試合終了の瞬間東海女王・愛知学院大を大勝で下した慶大は、西の覇者・関西学院大との一戦に臨んだ。勝敗に関わらず、次のステージに進めることが決まっているものの、目標の一つである学生日本一は是が非でも獲得したいタイトルだ。しかし試合が始まるとなか…


試合終了の瞬間

東海女王・愛知学院大を大勝で下した慶大は、西の覇者・関西学院大との一戦に臨んだ。勝敗に関わらず、次のステージに進めることが決まっているものの、目標の一つである学生日本一は是が非でも獲得したいタイトルだ。しかし試合が始まるとなかなか慶大はペースを掴めず、前半をまさかの無得点で終える。後半も序盤から積極的に仕掛け、巻き返しを図る慶大だったが――。

第10回全日本大学選手権大会女子 決勝 vs関西学院大

11/25(日) 14:30ドロー @駒沢オリンピック公園運動場陸上競技場

 前半後半合計
慶大
関西学院大

スタメン

ポジション背番号名前学部・学年出身高得点
28大沢かおり経4学芸大附属国際
DF62櫨本美咲経4慶應女子
DF75平井淑恵商3慶應女子
MF51石田百伽経4慶應女子
MF58清水珠理商2慶應女子
MF66石川のどか政4品川女子学院
MF73伊藤香奈経4慶應女子
MF81野々垣眞希商2慶應女子
MF97小久保磨里奈政4慶應女子
AT32友岡阿美政4慶應女子
AT33西村沙和子商4慶應女子
AT72吉岡美波理4大妻多摩

ベンチ入り選手

ポジション背番号名前学部・学年出身高得点
西村佳子政3東京女学館
MF17脇坂遥香経3慶應女子
MF20溝口友梨奈経2慶應女子
MF59日野美咲商2慶應女子
MF77橋本ひかる政4慶應女子
AT18荒井理沙経3慶應女子
AT26井上ゆり子経2慶應湘南藤沢
AT38石井有花子政3雙葉

駒沢オリンピック公園のほぼ中央に位置する「駒沢オリンピック公園運動場陸上競技場」。昨年同志社大を下し、4年ぶりの学生日本一に輝いた地だ。再びこの大舞台で、勝利の若き血を謳歌できるか。両校のドロワーが配置につくと、試合開始のホイッスルが会場に響き渡った。


華やかな演出で入場する選手

試合は、MF石田百伽(経4・慶應女子)がドローを制し慶大ボールでスタート。最初のポゼッションで、数度のパス交換からMF清水珠理(商2・慶應女子)がドライブを仕掛けフリーシュートの権利を得る。このチャンスは惜しくもものにできなかったが、その後も慶大は積極的に仕掛け好機を演出した。しかし、後一歩のところで得点に繋がらない。すると12分、関西学院大に先制を許してしまう。さらに残り10分には、ディフェンスの反則から隙をつかれリードを2点に広げられる。前半を無得点で終える訳にはいかない慶大は、残り時間わずかに速攻からシュートを狙うもボールはゴーリーに弾かれ、得点ならず。まさかの0得点で試合を折り返した。


苦しい時間が続いた前半は無得点に終わる

後半は関西学院大ボールでスタートしたが、スティールに成功するとMF野々垣眞希(商2・慶應女子)、MF伊藤香奈(経4・慶應女子)とパスを繋ぎ、最後はAT吉岡美波(理4・大妻多摩)がゴールを決め、慶大がついに初得点を挙げる。ここから反撃の狼煙を上げたいところだったが、「自分たちがばたついてしまった」(友岡)と話したように、ここから3分間で逆に2点を追加されてしまう。残り8分に石田のシュートで1点を返したものの、一度逃した流れを再び掴むことはできず、これ以降は無得点。最終スコア2-5で2年連続となる学生王者を獲得することはできなかった。


