今シーズン最後の公式戦となる全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)が日通自動車学校にて行われた。ジムカーナやダートトライアルと比べてより細かな技術が求められるこの試合に、早大からは男女合わせて6人が出場。男子小型乗用の部Bでは平川慶…

 今シーズン最後の公式戦となる全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)が日通自動車学校にて行われた。ジムカーナやダートトライアルと比べてより細かな技術が求められるこの試合に、早大からは男女合わせて6人が出場。男子小型乗用の部Bでは平川慶一主将(創理4=神奈川・光陵)が3位、男子小型貨物の部Bでは鷹尾一成(先理2=神奈川・桐蔭学園中教校)が見事優勝に輝くものの、男子団体の部では3位と健闘したがまたも団体優勝を逃す結果に。そして城越明日香(商3=福井・藤島)と大沼すず音(国教1=東京・日比谷)がコンビを組んだ女子団体の部では、初出場ながら3位と好成績を収めた。

 男子小型乗用の部Aには綠川壹丸(基幹2=東京・早実)が出場。3位以上を目標に挑んだ綠川であったが、出走前の車の位置調整の際にスタートペナルティーを受けてしまう。それでもその後は安定した走行を見せ、5分23秒を記録し5位となる。男子小型乗用の部Bに出場したのはエース・平川。平川も大きなミスなく走り切り、6分2秒を記録。しかし総減点の差で惜しくも3位となってしまう。「一言で言うと本当に悔しい。あと1秒速ければ、あと1つペナルティーが少なければ」と平川は唇をかんだ。

 また男子小型貨物の部Aには渡邉道理(基理2=富山・片山学園)が出場。初の全日本での走行となったが、5分55秒で4位と健闘する。「2年生としてある程度、最低限の働きはできた」と渡邉は振り返った。そして男子小型貨物の部Bに出場した鷹尾は、練習時から調子を維持し、自信を持ってこの試合に挑んだ。他大学の選手が手こずる箇所も、堂々たるハンドルさばきで難なく突破。そのままノーミスで完走し、6分16秒を記録した。「先月の五大フィギュア(五大学対抗フィギュア定期戦)で自分がミスをしてしまって、タイムは速かったんですけど、順位を下げてしまった。その反省を生かして今回挑んだ」という鷹尾。見事公式戦初優勝を飾った。
各選手が安定した成績を残したものの、男子団体の部は惜しくも3位。ペナルティーなどによる減点が大きく響き、昨年以来の団体優勝を果たすことはできなかった。


公式戦初優勝を果たした鷹尾

 一方、女子小型乗用の部には大沼が出場。大沼は初の公式戦となり、「やりたいことは10パーセントくらいしかできなかった」と振り返るが、6分59秒を記録。ミスもあり7位に沈んだが、しっかりと完走してみせた。そして女子小型貨物の部には城越が出場。慎重な試合運びでミスなく走り終えるものの、6分53秒とタイムが伸び悩み、4位に終わる。「ことし1年間の目標として、4年生の厚い層をいかに破って勝つかということに重点を置いていたんですけど、最後の一番大きい大会でそれを成し遂げられなかった」と城越は悔しさをにじませた。
また初のエントリーとなった女子団体の部では3位と、全国の舞台で結果を残した。


公式戦初出場となった大沼

 「悔しい」。試合後、多くの選手たちがこう口にした。この試合も男女ともに団体3位に終わり、今シーズンは全国タイトルを獲得することができなかった早大。この結果10年ぶりとなる全日本学生自動車連盟年間総合杯(全日本総合杯)の獲得も逃してしまった。しかし、今大会の難易度の高いコースに苦しむ大学が多い中、早大の6選手は全員完走。さらにメンバーのほとんどが下級生と選手層の厚さを見せつけた。「今の2年生は2年前の自分のレベルをはるかに超えてきている。自分たちが教えてきた代が1、2年後に強い代と他大から、日本中から言われていたらうれしい」と今大会で引退となる平川は、ことし多くの経験を積んだ後輩たちの活躍に期待する。来年こそ全国タイトル、そして悲願の全日本総合杯獲得へ――。早大自動車部は新たなスタートを切る。

(記事 永池隼人、写真 永池隼人、細井万里男)


これからの自動車部の活躍に目が離せない

結果

▽男子団体の部

3位 早大

▽男子個人の部

小型乗用の部A 5位 綠川

小型乗用の部B 3位 平川

小型貨物の部A 4位 渡邉

小型貨物の部B 優勝 鷹尾

▽女子団体の部

3位 早大

▽女子個人の部

小型乗用の部 7位 大沼

小型貨物の部 4位 城越

コメント

平川慶一主将(創理4=神奈川・光陵)

