ブンデスリーガ第11節ドルトムント対バイエルン・ミュンヘンの一戦は、ドイツ国内で久々に見られた面白い試合だった。香…
ブンデスリーガ第11節ドルトムント対バイエルン・ミュンヘンの一戦は、ドイツ国内で久々に見られた面白い試合だった。香川真司が長きにわたって所属するドルトムントが勝ったからというような単純な理由ではない。本気になったバイエルンが見られたからだ。バイエルンを本気にさせるほど、今季のドルトムントが強いとも言えるのだが。
ドルトムントに敗れ、硬い表情のロベルト・レバンドフスキとトーマス・ミュラー
バイエルンは現在リーグ6連覇中。ところが7連覇を目指している今季は、第11節終了時点で5位と低迷している。序盤、なかなかエンジンがかからなかったのは、ユップ・ハインケスからニコ・コバチへの監督交代と、多くの選手を送り出しているドイツ代表がロシアW杯で早期敗退したことの影響と言われている。
首位を快走しているドルトムントとの比較でいうと、過去6シーズンの12回は、すべてドルトムントが追う立場で対戦し、ドルトムントの2勝2分8敗だった。ドルトムントはチャンピオンズリーグの決勝で1回、ドイツ杯の決勝でも2回、バイエルンに敗れており、とても互角とはいえない成績だった。
ちなみにバイエルンが6連覇する前はドルトムントが2連覇を果たしており、2011~12シーズンの最終戦、ドイツ杯決勝でもバイエルンを圧倒して優勝した。香川獲得のためにマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン元監督が訪れていた試合である。バイエルンはユルゲン・クロップ率いるドルトムントに必死にぶつかっていったものだが、今季の一戦はそのころを彷彿とさせた。
バイエルンの公式サイトは、敗れたにもかかわらず、このドルトムント戦を「今季最高のパフォーマンス」と、振り返っている。また、コバチ監督は「見ている人にとっては面白い試合だっただろう。すばらしい試合だったが敗れてしまった」、ウリ・ヘーネス会長も「両陣営の卓越した試合」と、評価していた。
試合では、序盤からアウェーのバイエルンが猛攻をしかけた。まさになりふり構わない攻撃で、ロベルト・レバンドフスキのゴールにより先制する。だが、後半になると流れは徐々にドルトムントに傾き、最後は途中出場のパコ・アルカセルが決勝点を挙げて、3-2でドルトムントが勝利を収めた。試合終盤には、バイエルンのGKマヌエル・ノイヤーまで相手ゴール前に上がって得点を狙い、逆にカウンターをくらってフランク・リベリーが必死の守備を見せるという、まさに必死になったバイエルンが見られた。
これでバイエルンと首位ドルトムントとの勝ち点差は7にまで広がった。優勝しても監督のクビをすげ替えることのあったバイエルンにとっては由々しき事態である。
クロアチア人のコバチ監督は、現役時代にバイエルンでプレーした経験があり、完全に外部から呼んできた指導者という受け止め方はされていない。しかも、低迷していたフランクフルトを立て直し、ヨーロッパリーグ出場に導き、昨季はドイツ杯で優勝するなど実績も十分だ。「間違いなくいい監督」と、長谷部誠も絶賛している。
それがなぜバイエルンではうまくいかないのか。昨季から大きくメンバーが変わったわけではなく、戦力的には他を圧倒しているのだから、やはり今のところ、コバチとチームの相性が合っていないと言わざるを得ない。
具体的な戦術への批判が特に出ているわけではないが、あえて昨季までとの違いを言えば、守備面での規律を求めていることと、スタメンが毎試合のように変わることが挙げられる。後者についてはハメス・ロドリゲスが「我々は(選手を入れ替えて競争させることで勝てた)フランクフルトではなく、バイエルンだ」と批判したと言われ、話題になったが、コバチ監督はこれを否定している。
まだ監督の去就問題には至っていないものの、首位と勝ち点7差というのは少し開きすぎだ。早いうちに差をつめていかないと、雑音が出てくるのは間違いない。
とはいえ、6連覇中のバイエルンが苦しみ本気になる姿が、リーグ戦を面白くしているのは間違いない。バイエルンだからといって、余裕で他のチームをいなしていられるシーズンではないということだけは確かだ。