和製横綱が長くもがき苦しんでいる。大相撲九州場所で、初日から4連敗していた稀勢の里(32=田子ノ浦)が、5日目から休場した。不戦敗となり、横綱史上初の初日から5連敗。進退をかけて来年1月の初場所を目指すことを表明したが、いよいよ土俵際に追い込まれた。

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 休場を決めた稀勢の里は「やり切りたい、務め上げたい気持ちはありましたけど、なかなか体が続かなかった」とファンに謝罪。進退については「魂はまだ燃えている。負けた悔しさも当然ある。許されるならば、もう1度勝負したい」。けがを治して再起を図る、イバラの道を選んだ。

 場所前は「優勝宣言」が飛び出すほど手応えを感じていた。ところが初日敗れた貴景勝戦で右ひざを痛めると、ズルズルと連敗。左一辺倒の攻めは警戒されて封じられ、腰高で不安定。平幕相手に簡単に転がされても、観客から座布団が舞うことはない。SNS上では「負けの内容が悪すぎる」「見ていられない」と落胆の声があふれた。

 漫画家やくみつる氏がズバリと指摘する。「急速に下半身が衰えた印象。本人は認めたくないかもしれないが、引退間際のお相撲さんの下半身のばたつき。それが(休んで)戻るのか。足の運びは極めて危なっかしい」。

 

 成績が振るわなければ、本来、横綱審議委員会(横審)が黙ってはいない。白鵬ら強いモンゴル勢には厳しい言葉、叱責があった。しかし横綱昇進後、8場所連続の休場など数々の不名誉な記録を更新しているにもかかわらず、稀勢の里に対しては一様に温かい。

横審・北村正任委員長「横綱の第一の条件である強さが満たされない状態が長期にわたっており、これを取り戻す気力と体力を持続できるか心配している」

日本相撲協会・八角理事長(元横綱・北勝海)「悪いところを治して、もう1度、体を作り直して頑張る。それが多くのファンの願いであるだろうから、奮起するしかない。どこが痛いとは言っていられないので、開き直って稽古して自信を取り戻すことだ」

阿武松審判部長(元関脇・益荒雄)「ケガがあったから1歩、土俵際で腰が下りなかったのかな。また立て直して再起を目指してほしい」

稀勢の里と同様、ケガに苦しんだ大横綱の貴乃花・元親方は以前、こう話していた。

「(稀勢の里は)相撲人生をかけて土俵に上がっている。もうやるしかない。そういう表情にみえる。(苦しむ姿に)お客さんも自分の人生を投影している。ただの応援という感じではない。自分のときもそうだった」

横綱の気持ちは、横綱にしかわからないのかもしれない。

 現在32歳。まだ老け込む年ではないが、今後、劇的に復活する姿は想像しにくい。それでも、ファンは復活を信じて応援をやめない。なんとか頑張ってほしい。1人しかいない日本人横綱への希望は、肉体的にも精神的にも追い込まれた稀勢の里の背中をどこまで押し続けることができるだろうか。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]