関東大学女子リーグ戦(関カレ)の最終節が行われ、早大は日体大と対戦した。自力での優勝の可能性は残されていないものの、同時刻キックオフの帝京平成大と東洋大の試合結果次第では、この試合で勝った方が優勝という試合であっただけに両チームとも気持ち…

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)の最終節が行われ、早大は日体大と対戦した。自力での優勝の可能性は残されていないものの、同時刻キックオフの帝京平成大と東洋大の試合結果次第では、この試合で勝った方が優勝という試合であっただけに両チームとも気持ちの入った試合となったが結果はドロー。チームの目標であった関カレ優勝という目標を達成することはできなかった。

 4-2-3-1の布陣で臨んだ早大は、立ち上がりから積極的な攻撃を見せる。開始早々、右サイドから切り込みシュートを放とうとするがこれは足を滑らせてしまう。3分にはMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)が左サイド相手陣内深くまで侵入して鋭いマイナスのグラウンダークロスを出すも、ゴール前に誰も人はいなかった。試合が動いたのは5分。「前がかりになったところを相手に狙われたので、失点してしまった」(熊谷)と言うように、ここまで立ち上がりはうまくゲームを展開していたが、思わぬ形で失点を許してしまう。右サイドをカウンターで仕掛けられ、必死にそれに食らいつくと、日体大が上げたクロスは大きくファーサイドに流れ外れていったように思われた。しかし、これを押し込まれ失点。その後は日体大が攻勢を強め、早大にとっては我慢の時間か続いた。そのなかでも点を取りに行く姿勢を随所に見せ、24分にはコーナーキックからファーサイドDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)が頭で合わせるが惜しくもポスト左へ。待望の得点が生まれたのは38分。FW山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園高校)がゴール左手前から左足を振り抜きグラウンダーのシュートを決め同点弾を挙げ、前半のうちに追いつくことに成功した。


待望の同点弾を決めた山田仁

 後半は、早大が序盤から流れを引き寄せた。「後半は守備が良くなった分、攻撃も良い形が現れたのかな」(柳澤)と試合後振り変えるように、3分には相手に左サイドを切り込まれるも三浦が体を張って守ると、攻撃では良い場面を何度も見せた。「攻めは外から内、守りは内から外という形をしっかりと理解をし始めてくれているかな」と川上嘉郎監督(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)が語るように、右サイドからの突破を試み、日体大ゴールを脅かすもシュートはGKに阻まれる。12分には中盤から大きく右に展開しFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)が足元に収めて、中にいたMF村上真帆(スポ2=東京・十文字)がパスを受けシュートするもキーパー正面。勝ち越し点が欲しい早大は23分、山田仁に代えて、皇后杯初戦でも途中出場から追加点を上げたMF松本茉奈加(スポ2=東京・十文字)を投入。松本は交代直後にPAに進入していくが相手DFの守備のまえに押し出されてしまう。すると35分、中盤でボールを収められずロストすると、そのまま左サイドを突破されピンチを迎えるが何とか弾きだしCKへ。CKを1度は弾くも、こぼれたところをシュートされバーに直撃。入ったかのようにみえたが、オフサイドの判定でピンチを逃れた。「絶対に勝つことが優勝への条件だったので、向こうの試合(帝京平成大対東洋大)を気にせずにこっちにだけ集中していました」(三浦)と最後まで早大は点を奪いに攻撃を続けるが、得点に繋げることができず試合終了を迎えた。


CK前に話し合うア女の選手たち

 前半はやや日体大に押し込まれる時間も多かったが、後半からは立て直し良い内容を見せた。「試合の中身としては良かったと思います」(川上監督)、「きょうは今までの試合に比べても収穫の多い試合だった」(柳澤)と言うように、勝ち切ることはできず、優勝も逃す形となったが、内容は決して悲観するものではない。今後も皇后杯やインカレと重要な試合が続くア式蹴球部女子。この試合を糧に次の目標へとまた歩み始める。

(記事 河合智史、写真 守屋郁宏、菅沼恒輝)


スターティングイレブン




第32回関東大学女子リーグ戦
早大1-1
0-0
日体大
【得点】
(早大)39’山田仁衣奈
(日体大)6’住永楽夢
早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK木付 優衣スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF渡部 那月社4兵庫・日ノ本学園
DF32小林 菜々子スポ3ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF三浦 紗津紀スポ4浦和レッズレディースユース
DF中田 有紀スポ3兵庫・日ノ本学園
MF柳澤 紗希スポ4浦和レッズレディースユース
MF安部 由希子スポ4宮城・聖和学園
→85分33蔵田 あかりスポ1東京・十文字
MF村上 真帆スポ2東京・十文字
MF◎11熊谷 汐華スポ4東京・十文字
FW山田 仁衣奈スポ3大阪・大商学園
→68分17松本 茉奈加スポ2東京・十文字
FW10河野 朱里スポ4静岡・藤枝順心
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
関東大学女子リーグ戦1部 順位表
順位大学名勝点試合数得点失点得失差
優勝★帝京平成大2218+11
★早大1818+13
★日体大1817+10
★神奈川大15+2
★東洋大1211+2
★大東大11-2
★慶大1011-3
東京国際大14-8
武蔵丘短大21-18
10山梨学院大-7
※第9節終了時点
※★は第27回全日本大学女子選手権(インカレ)出場権獲得チーム。今リーグ戦1~7位のチームが関東地区からインカレに出場する
※9位のチームは2部リーグ2位のチームとの入替戦に出場する
※10位のチームは2部リーグに自動降格
コメント

