明治維新百五十年記念明治神宮大会 対環太平洋大 2018年11月11日(日) 神宮球場 環太平洋大との初戦は序盤から押し込まれる展開となった。先発はリーグ戦でも全カードで第一先発を担った三浦銀二(キャ1)。今日は、初回から3安打を浴び先制…

明治維新百五十年記念明治神宮大会 対環太平洋大
2018年11月11日(日)
神宮球場

環太平洋大との初戦は序盤から押し込まれる展開となった。先発はリーグ戦でも全カードで第一先発を担った三浦銀二(キャ1)。今日は、初回から3安打を浴び先制されるなど苦しい投球になる。5回10安打3失点と本来の力を出し切れず無念の降板。その後も、守備のミスがあり1点を失い前半を折り返す。後半は菅野秀哉(キャ4)が無得点に抑えるも打線が相手投手の前に沈黙。日本一の夢は、初戦で潰えることとなった。

戦評

歓喜のリーグ優勝から約2週間。『東京六大学野球連盟代表』として大学日本一を目指す戦いが、ホームグラウンドともいえる神宮球場で始まった。

法大の先発は三浦銀二(キャ1)。リーグ戦では安定した投球を続けたルーキー右腕だが、立ち上がりから苦しむ展開に。2番久城秀仁が内野安打と暴投で二塁へ進むと、続く三番安藤優汰は左翼線への適時二塁打を放ち、走者は本塁へ。後続は抑えたものの、初回から先制点を許した。

早々にリードされた法大。しかし、打線はすぐさま反撃に出る。2回、5番中村浩人(営4)の左越え二塁打、6番川口凌(人4)の右前安打で好機を演出すると、8番吉岡郁哉(営4)の二ゴロの間に中村浩が生還。試合を振り出しに戻すと、3回にはこの回先頭の1番宇草孔基(営3)が内野安打で出塁。その後、主将・向山基生(営4)が適時二塁打を放って1点を追加し、逆転に成功した。

最少失点で初回をしのいだ三浦だが、らしくない不安定な投球が続く。2回から4回まで毎回先頭打者に安打を許し、次々に盗塁を決められる。得点圏に走者を背負いながらも、牽制死や要所で空振り三振を奪うことで何とか0に抑えた。

小刻みに継投を行う環太平洋大は、5回に早くも4番手となる仲尾元貴を投入。対する法大は1死からの連続安打で再び好機の場面に。盗塁や暴投で2死二、三塁としながらも6番中村浩は三ゴロに倒れ追加点とはならなかった。

その裏、環太平洋大の攻撃。2死から4番志賀巧朗の左越え適時二塁打、5番仲村来唯成の右翼線適時三塁打で2点を奪われ勝ち越される。ここで三浦が降板し、2番手に石川達也(キャ2)がマウンドへ。

本来の力を発揮しきれずうつむき降板する三浦

6番打者を四球で出塁させ2死一、三塁の場面、飛び出していた走者を刺そうと捕手の中村浩が三塁へ送球すると、球は走者に当たり大きくそれた。そのまま走者は生還し、スコアは2-4に。6回からは菅野秀哉(キャ4)が登板。エースとしての意地を見せ、ダメ押しの追加点を許さない。

リーグ戦では試合後半での粘りがあった法大だが、仲尾を相手になかなか攻撃の糸口を見つけられず、終盤戦へ。8回は無死一、二塁としたものの後続が併殺打に倒れて無得点で終わり、試合はとうとう9回に突入。8番相馬優人(営3)は一ゴロで1死。9番には代打で清水俊作(文3)が起用されたが、中飛で2死。1番宇草も中飛に倒れて試合終了。法大らしさを出し切れることができないまま、敗戦。あまりにも悔しい初戦敗退となった。

この試合をもって4年生は引退。つかめなかった夢は後輩へ託された。4年生の勝利への執念を間近で見てきた下級生たちは、きっと来年の6月、『日本一』を形にしてくれるはずだ。リーグ戦秋春連覇、そして大学野球界の頂に向けた勝負の冬が、もうすぐ始まる。
(渡邊詩織)

クローズアップ:向山 基生

法政二高時代から天性のキャプテンシーでチームをまとめ上げ、今季リーグ優勝を果たした法大でもこの1年間、主将としてチームをけん引してきた向山基生(営4)。試合前には「『法政大学』と『六大学』、2つの看板を背負っている。絶対に負けられない」とチームを鼓舞。今日の一戦を迎えた。

