今シーズン、シアトル・マリナーズの主軸としてキャリアハイとなる26本塁打を放ったミッチ・ハニガー。打つだけでなく、…

 今シーズン、シアトル・マリナーズの主軸としてキャリアハイとなる26本塁打を放ったミッチ・ハニガー。打つだけでなく、メジャートップの12捕殺を記録するなど、外野手として超一流の守備を誇った。今季ブレイクしたきっかけは何だったのか。また、チームメイトであるイチローの存在とは。



今年、オールスターにも初出場を果たしたミッチ・ハニガー

―― 来日するにあたって、楽しみにしていたことは何ですか。

「日本のファンの前でプレーすること。テレビで見たことがあったけど、日本のファンは本当に熱心に応援していたし、その雰囲気のなかでプレーするのは本当に楽しみでした」

―― 今シーズン、ハニガー選手はキャリアハイとなる活躍を見せました。ご自身では、今年の働きをどう評価していますか。

「全体としてはいいシーズンだったと思います。ただ、まだまだ改善すべきところは多いし、このオフはもっと体を強くして、そしてスピードも高めていかないと。それにストライクゾーンのなかで打てないコースを減らせるように、スイングをよくしていこうと思っています」

―― 今回、MLBオールスターの打撃コーチとしてエドガー・マルティネスが帯同していますが、マリナーズのコーチでもあります。彼の存在も、今季の活躍に影響していますか。

「もちろん。彼はいつも僕を助けてくれます。僕だけじゃなく、チームのすべての打者のために一生懸命教えてくれるし、僕たちの”第2の目”となって客観的に指導してくれます。彼自身は偉大な打者だったし、人間としても非常に謙虚で、一緒のチームでやれることは本当に幸運でした」

―― そのエドガーが日米野球に帯同していることは心強いですか。

「間違いないね。もちろん、エドガー以外のコーチ陣もすばらしいけど、彼がいてくれることは僕にとって本当にありがたいですし、心強いです」

―― 今シーズン、大半は3番を任されていましたが、終盤は1番を打ったりもしました。ハニガー選手は守備もいいし、実際、メジャータイ記録となる12のアシスト(捕殺)を記録しました。高校まではアメリカンフットボールもプレーしていたと聞きましたが、そうした過去のマルチスポーツの経験が、野球選手としてオールラウンドな活躍につながっていると思いますか。

「それは大いにあると思います。アメリカンフットボールではワイドレシーバー(オフェンスでパスを捕球するポジション)とセーフティー(ディフェンスの最後列を守るポジション)をやっていたのですが、両方とも相手選手に囲まれながらプレーしなければいけないポジションですし、それは野球での外野守備の際、たとえばフェンスを気にしながら捕球したり、フライを追う時に一度目を切って最短距離で落下地点まで走ったりする時など、アメリカンフットボールの経験が生きていると感じます」

―― アメリカンフットボールの選手になることは考えなかったのですか。

「そうですね……野球の方が、未来が拓けていると思ったし、フットボールはそこまでではなかったから。だから、最終的に野球を選びました」

―― 近年、メジャーリーグは”フライボール革命”という言葉に代表されるように、多くの打者が本塁打を打つ傾向にあります。その一方で、野球は守備や走塁といった要素も重要だと思いますが、ハニガー選手の考えはいかがですか。

「ここ数年、みんなWAR(Wins Above Replacements=そのポジションの選手が代替選手と比べてどれだけ勝利を上積みしたかを測る指標)に注目しています。なぜなら、打撃、守備、走塁といったすべてのものが反映される指標だからです。野手として、打撃、守備、走塁といったすべてにおいて高いレベルでプレーできれば、その数値は上がることになります。だから『長打を打つだけでいい』ということにはなりません」

―― 現在、マリナーズにはイチロー選手がいます。チームにとって彼の存在というのは?

「僕にとってはテレビで見ていた選手なので、彼がクラブハウスに入ってきて、話をしてくれるということが、なんだか夢のようでもあります。僕らが目指すべき選手ですし、歴代でもベストなプレーヤーのひとり。彼自身、野球というスポーツに対してすべてを捧げてきた人で、常に向上心を持って臨んでいる。だから、見習うところは本当に多いんです」

―― イチロー選手は偉大であるがゆえに、時に近寄りがたい雰囲気もあるのかなと想像してしまいますが、クラブハウスなどではどんな人ですか。

「じつに愉快な人ですよ。フィールドでは当然、仕事としてチームの勝利のために最善を尽くしてくれるのですが、クラブハウスやミーティングの場ではジョークを言ったりしますし、常に僕らをリラックスさせてくれます。みんな彼のことは大好きです」

―― イチロー選手から、日米野球に出場するにあたって何かアドバイスはもらいましたか。

「そういうのはなかったんだけど、僕の方から『日本に行くことをとても楽しみにしている』と伝えました」

―― それに対して、どんな言葉が返ってきましたか。

「『すごくいい国だし、楽しめると思う』と。僕がこの機会を得られたことをすごく喜んでくれました」

―― 現在、多くの日本人選手がメジャーでプレーしています。彼の印象についてお聞かせください。

「彼らを見ていつも思うんだけど、基本に忠実で、攻撃、守備、走塁といったすべてにおいてハードにプレーする。とても規律正しく、オールラウンドな選手が多いと感じています。守備もうまいし、打者は粘り強く三振をしない。メジャーのなかには、打撃だけに集中して守備にはまったく力を入れないという選手もいるけど、日本人はたとえ守備が得意でなくても練習して向上しようとしている選手が多い印象があります」



日本に来て、大好物の寿司を満喫したと語るミッチ・ハニガー

―― 今回対戦する日本チームや、日本のプロ野球の映像は見ましたか。

「来日してから2試合ほどビデオで見ました。先日の台湾戦も少し見ました。あとは、大谷(翔平)がメジャーに来る前にどんな選手かと思って、映像を見たことはありました」

―― 大谷選手については、どんな印象を受けましたか。

「マウンドに上がったら100マイルのボールを投げるし、打席に立ったら特大のホームランを放つ。まさにアメージング! メジャーのなかでも特別な選手です」

―― 日本に来て、野球以外のことで楽しみにしていることはありましたか。

「寿司が大好きなんですけど、来日して早速行ってきました。でもやっぱり、いちばん楽しみにしていることは野球です。映像でも見ましたが、日本の試合の雰囲気はとても熱いと感じましたし、そのなかでプレーすることは本当に楽しみでした」

―― 来年3月には、マリナーズとオークランド・アスレチックスの開幕戦が東京で行なわれます。どんなプレーを見せたいですか。

「僕らのベストの野球を見せたい。今年はアスレチックスもいいシーズンを送ったし、彼らとの対戦はいつも接戦になるので楽しいです。だけど、東京での開幕戦はできれば連勝してアメリカに戻りたいし、今回の日米野球の経験を通して球場や日本という国の文化にも触れることができた。それが少しでもいいからチームメイトとの助けになればいいと思っています」