写真は2018年11月度世界ランキング3位の石川佳純(全農)/撮影:千葉格(アフロ)国際卓球連盟(ITTF)が公式サイトで世界ランキング規定の改定を発表した。今年1月の改定では、過去のポイントを蓄積するレーティングポイント制が廃止され、直近…

写真は2018年11月度世界ランキング3位の石川佳純(全農)/撮影:千葉格(アフロ)

国際卓球連盟(ITTF)が公式サイトで世界ランキング規定の改定を発表した。

今年1月の改定では、過去のポイントを蓄積するレーティングポイント制が廃止され、直近1年間の大会の成績で世界ランキングを決める抜本的な改定となったため大幅な順位の変動をもたらした。

今回発表された2019年1月1日施行の新規定については、11の変更点が発表されたが、現行ルールを概ね引き継ぐ形だ。変更点の特徴としては、ワールドカップなどの獲得ポイント有効期間が「12ヶ月間」から「翌年の同大会まで」になるなどの調整的要素が強い内容となっている。

新ルールにおいて、最も日本選手への影響が大きいと思われるのは、「ワールドツアー優勝の価値が現行ルールよりも高まる」点だ。2018年のツアー優勝実績(注:ITTFワールドツアーのプラチナとメジャーシリーズのみ)を見ると中国男子は樊振東3回、馬龍2回、許シン2回、女子は王曼イクが3回の優勝を誇る。一方の日本男子は張本智和と吉村和弘が1回ずつ、女子は石川佳純2回、伊藤美誠2回と続き、中国が一歩リードしている状況だ。

東京五輪の前年となる2019年のルール変更が世界中の卓球アスリートに与える影響は大きい。その概要を総ざらいする。

卓球世界ランキング規定 11の変更点(2019年1月施行)

変更点1:獲得ポイントは「翌年の同大会まで」有効に

現行ルールでは、過去12ヶ月の大会の結果により獲得したポイントが有効となっている。しかしながら、このルールでは前年度にも行われたものの、開催月が異なっている同大会のポイントも加算される。例えば2017年10月に女子ワールドカップが開催されたが、2018年は9月に女子ワールドカップが開催された。そのため、2018年の女子世界ランキングでは、女子ワールドカップの結果が2大会分加算され、2大会連続でワールドカップに出場した選手の世界ランキングが10月に急上昇することになった。このような事態を防ぐために、2019年からはワールドカップ、グランドファイナル、大陸選手権の獲得ポイントの有効期間を、「次の同大会まで」に改定される。

変更点2:アジア大会など地域大会のポイント加算は1大会まで

マルチスポーツイベントと呼ばれる、地域大会での獲得ポイントは、各選手1大会のみの加算が上限となる。所属している地域によって参加できるマルチスポーツイベントの数にばらつきが生じていたことが改定の要因であり、日本選手が参加している大会ではアジア競技大会などが該当する。

変更点3:シード選手の初戦敗退における獲得ポイントの半減を廃止

これまではシード選手が決勝ラウンド1回戦で敗れた場合は、獲得ポイントが半減になるルールになっていたが、より計算を単純化することを目的に半減ルールを廃止する。これに伴い、決勝ラウンド1回戦敗退と予選ラウンド敗退の間の獲得ポイント差を小さくする変更も行われる。

変更点4:優勝を高く評価 順位に応じた獲得ポイントが変更

2019年から追加されるITTFチャレンジプラスの獲得ポイントが発表された他、2019年各種ワールドツアー、世界卓球、ワールドカップなどの大会での順位に応じた獲得ポイントの変更も行われる。優勝、準優勝、ベスト4の間の獲得ポイントの開きが大きくなり、優勝の価値が相対的に高まる他、予選敗退時の順位に応じた獲得ポイント差は小さくなり、予選で上位に進出することの価値は逆に低くなる。詳しい獲得ポイントの一覧はITTF公式ドキュメントに記載されている。

その他の変更点

以上の4つの主要な改定の他にも、細かい点で7つの変更が発表された。
●決勝トーナメントに進出した際の予選リーグでの獲得ポイントの非加算
●ユース五輪などのシード条件(大会出場数規定の例外措置を追加)
●怪我や妊娠の際のシード権に関する特別処置(怪我や妊娠の前の結果を考慮)
●ペナルティルールの加筆(これまでは別の文書であったものを統合)
●U21やジュニア・カデットの大会の見直し(U21ワールドツアーの廃止とチャレンジプラスの新設など)
●世界ランキングの発表頻度(システムが整い次第、毎週更新)
●混合ダブルスのシードは、混合ダブルスのみの結果で決定(以前は男子ダブルスと女子ダブルスの結果を加味)

日本選手にとって、世界ランキングは2020年東京五輪の代表権獲得に向けて極めて重要となる指標であるが、そのルールが変更されることで代表争いにも影響が出る可能性がある。新ルールを追い風に、代表を掴むのは誰になるのか。2018年最後のグランドファイナルも迫っているが、2019年のITTF大会からも目が離せない。

文・ラリーズ編集部