泣き崩れる伊藤

「慶應ってこんなもんなのか、というような試合をしてしまった」と友岡主将が悔やんだように、この日は慶大の持ち味を発揮することができなかった。リーグ戦、トーナメントを通じて高い得点力を発揮してきたチームが、まさかの前半無得点。悔しさばかりが残る敗戦となったが、18チームはここで終わりではない。2週間後にはクラブチームも交えた全日本選手権大会が控えている。次のステージこそは、決勝の舞台で若き血を響かせてほしい。


ここからの逆転劇に期待だ

(記事:内田貴啓 写真:五十右瑛士・菊池輝・伊藤史織・堀口綾乃

次戦 12月9日(日)全日本選手権大会 準決勝

@大阪府 ヤンマーフィールド長居

◇以下選手コメント◇

友岡阿美(政4・慶應女子)

――今の率直なお気持ちは

学生日本一を取りきれなかったのもそうですし、関東の決勝も、「慶應ってこんなもんなのか」というような試合をしてしまったことが残念だなと思います。

――試合内容を振り返って

前々から相手は一対一の対人ではすごく自信を持っていることは分かっていたのですが、そこに対してプレッシャーを感じていたのか、自分たちが空回りしてしまった部分があって、オフェンスが点を取り切れなくて、その流れがディフェンスにも少し影響してしまったと思います。点を取れなかったのが、一番の敗因に直結してしまったので、残念に思います。

――自分たちが崩れてしまったという感じでしょうか

相手もすごく良かったのですが、自分たちが自分たちのやりたいことをできませんでした。

――追う展開でしたが、チームの雰囲気などは

慶應は結構立ち上がりが良くないので、追う展開は想定内ではあったと思います。慌てることはなかったですが、自分たちがやりたいことをどうしていくのか、というところで試合中に立て直すことができませんでした。

――ハーフタイムにはどういったことを話していましたか

ディフェンスはフリーシュートで取られただけだったので、そのままでいいよと。アタックでは、もう一個先まで展開していこうという話をしていました。

――後半は先に得点しました

すごくいい展開だったと思います。中へ中へという意識で入れて、いい流れが来るかなと思ったのですが、そこから自分たちがばたついてしまったなと思います。

――相手の攻撃はいかがでしたか

私たちも前線でプレスを上げていたのですが、逃されていい形で持っていかれて、そこから点を取られた印象があるので、すごく上手かったなと思います。ディフェンスの方が持ちが良くないという考えだったので、プレッシャーをかけて、奪ってゴールへという展開を考えていたので、前からという意識はしていました。

――今日の敗戦はどう捉えていますか

点を取れなかったのが、一番の敗因ですし、今まで勝ってきた中でも「慶應ってこんなものなのか」というところが、一番顕著に出た試合だったかなと思います。

――足りない部分はどういったところになりますか

自分たちがボールを持てる分、そこから展開しないと意味がないので、どうしたら展開してディフェンスの間を突いていけるかを、もっと得点に繋がるかなと思います。

――ご自身のプレーを振り返って

点を取れなかったこともそうですし、点に関わる機会も少なかったのも、反省点です。ですが、みんなで上げるところ引くところという共通認識は持ってできていたと思うので、そこはこれ以降も意識して、点に関われるようにしていきたいです。

――今後に向けて意気込みを

試合は勝っても2試合しかないですし、日本一までの試合も残り少なくなってきたので、自分たちがどこが強くてどこが弱いのか、どこを伸ばせばいいかを考えて、地道に取り組んで、あと2週間で大阪でクラブをぶっ倒して、京都で暴れたいと思います。

吉岡美波(理4・大妻多摩)