――本日の試合を振り返っていかがですか

試合となると練習よりはペースは遅くなることはわかっていたので、走り終わった後のタイムはこんなもんだろうと思っていたんですが、慶大と明大の選手と同率の減点で、同率の判断基準で3位になってしまったので、あと1秒速ければという本当に悔やまれる大会でした。

――本日までにどのようなご準備をチーム全体でされてきました

フィギュアの練習を始めたのが夏のシーズンが終わってからだったんですが、このコースが発表されてからは新潟の松代の自動車部の練習場にコースをひいて、ひたすら練習しました。ただきょう来てから下準備したんですが、コースが狭かったりしたので、もうちょっとコースの分析とかここに来てからの準備が足りなかったのかもしれません。

――改めて本日の走りを振り返っていかがですか

一言で言うと本当に悔しいです。同率だったので、あと1秒速ければ、あと1つペナルティーが少なければ、自分の優勝はもちろんですが、団体も計算上は優勝だったと思うので、本当に悔しいです。他大学も練習と違ったミスをしていたと思うので、そういう意味では完敗です。あと一歩詰めが足りなかったなと思います。

――団体3位という結果はどう評価していますか

フィギュアに関してはダートトライアルやジムカーナと違って、強い大学が限られていて、もっと上を目指せると思っていたのですが、やはりレベルの高い大学はどこに行ってもレベルは高くて、きょうも接戦になって負けてしまったので、本当に悔しい結果です。

――主将としてチームを引っ張ってきたこの1年間を振り返っていかがですか

自分が特に部にもたらしたことは多くなかったんですが、2、3年生の成長が著しくて、本当にそこに救われたというか。同期が急にやめちゃったりとかいろんなことがあったんですが、そんな中で後輩たちはしっかり自分たちでモチベーションを持って練習していて、今回の選手層も4年生は自分だけで、団体も他は2年生だったので、そこよかったなと思います。

――後輩に期待することはありますか

今の2年生は2年前の自分のレベルをはるかに超えてきているので、本当に今の時点でも追いつかれそうな勢いでした。自分たちが教えてきた代が1、2年後に強い代と他大から、日本中から言われていたらうれしいなと思います。

――最後に4年間共に戦ってきた同期への思いをお願いします

今シーズン振り返ると自分が選手としてずっとやっていて、同期は選手として出る活躍はどうしても少なくなってしまったのですが、そんな中でも車両を作ってくれたりサポートしてくれたり、本当に頼れる同期だったなと思います。

鷹尾一成(先理2=神奈川・桐蔭学園中教校)

――本日の試合を振り返っていかがですか

先月の五大フィギュア(五大学対抗フィギュア定期戦)で自分がミスをしてしまって、タイムは速かったんですけど、順位を下げてしまって。その反省を生かして今回挑んだんですけど、その反省がよかったのか個人で優勝できて、ペナルティーもなかったので、自分の持っている実力は出せたのかなと思います。

――改めてご自身の走りを振り返っていかがですか

昨日とか先週とか新潟の松代で練習していたんですけど、その時から試合と同じシチュエーションで練習してきて、タイムもきょうの6分17秒くらいかこれより10秒速いくらいと安定していたので、自信を持って挑めたんですけど、いかんせん他大がどのくらいのレベルなのかわからなくて。他大も前日から練習していていろいろ考えてきているという中で、1カ月自分を信じて練習に励んできたんですけど、それがどのくらい通用するのかが若干不安でした。

――個人優勝という結果はどう評価していますか

自分は2年生から全関東、全日本ダートトライアルにも出させてもらったんですけど、全関東では1本目にスピンして、全日本では2本目で車両トラブルで勝てなくて。全日本では3、4年生が混じっている中で9位になれたのでうれしかったんですけど、やっぱり結果にはつながらなくて。でも今回は結果につながって、三度目の正直というか、結果に表れて非常にうれしいです。でも内容的には技術面で今回2位だった慶大の由利(直輝、2年)にまだまだ劣っているので、3カ月で全関東フィギュアがあるんですけどあと1年来年の全日本フィギュアに向けて練習していければなと思います。

――ことしは多くの試合に出場されました。これからの目標をお願いします

今回個人で優勝することができたんですけど、もちろん来年には3年生になって自分たちが引っ張っていく立場だと思うので、個人では選手になるのはもちろんですけどダートトライアル、ジムカーナだけじゃなくフィギュアも全部優勝して、団体ももちろん優勝して、全日本総合杯を3、4年生で取ることが自分の夢です。

綠川壹丸(基幹2=東京・早実)

――本日の試合を振り返っていかがですか

きょうは走り自体はよかったんですけど、スタートペナルティーをしてしまって、それがすごく悔しいです。

――スタートペナルティーとは具体的にはどのようなことですか

最初にスタートの位置を調整できて、調整できる範囲が決まっているんですけど、自分はそこを通り越してしまって、それだけで1分のペナルティーを受けてしまいました。それがなければ3位にはなれたと思います。走り自体のペナルティーはなかったんですけど、スタートする前に重大なペナルティーを受けてしまって、それが団体順位にも響いてしまったので、悔やんでも悔やみ切れないです。