川上嘉郎監督(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

――優勝には届かないという結果になりましたが、収穫も少なくない試合だったのではないですか

そうですね。もう優勝は他力本願でしたから、そこはあまり気にせず、日体大は関カレの(前年度)チャンピオンなので、そこにチャレンジするという気持ちを持って頑張りましょうということでした。この前のアンクラスとの試合(皇后杯全日本女子選手権1回戦、◯3-0)も比較的内容が良かったので、引き続きそれができるようにということで、選手が幅広に(視野を持って)見れればよかったんですけど、今日は相手も強くてそれはなかなかできなかったです。でも、その中でも一人ひとりが戦う姿勢を持って、チームとしての戦い方をある程度理解して戦ってくれたので、良かったと思います。これからは皇后杯とインカレですから、気を引き締めてチームをもっとつくっていかないといけないと思いますけど、そういう意味ではみんなよくやってくれたと思います。戦い方もみんなで話し合いながら、自分たちの戦い方をある程度の人たちがやれていたので、最初の失点はまずかったですけど、試合の中身としては良かったと思います。

――チームとしての閉塞感は感じない試合だったように思います。帝京平成大戦に敗戦した頃と比べ、どういう点が良くなったと感じますか

前からプレスを掛けることに関して、ただ概念的に『前から行かなくちゃ』という感じだったところが、相手に前を向かせないということをしっかりできて来始めたと思います。当然前も『形だけ』ではなかったんですけど、相手の嫌がることができるようになってきたと思います。(選手たちが)みんなで話し合いをして、誰がどうすればということも個別にミーティングをしていたので、それが役に立ったと思います。お互いの会話が増えてきましたし、それが大きいんだと思いますね。(選手たちに)自主的にやってもらっているんですけど、結論的には正しい結論を導き出してくれますし、仲間の中で納得できるように自分たちでできていることはすごいなと思います。

――攻撃面では幅を使ったビルドアップも多く見られました

良くないときは幅が使えていなくて、今日も(幅を使えていたのは)片方のサイドだけというところはあるんですけど、攻めを外からやっていくということはすごく大事なことだと思っています。みんなうまいので、中を通すというのが多いんですけど、攻めは外から内、守りは内から外という形をしっかりと理解をし始めてくれているかなという感じですね。

――ケガ人も戻ってきつつあります。チームにとっても大きいですか

それは大きいですね。チームの中の競争も厳しくなっているというのはわかってプレーしているので、出ている人が「あまり出来が良くなかったらまずい」というような緊張感はあると思います。

――次戦はいよいよ皇后杯でなでしこ1部のチームと対戦になります

なでしこの1部のチームに勝つというのが一つの目標なので、次の相手にはOGもいますし、勝ちに行くということですね。個人的にも非常に楽しみです。みんながしっかりと納得できる戦いをしてくれればと思いますね。

MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返って

関カレ最終節ということで、絶対に勝ちたかった試合で勝ちきれなかったことはとても残念です。

――前半の序盤に失点してしまいましたが

立ち上がり、自分たちが前がかりになっていて、立ち上がりの形としては悪くなかったのですが、その前がかりになったところを相手に狙われたので失点してしまったんですけど、そこで落ちることなく点を取りにいける姿勢を見せられたのはよかったと思います。

――後半は日体大を抑えられていた印象があるのですが、プレーされていてどのように感じましたか

割と相手陣地の方でプレーできていましたし、相手が前半と変わったプレーをすることがなく、ボールを出るところが分かり易かったので、そこが狙えて、(ディフェンスを)前からいけていたのかなと思います.

――きょうの攻撃面を振り返って

組み立てのところは悪くなかったと思うのですが、最後の精度のところで、GKを外すボールだったりとか、結構ボールがそのままGKに行ってしまうことが多かったので、そこで(GKを)外すのだったりとか、そのような動き、受ける側の動きもそうですし、出し手の精度もそうですし、そこの最後の精度のところが少し良くなかったかなと思います。

――関カレ(関東大学女子リーグ戦)を2位で終えましたが

目指していたのは1位だったので、2位という結果に関しては悔しいし情けないというところがあります。

――関カレ全体を振り返って

勝たなければ行けないところで勝ちきれなかったり、負ける試合でないところで負けてしまったり、このリーグ戦を通して(チームの調子に)波はあったかなというのは感じていて、それを毎試合自分たちで向き合ってきたつもりだったのですが、そこでまだまだ足りない部分だったり、もっと突き詰められたところがあったのではないかと反省しています。