第1打席は凡退に終わるも、1死一塁で迎えた第2打席。相手投手の代わり際で、甘く入った球を向山は見逃さなかった。外角の直球を逆らわずに右方向に持っていくと打球はぐんぐんと伸びていき、一時勝ち越しとなる適時二塁打に。さらに第3打席には左前安打を放ち、今試合マルチ安打を記録。慣れない相手投手にタイミングが合わない選手が多い中、向山の巧みなバットコントロールが光った。

昨月下旬に行われたプロ野球ドラフト会議では惜しくも指名されず、『社会人野球』という新たな舞台へ進むことが決まっている。「法大ではなかなか勝てないことも続いたが、この経験を生かして(社会人野球でも)チームを引っ張っていけるような存在になりたい」と向山。社会人野球の舞台も、けん引していくことを誓った。

神宮大会という全国の舞台を経験したこと、そして主将として戦ってきたこの1年間は向山の夢への糧となるであろう。初戦敗退という結果にも、凛々しく前を向いた。
(加瀬航大)

監督・選手コメント

青木 久典 監督
「彼ら(選手)のおかげでここまで来れた。感謝している。監督として日本一を取らせて卒業させてあげたかった。(3年生以下の選手にとっては)リーグ優勝、日本一がどれほど難しいかを感じられたことは収穫になったと思う」

向山 基生 主将
–今日の試合を振り返って

力は自分たちの方があるかもしれないですけれど、一気に畳みかけられなかったなと思います。1点は取れたんですけれど、あと2、3点は取れたのかなと思います。

–今日の試合は悔しさの残る結果となりました
今回自分たちは初めての神宮大会ですけれど、簡単に勝てないなとは思いました。

–どのような思いで神宮大会に臨んだ
少し運もあってリーグ優勝できたので、(優勝を争った)早慶をはじめ、他の五大学の主将の気持ちも背負って、絶対に日本一を取りたいなと思っていました。

–全国大会ということで、チームで意識してきたことは
トーナメントになるので、ひとつのミスがリーグ戦以上に命取りになるので、そういう意味では練習を一球一球しっかりやってきました。

–試合前に主将としてかけた言葉は
法政大学という看板と六大学という看板も背負っているので、その名に恥じないプレーというか、絶対に負けては行けないということは言いました。

–2安打を放ちました
しっかりビデオを見て、全員で対策を考えたからですかね。

–改めて4年間を振り返って
今日の試合は負けてしまったんですけれど、ずっと勝てない時期が多くて。でも最後にリーグ戦を優勝できたのは良かったですね。

川口 凌 副将
–今日の試合を振り返って

(三浦)銀二が何とか踏ん張っていたので追加点をなるべく早めにとってあげたかったんです。悔しいですね。

–リーグ戦との違いは感じたか
応援も違いますし、相手の戦い方も違うと感じる部分は多々あったので、後輩たちにはこの経験が来年に生きてくれればいいなと思います。

–環太平洋大の印象は
六大学のチームと違って、戦い方の差というのは色々感じて、こういうチームが強いじゃないですけど、良いチームなのかなとは思います。

–細かく継投がありました。打ちづらさなどは
打ちづらさというか、トーナメントなのでそういう戦い方になるのかなとは思ってたんですけど、いざやってみると高校野球を思い出しました。

–大学野球はここで終わります
4年間野球をやってきて優勝できていなかったので、最後のあの優勝の喜びというのは、今まで苦しんできた分の喜びだと思います。悔いがないと言ったらうそになりますけど、この仲間と4年間野球ができてよかったです。

–その悔いとは
日本一を逃したことそうですね。やっぱりリーグ優勝したからには六大学の仲間もいますし、このチームと1日でも長く野球がしたかったです。

菅野 秀哉 投手
–大学で初の全国大会となりました

こういう大会に出られて日本一になれるチャンスはなかなかないので、本当に日本一を狙いたかったんですけど、本当に負けて悔しいなと思います。

–2点ビハインドでの登板となりましたが
これ以上点数はやれないですし、自分が良い流れを持っていければ良いなという気持ちで準備をしていました。

–相手打線を0点に抑える投球を見せました
0点に抑えられたことは良かったんですけど、チームが勝てなかったことは、本当に悔しいなと思っています。

–最後の試合となりましたが、全国まできて改めて後輩に伝えたいことは
後輩たちも力があるので、リーグ優勝をして、自分たちは日本一になれなかったので、日本一になってもらいたいなと思います。

–チームや同期へはどのような思いがありますか
4年間苦しいシーズンもあったんですけど、こうして最後にリーグ優勝ができたことは、やはり4年生の力だと思うので、本当に感謝したいなと思います。