――改めて本日の走りを振り返っていかがですか

練習のベストタイムよりは40秒くらい遅かったんですけど、大会としてはこんなものなのかなと。大会の中ではいい走りができたと思います。

――5位という順位はどう評価していますか

もう少し上は狙えたかなと思います。自分的には3位には入りたかったです。今回優勝した慶大と全日本総合杯を争っていたので、今回団体優勝を狙っていたということもあってプレッシャーはありました。

――団体3位という結果はどう評価していますか

団体は優勝したかったので悔しいです。

――ことしは後期から多くの試合に出場されました。これからの目標をお願いします

2年生から試合に出ているということは、4年生にはエースにならないといけないと思うので、これからは3位以上ではなく優勝を狙って頑張っていきたいです。

渡邉道理(基理2=富山・片山学園)

――本日の試合を振り返っていかがですか

初めて団体の順位に関わる試合に出て、結果は4位で、もうちょっと自分としては頑張れたかなと思います。結構今回のコースは変則的でしたが、2年生としてある程度、最低限の働きはできたんじゃないかと思います。

――ご自身の走りを振り返っていかがですか

スラロームを今回坂道でやったのですが、それの練習が足りていなかったかなと、そこに対してもっと優先的にやっていけばいい結果になったのではないかと思います。

――団体としては3位という結果になりました。その点はいかがですか

自分も含めて、もうちょっと皆でいい順位を残したかったです。

――最後に来年に向けて目標をお願いします

来年は絶対、優勝していきたいと思います。

城越明日香(商3=福井・藤島)

――本日の試合を振り返っていかがですか

結果が伴わなかったので、単純に自分の実力不足です。

――ご自身の走りを振り返っていかがですか

ペナルティーがゼロで帰って来れたのは良かったのですが、やっぱり慎重に行き過ぎてしまって。私の1走前の人が結局優勝したのですが、その人と2分近く離されてしまっていたので、自信と最後の詰めというのが足りなかったという風に、練習不足かなという風に反省しています。

――個人4位という結果になりました。その点はいかがですか

女子の部で入賞しているのが私以外全員4年生だったんですね。やっぱり今年一年間の目標として4年生の厚い層をいかに破って勝つかということに重点を置いていたんですけれど、最後の一番大きい大会でそれを成し遂げられなかったのは、かなり悔しい結果になりました。

――団体では3位という結果になりました。その点についていかがですか

1年の大沼(すず音、国教1=東京・日比谷)が初大会で初出場だったにも関わらずタイムを残して帰って来れたというのが、本当に先輩として驚きというか、感嘆というか、素直に凄いなという風に思いました。ただ一方で、乗用と貨物というのは片方がたとえ結果が振るわなかったとしても、もう片方がいい成績を残せば、片方が優勝すれば団体では優勝できるというすごく勝ちやすい団体のポイント制となっているので、私がもうちょっといい成績を残していればもっといい順位を取れたのかなと思うと、自分に責任があったのかなという風に反省しています。

――最後に来年に向けて目標をお願いします

大沼と団体を組めるのはあと半年間くらいしか無いので、それまで団体、個人共に全部優勝できるように2人で頑張っていきます。

大沼すず音(国教1=東京・日比谷)

――本日の試合を振り返っていかがですか

自分は1年生で、4年生を倒して1位になって伝説を残すという目標があったのですが、逆にそれで力み過ぎてしまって、色々練習通りに行きませんでした。そこでの対応力というか、土台となる部分があまり出来ていなかったのでうまく行かずに不甲斐ない結果となってしまったのですが、タイムを残して女子団体が入賞できて、そこに貢献出来たのは良かったと思います。

――ご自身の走りを振り返っていかがですか

やりたいことは10パーセントくらいしか出来なくて。昨日のタイムで行けば4年生も倒せるというレベルで、期待されたり、自分も期待していた部分があって残念だったのですが、来年以降に繋げて行けるように頑張ります。

――個人では7位という結果になりましたが、その点についていかがですか

1位を狙っていたので、7位が悔しいというよりは、自分の走りが出来なくて悔しいという感じです。

――今回、公式戦初出場となりました。その点はいかがですか

やっぱり緊張しました。前回出た五大フィギュア(五大学対抗フィギュア定期戦)ではやっぱり五大学しか出なくて、非公式戦だったのでまだのびのび出来たのですが、全日本になって、広島大とか、友達と話しながらすごくスケールの大きい大会だなという風に感じて、やっぱり4年生の壁もあって、すごく緊張しました。

――最後に来年に向けて目標をお願いします

留学に行ってしまうので来年半年間はずっと出られないのですが、全関東は一通り出られるので、2年生のうちに結果を残せるように頑張ります。