――リーグ戦を通して得られたことや課題はありましたか

試合を重ねていくごとにチームとしてどうやって戦っていくかというところや、関東リーグ(関東女子リーグ戦)では個の力で勝てたのですが、関カレでは個の力ではどうしようもできないところをチームとして戦術をどのように捉え戦っていくのかを、一戦一戦重ねていくにつれて改善できたところもあったし見えてきたところもあったのかなと思います。

――皇后杯2回戦に向けて意気込みをお願いします

相手(マイナビベガルタ仙台レディース)は格上で、自分たちが失うものはないと思いますし、チームの目標としてベスト4掲げているのでチャレンジャーという気持ちを持って強く相手にぶつかっていきたいです。

MF柳澤紗希副将(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――試合の立ち上がりは良かった印象がありますが、どうですか

関カレでは1年生の時に優勝して以来、2、3年と日体大にやられてきて今年こそは関カレを奪還しようという気持ちがあったんで、入りというのは毎試合大事なんですが、この試合は特にこのことをポイントとして、みんなで気持ちから入っていきました。

――先制を許してからは、立ち上がりの時に比べてうまくいっていないように見えましたが

失点までは自分たちの流れでゲームができていたんですが、一本のカウンターの失点でガラッと流れが変わってしまうのはサッカーの難しさだなと感じましたし、メンタルの面でもまだまだ足りていない部分があったなと思うので、失点をしなければ負けることはないので、そこを今後は課題としてやっていきたいと思います。

――後半に入ると良くなりました。ハーフタイムでは何を話し合いましたか

相手も変えてくるだろうという予想の中で、試合の流れをよく見て、自分たちでもっと声をかけあって少しずつ修正していこうというのを話し合いました。また、前半うまくいかなかった、相手のDFラインとボランチの間に落ちてくる選手のマークをハッキリさせ、もう少し徹底しようということです。自分は結構後ろ気味の選手だったんで、DFラインとのコミュニケーションだったりをハーフタイムで話して修正できた部分はあります。後半は守備が良くなった分、攻撃も良い形が現れたのかなと思っていて、良い守備があってからの良い攻撃というのを今後のア女でも続けていこうと思いました。

――きょうの試合はタイトルの可能性が残されたなかでの試合でしたが

チームの一年間目標としても関カレ優勝ということを掲げていたので、4年生としても伏見でやる公式戦最後の試合を勝って終わりたかったなということと、昨日学生ミーティングをして、チームの信頼関係を今までより深められたかなと思っていて、それも含め、きょうは今までの試合に比べても収穫の多い試合だったんで、それを結果につなげられなかったのは残念でしたが、皇后杯とインカレに向けては、意味のある試合だったなというのは感じていて、関カレで優勝できなかったということを無駄にしないように今後やっていきたいと思います。

――きょうの試合を受けて、皇后杯に向けてどう調整していきますか

二週間空くので良い準備をして、個々の能力は明らかに相手(ベガルタ)の方が上なんで、どうチーム力でカバーしあえるかというのがターニングポイントだと、気持ちとチームの士気を高めていければなと思っています。

DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

絶対に勝つことが優勝への条件だったので、向こうの試合(帝京平成大対東洋大)を気にせずにこっちにだけ集中していました。あと一歩及ばなかったので悔しかったです。

――開始早々に失点がありました

最初ゆるくふわっと(試合に)入ってしまって、守備から入らなきゃいけなかったのに、自分が締められなかったのが悔しいなと思います。

――後半は日体大をしっかり守れていた印象でした

3バックの相手に対して手を焼いていたんですけど、後半になると慣れてきて、みんなで周りとの関わりの中で良い守備はできたと思います。

――三浦さんにとって最後の関カレが終わりました。関カレ全体を振り返っていかがですか

4年目なのに自分がケガをしちゃって2試合しか出られなかったので・・・。でも最後は、自力(優勝)ではないですけど最後まで頑張れば(優勝)っていうところまでみんなが残しておいてくれたのに、最後(優勝を)決められなかったのは自分にも責任があるかなと思います。まだまだなところがたくさんあるんだなと改めて思いました。

――2位という結果についてはどのように捉えますか

自分が1年生の時に優勝してからずっと2位っていう中で、最後優勝して関カレ獲りたかったなあっていう心残りはあるんですけど・・・。そこは後輩に託して、頑張ってもらいたいと思います。

――関カレを通して得られたものはありますか

2試合しか出ていなくて、まあケガ明けというのは言い訳にできないんですけど。まあシーズンスタート時に比べたら、チームとしてやりたいことだったり戦術がしっかりできてきたかなと思います。そういうところはもう少し完成度を上げて、インカレ(全日本大学女子選手権)とか皇后杯もありますしそういうところに臨んでいきたいと思います。

――皇后杯の2回戦に向けて意気込みをお願いします

もう1部(のチーム、マイナビベガルタ仙台レディース)と当たるのかっていうのが率直な気持ちなんですけど、可能性はゼロじゃないと思いますし、やれることをしっかり1人1人がやった上で自分たちの力以上の力を出せば勝機はあると思います。勝って、ただ良い経験にするだけではなくて結果にこだわりたいと思います。