三竿健斗(鹿島アントラーズ)と補完関係を作り、前線の選手たちとの連係もよかった。3点目につながる縦パスにセンスが見えた」
中島翔哉
ベネズエラ戦に先発し後半23分に交代。キルギス戦は後半27分から出場
中島翔哉(ポルティモネンセ)
「ベネズエラ戦で、ゴールに向かう積極性を見せている。シュートへの意識が高く、常に深く侵入する姿勢で脅威になっていた。ボールキープにも優れ、起点にもなった。ただ、大迫から受けたパスでGKと1対1になったシーンは決められたか。キルギス戦では交代で出場直後、ゴールを叩き込んでいる。シュートへの積極性が結実した形だ」
堂安律
ベネズエラ戦に先発し後半32分に交代。キルギス戦は後半14分から出場
堂安律(フローニンゲン)
「ベネズエラ戦では、得意とする左足でのプレーで、右サイドから中に切り込み、仕掛けている。ダイアゴナルの意識が強い。ただ、シュートの精度は足りなかった。キルギス戦は後半途中から出場し、南野拓実のパスをワンタッチで中島にアシスト。ディフェンスラインの前でプレーする技術に長けたアタッカーだ」
南野拓実
ベネズエラ戦に先発し後半32分に交代。キルギス戦は後半27分から出場
南野拓実(ザルツブルク)
「ベネズエラ戦は、大迫との連携がより滑らかになっていた。攻撃だけでなく、守備の連動も高い。また、周りを生かす知性を持つ。前半25分のコンビネーションプレーは象徴的だった。大迫にパスを出した後、自らはスプリントして相手陣内を駆け抜け、おとりとなってスペースを作り、堂安のシュートに結び付けている」
伊東純也
ベネズエラ戦は後半32分から出場。キルギス戦は先発し後半14分に交代
伊東純也(柏レイソル)
「キルギス戦に先発し、サイドからディフェンダーを引き連れ、室屋成(FC東京)のスペースを生み出していた。積極的にエリアにも入っていた。ただ、2度の決定機は外している」
原口元気
ベネズエラ戦は後半23分から出場。キルギス戦は先発し後半27分に交代
原口元気(ハノーファー)
「ベネズエラ戦は、ドリブルで推進力を見せている。ハリルジャパン時代から、日本人アタッカーとしては抜きん出てプレー強度が高い。キルギス戦は先発し、伊東同様にサイドバックのオーバーラップを促した。左サイドを駆け上がって、マイナスのクロスをファーサイドの伊東に返したシーンは秀逸だった」
FW
大迫勇也
ベネズエラ戦に先発し後半23分に交代。キルギス戦は後半14分から出場
大迫勇也(ブレーメン)
「ベネズエラ戦において、短いボールも長いボールも、前線で起点となって収めるプレーは傑出していた。協調性に優れ、中島、南野、堂安らのプレーを輝かせていた。前半25分の堂安のシュートは入らなかったが、そこに至る大迫自身のボールの受け方とパス出しは完璧だった。キルギス戦は、守田のパスを北川航也(清水エスパルス)がフリックし、それを受けた大迫が冷静沈着に決めた。短い時間だったが、能力の高さを見せている」
杉本健勇
ベネズエラ戦は後半32分から出場。キルギス戦は先発し後半14分に交代
杉本健勇(セレッソ大阪)
「ベネズエラ戦に途中出場し、積極的にボールを受けていたが、失点のシーンでは一瞬で相手に囲まれ、自陣でボールを失ってしまった。キルギス戦では北川と連係し、攻撃の形を作っている。伊東からのクロスをヘディングシュートしたシーンは、強度が足りていなかった」