今年で77回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。早大は4連覇するべく、負けられない戦いであったが、団体総合点が16.8点差で慶大の4年ぶり優勝に。早大が優勝旗を手にすることはできなかった。とはいえ、10m立射60発競技と50m三姿勢60発競技…

 今年で77回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。早大は4連覇するべく、負けられない戦いであったが、団体総合点が16.8点差で慶大の4年ぶり優勝に。早大が優勝旗を手にすることはできなかった。とはいえ、10m立射60発競技と50m三姿勢60発競技ともに2名ずつ個人入賞し、2競技共に団体優勝を果たした。

 開会式で両校のエール交換の後、早大は部員全員で大きな円陣を組み『紺碧の空』を歌い、いよいよ4学年が揃う最後の大会が始まった。10m立射60発競技では団体メンバーの活躍が光った。前田留那(スポ1=埼玉・栄北)は入学して以来の高得点・620点超えの成績で早大の種目別団体優勝に大きく貢献し、相手校・慶大を圧倒させた。平田華(基理2=大阪・四天王寺)は今大会も600点以上を出した。今年度、安定してこの点数を撃てたことは大きな成果だろう。鈴木志佳(人科1=東京・目黒星美学園)は1年生で射撃は大学に入学してから始めたが、同種目の団体メンバーとして他の選手と引けを取らない撃ちを見せた。


毎大会、縦横無尽な活躍ぶりを見せた千葉

 50m三姿勢60発競技では千葉朔海(スポ4=埼玉・栄北)が兼ねてから抱えていた早慶戦で個人・団体ともに優勝という目標を達成。これまで数多くの団体戦優勝に導いたエース・千葉はそれでも「もうちょっと撃てたかな」と冷静に顧みたが、今後の活躍の期待も込められているようにも感じた。50m伏射60発競技では慶大と大きく差がついてしまい、上級生が「不本意な結果」だと語るように、悔しさ残る結果となった。


今大会で射撃を引退する波多

 閉会式では両校の監督が選手に向けて、来年度はより高いレベルでの戦いを、またこれからの大学射撃を担うようにとメッセージを送った。射撃は自分との戦いであるが、部全体のレベルアップもカギとなるのだろう。4年生は今回が最後の学生試合で、射撃場を出る前には口を揃えて「楽しかった」と振り返り、また後輩たちへの期待も多く寄せた。ここで苦楽をともに過ごした経験が、選手たちをまた強くしていく。

(記事・写真 成澤理帆)


早大射撃部一同。最前列は4年生

全出場選手結果

【10m立射60発競技】

▽団体 1822.2点(優勝)

前田 留那 620.6点(個人優勝)

平田  華 601.8点(個人3位)

鈴木 志佳 599.8点

▽個人

満井 菜月 596.6点

椎野  凌 594.6点

保坂 剛志 594.2点

梅津  怜 593.6点

井手 悠太 590.8点

後藤  樹 582.2点

大芝 嶺花 578.3点

高橋 祐衣 578.0点

大貫 裕矢 569.3点

高木  薫 568.5点(エアピストル)

亀山 祥吾 566.7点

清水 拓海 565.7点

上山 敬之 555.6点

石田 和輝 546.9点

泉田  瞳 545.8点

粕谷 美知 539.5点

熊田 圭祐 539.3点

五井野龍了 538.9点

宮崎 晃斗 523.3点

新美 航平 498.6点

江澤  誠  DNS

【50m伏射60発競技】

▽団体 1767.3点(2位)

北嶋 亮太 597.8点

波多 秀馬 593.9点

橋本龍太朗 575.6点

▽個人

加藤  東 592.8点

加藤  一 588.8点

【50m三姿勢60発競技】

▽団体 1683点(優勝)

千葉 朔海 573.0点(個人優勝)

田中 美沙 557.0点(3位)

加藤 モナ 553.0点

▽個人

加藤  東 512.0点

濱本 和樹 525.0点

総合成績
5272.5点(2位)

コメント

波多秀馬主将(政経4=東京・早実)・橋本龍太朗副将(文3=東京・早実)・加藤一主務(文4=茨城・水城)・千葉朔海(スポ4=埼玉・栄北)

――今大会を振り返って

加藤 我々にとって最後の大会ということもあったので不本意な結果だったと思います。

波多 不本意なのは間違いないです。目標にも達成できてないし、今年1年振り返ってみても(私は)ずっと足引っ張っていてばかりだったかなと思います。

橋本 4年生最後の大会の試合で泥を塗ってしまう形になったので、本当に申し訳ない気持ちです。

千葉 個人としては、もうちょっと撃てたかなとというところがあるので、今後頑張っていきたいと思います。

波多 今後、オリンピックがあるから。応援してます。

千葉 ありがとうございます(笑)。

――4年間を振り返って

加藤 私としては射撃があまり上手くなかったのでそれで停滞していた時期はあったんですけども、最後この数ヶ月くらいは結構P(伏射)とか伸びてきて、結構昇り調子になった段階で引退することができたので個人的には満足した4年間だったと思います。

波多 僕も下手で下手で。目標を持つほどの点数を撃てていない状況だったんですけど、今年1年は多少は早慶戦に向けて600点を撃とうかなというレベルに持っていけて。今回は撃てなかったんですけど、そう言う意味では今年1年は楽しめたかなという印象です。

千葉 4年間としては、先輩たちにも同期にも後輩にも恵まれたので、すごい好き勝手やってても一切怒られなかったので、すごく楽しく4年間を過ごさせていただきました!とても楽しかったです。

加藤 楽しかったです。

波多 僕も好き勝手やってました(笑)。

千葉 本当に好き勝手やりました。1年生の時から(笑)。

――射撃部で学んだことを今後どう活かしていきたいですか

加藤 僕は、とりあえずライフル射撃引退して、クレー射撃に興味があるので転向しようかなと思います。

波多 僕は射撃を完全に引退してクレー射撃もやらないです(笑)。射撃をやる人って変な人が多くて、そういう人たちと触れ合えたのはすごい貴重な経験だったのかなと思います。社会人になってからも、変な人たちに会っても動じない精神みたいなのを持てるようになったのは良かったと思います。

千葉 (波多に対して)馬鹿にしてる(笑)。

一同 (笑)。

――後輩たちへのメッセージをお願いします

波多 来年は、橋本が中心になってやっていくと思うんですけど、橋本が先頭に立ってバンバンやっていくようなタイプじゃないと思うので、みんなで(橋本を)担ぎ上げるような感じでやったら上手くいくんじゃないかなと思います。

加藤 今年1年、下級生は結果的に伸びてきたから来年は結構期待できるんじゃないかな。

波多 そうだね、成績は今年より来年(の方がいいだろう)。

千葉 頑張ってください。

波多、加藤 頑張ってください。