――今日の試合振り返って

学生日本一は絶対に取りたいタイトルの一つだったので、負けてしまったことがただただ悔しいです。

――1得点1アシストの活躍でした

私が得意なプレーがたまたまハマっただけで、チームプレーの一環として結果を残せたので、みんなのおかげだと思っています。

――オフェンスが停滞した原因は

それぞれの役割がある中で、個人任せなプレーが多かったなと思います。もっとチーム力を上げて攻めていけたら良かったなと思いました。

――ディフェンスは

ただただナイスディフェンスだったと思います。私たちアタック決めきれなかった点が今日の負けに直結していると思うので、今日はアタックのせいです。

――相手の印象は

一人一人がガタイが良くてよく走っているチームだなという印象です。それでも絶対勝てると思っていたので、本当に勝てなくて悔しいです。

――次戦に向けて

負けて終わるチームが多い中で私たちたちは幸運なことにまだ2戦残っているという状況に感謝して、また全日本の決勝という舞台に立って次こそは絶対日本一になりたいと思います。

石川のどか(政4・品川女子学院)

――今日の試合を振り返って

絶対に勝てると思っていたし、勝ちたかったんですけど、やっぱり最後に決めきる力とかちょっとずつ足りない力があって負けてしまいました。まだまだ自分たちの実力が足りなかったかなと思います。

――DF面を振り返って

相手が1on1で来るとスカウティングしていて、そこの部分ではディフェンスは崩されていなかったので手応えは感じました。

――チームの雰囲気は

最後の最後までみんな負ける顔はしていなくて強気でいたので、勝つという強い雰囲気を保てていたのではないかと思います。

――これから社会人チームと対戦するにあたり、ディフェンスで詰めていきたいところは

オフェンス時間中のディフェンス準備だったり、ディフェンス同士の距離感だったりコミュニケーションの取り方だったりはまだまだ変えていけると思います。チームとしては連携という部分を高めていって、個人としては対峙という面でまだ伸びしろがあると思うのでそこを伸ばしていきたいです。

――次戦に向けての意気込みを

今回負けてしまったんですけど、終わりではないというところがラッキーだと思うので、日本一というタイトルは慶應が取りに行きたいと思います。

石田百伽(経4・慶應女子)

――試合を振り返って

絶対に勝てる相手でしたし、関東の基準で私たちのラクロスを50分間続けられたら負けるところはなかったと思います。結果的に負けてしまって、不甲斐ないというか自分たちの試合をできなかったことへのいらだちとか悔しさの方が大きいです。

――相手の印象は

個々の力が強いとは言われていたのでそこに対してどう攻めていくのかを考えていました。私たちも個々の力だったり運動量だったり相手チームと似ているところがあったので、そこはプライド持って絶対負けないぞって気持ちでやってました。

――相手の守備を崩せない時間が続きました

最初の2本のシュート決められたんですけど、あれが両方ともフリーシュートからだったので、ディフェンス的には負けてる気はしませんでした。ただやっぱり結果的に2ー5ということで2点しか決められなかったところが攻撃力の弱さかなと思いました。

――ご自身の得点を振り返って

あの時間はかな(伊藤香奈)が鼻血出しちゃって、もう絶対私が入ってやると思ってコーチにアピールをして入れてもらいました。出たからには死ぬ気でチームに貢献してやろうという思いで出たので、点数という形で決められて良かったです。あれは気迫のシュートだったかなと思います。

――次は社会人との対戦になります

社会人はみんな一人一人の選手が技術力も高くて、そういうところでは大学チームは劣ってるところがあると思います。ただ若さとか意地とか体力という部分は大学生が優っていると思います。自分たちを信じて、こんな試合を見せて終わらせるわけにはいかないので、トップチームだけでなくてチームみんなのためだったり応援してくださっている方々のためにも、もっといい形の試合を見せられるように頑張りたいと思います。

――次の試合に向けて修正していきたいところは

どんな状況でも自分たちのプレーの水準を一定に保つのは大事だなとこの試合ですごく感じたので、どんな相手だろうと自分たちのプレーを曲げないというか、50分間やりきるところに焦点を当てて頑張りたいなと思います。