–ファンの皆さまへ
4年間、応援してくださりありがとうございました。日本一(になる)ということはできなかったんですけど、後輩たちが日本一になってくれると思うので、今後も法政大学の応援をよろしくお願いします。

斎藤 卓拓 外野手
–初の神宮大会だったが

あまり変わらないかなという感じでした。慣れ親しんだ神宮球場でしたし、ファンの皆さんも応援に来てくださっていてすごく心強かったです。

–6回から途中出場したが
試合の展開もあったのですが、まずは自分のやるべきことをと思って盗塁しか考えていなかったです。あとは相馬(優人、営3)とかに「打ってくれ!」という気持ちでした。

–守備でも好守備があった
準備はずっとしていて、守備も走塁も自分が大学4年間で磨いてきたものだったので自信を持ってできました。監督もそういうところを買って自分を試合に出してくれていたので、期待に応えたいなという気持ちでいっぱいでした。

–今日はご自身にとって、人生最後の打席となったが
(ある意味)よかったんじゃないですかね(笑)。あそこでもし打てていたら、次のステップに進めなかったと思うし、あそこで打てなかったことや今日勝てなかったことが、自分の今後の人生においても大事になるんだろうなと思いました。結果どうこうではなくて、今日は打席に立てて良かったです。楽しかったです。

–改めて法大での4年間を振り返って
本当に同期が仲良くて、仲が良いだけではなくて尊敬できるところもあって。そういうところを含めて4年生っていいなと思いますし、短いようで長いようで、短いようで(笑)。本当に辛いこともあったのですが、人生の基盤になる4年間でしたし、濃くて充実した時間でした。

–最後のリーグ戦で優勝した
慶大3回戦で負けてしまったのですが、そこから立て直して立大、東大に2連勝して、最後早稲田が勝ってくれたときは、自分たちがやってきたことが間違っていなかったんだと思いました。なんかドラマみたいで、最後に優勝できて良かったです(笑)。

–最後のミーティングでは監督からどんなお話が
「本当に4年生ありがとう」ということと、「4年間ずっとやっていくなかで辛いことの方が多かったし、腑に落ちないこともあったけど、4年間俺についてきてくれてありがとう」ということを言われました。それはすごくうれしかったですし、監督の気持ちに日本一という形で結果を出してあげられなかったことが、すごく悔しいですね。

–最後にファンの皆さんへ
毎試合毎試合、ファンの方が応援に足を運んでくださっていて、こんなに恵まれた環境でできることって本当にないと思います。(これが)当たり前じゃないと思いますし、すごく感謝しています。来年もいい選手が残っているので、これからは法大を一緒に応援しましょう!(笑)

吉岡 郁哉 内野手
–今日の試合を振り返って

本当に悔しいですね。日本一を目指してずっとやってきたので。このメンバーともう(野球が)できないという実感がないです。

–リーグ戦と違い一発勝負だが、どのような調整をしたか
リーグ戦同様変わらずに、自分の役割をしっかり果たせるようにずっと過ごしてました。

–環太平洋大の印象は
六大学とは全く違った足を絡めてきたりとか、粘り強いといいますか、追い込んでからも粘って粘ってヒットにしていて、粘りのチームだなと思いました。執念というのを感じました。

–大学野球が終わります
最終的には(途中)交代してしまったんですけど、自分のスイングはしっかりできたので、悔いはないです。

三浦 銀二 投手
–今日の試合を振り返って

調子が悪いなりに、ゲームを作れなかったということが一番の反省点だと思いますし、今日で4年生と戦う試合が終わってしまうと考えたら、悔しい思いがあります。

–全国大会の雰囲気は
いつものリーグ戦とは違う雰囲気で、相手も応援も全く違いました。

–投球にはどんな影響があった
相手が違うことで力が入り、力みにつながったと思います。自分の中で修正しきれなかったのが良くなかったです。

–相手の印象は
走攻守全てに卒がなく、指示が統一されているいいチームだったと思います。

–意識したことは
全て後手後手になってしまっていたので、攻めの姿勢を忘れないようにしたいなと思いました。

–このオフに取り組みたいこと
まずは、コントロールと真っ直ぐの質をあげることを重点的にやろうと思っています。

–来季に向けて
また自分が先発させてもらえるかはわからないですが、与えられた仕事を精一杯やろうと思います。

フォトギャラリー

リーグ戦に続き先発した三浦
先制のきっかけとなる二塁打を放った中村浩
先制点につながる安打を放った川口凌
全国の舞台で打点を挙げた吉岡
マルチ安打を記録した向山
初回も相手の失策を誘い5回には内野安打を放った小林
華麗な守備を披露した途中出場の斎藤卓
3回を無失点に抑える好投を見せた菅野