日本学生氷上競技選手権(インカレ)の出場者を決める東日本学生選手権(東インカレ)が、東大和スケートセンターにて今年も行われた。男女7、8級には早大から中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)、永井優香(社2=東京・駒場学園)、石塚玲雄(…

 日本学生氷上競技選手権(インカレ)の出場者を決める東日本学生選手権(東インカレ)が、東大和スケートセンターにて今年も行われた。男女7、8級には早大から中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)、永井優香(社2=東京・駒場学園)、石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)の3人が出場。このうち中塩がラストイヤーで東インカレ優勝を果たし、初の東インカレとなった石塚も2位という好成績を残した。

 西日本選手権(西日本)から1週間も経たずの連戦となった中塩。その疲れもあり、冒頭に予定していたコンビネーションジャンプがトリプルトーループの単体になる。しかし「ノーミスで決めることは、西日本が終わったばかりの今のコンディションでは難しい」と、中塩は冷静だった。続いて予定していたトリプルフリップをトリプルトーループに変更し、ダブルトーループを付けてリカバリーする。その後も多少ジャンプのミスはあったものの、現在のコンディションでできる最高のプログラムを見せた。特に表現面は、「教科書通りの滑るのではなくて、自分の色が出せるように滑ろう」と夏からの滑り込みの成果が現れるかたちに。タイタニックのヒロイン・ローズを表情豊かに演じ、観客を魅了した。結果95.73のシーズンベストをたたき出し、最後の挑戦となった東インカレにて見事優勝を果たした。


表情豊かに演じる中塩

 東インカレ初出場の1年生・石塚は、上級生に交じって2位に食い込んだ。直前の練習で念入りに確認していた冒頭のトリプルルッツは、高さのある美しい出来栄えとなり、好調な滑り出しを切る。その後のジャンプも、回転不足など細かなミスはあったものの、大きなミスはなく着実にこなしていく。「キレを出して滑った」という表現面は、3つのスピンですべてレベル4を獲得するなど、東日本選手権からさらに成長した姿を見せた。


キレのある演技を見せる石塚

 永井は「集中しきれなかった」と、悔しさの残る4位となった。冒頭のコンビネーションジャンプがシングルルッツ-ダブルトーループになり、トーループの着氷もうまくいかない。その後もダブルアクセルでのステップアウトやサルコーがシングルになるなどし、ジャンプでその真価を発揮することができない。スピンはすべてレベル4の評価を受けており、持ち味の表現力は光った。しかし「苦い試合になってしまった」と、永井自身納得のいく演技はできなかった。


悔しさ残る永井

 中塩、石塚、永井はそれぞれ、12月初めに全日本選手権前最後の大会出場を控えている。いよいよ目前に迫った大舞台。挑戦を続ける早大スケーターたちの姿から、目を離すことができない。

(記事 藤岡小雪、写真 尾崎彩、糸賀日向子)

結果

▽女子7級

中塩美悠 1位 95.73点

永井優香 4位 89.36点

▽男子7級

石塚玲雄 2位 112.42点

コメント

中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)

――西日本選手権(西日本)から1週間も経たず連戦となりましたが、調子は

西日本が終わってすごく疲れてしまって。あまり練習もできなかったんですけど、西日本の分の練習の蓄えがあるかなと思って…そのままきました(笑)。西日本が終わってほっとした分、そんなに緊張せずに滑れたかなと思います。

――早大の学生として試合に出場したのは久々でしたが

やっぱり早大の同期や後輩たち、先生方はあたたかいなと思って。玲雄くん(石塚玲雄、スポ1=東京・駒場学園)の応援に行ったときにみんなに会ったんですけど、会っていない時間の分の距離を感じることは全然なかったです。

――この大会での目標は

やっぱり西日本をピークに持ってきていたので、西日本で使い切ったというか。22歳の4年生で常にピークを持っていくことが難しくて。西日本、西日本と思ってずっとやっていたので、ここですごくいい演技はできないだろうなとは思っていたんですけど…。早大は(インカレ出場枠が)1枠あるので、それだけを頼りに来ました(笑)。

――ここから演技内容について伺っていきたいと思います。2本目のジャンプをトリプルトーループにすることは、最初から決めていたのでしょうか

フリップだったんですけど、最初のジャンプでオーバーターンしてしまって。フリップは跳べないかなと思ったので、6分間練習でも時間がなくて(練習)できなかったし、回避しようと思って、トーループにしました。

――トーループにして、コンビネーションを2本目につけるかたちにしたのですね

そうですね。

――抜けてしまったジャンプもところどころありましたが、ジャンプを全体的に振り返ってどう感じていますか

あまりよくない考え方だとは思いますが、ここのリンクはしんどいですし…(笑)。ノーミスで決めることは、西日本が終わったばかりの今のコンディションでは難しいかなと思っていたので、逆に動揺することはなかったです。「こんなもん、こんなもん」と思っていました。

――このプログラムを通して、特に表現面で気を付けている面があれば教えてください

夏の頃に比べると滑り込んできてはいるので、振り付けにとらわれずに、音楽と自分の気持ちを絡められるように滑ろうと思って練習していました。ちょっと余裕が出てきたんですよね、多分。教科書通りの滑るのではなくて、自分の色が出せるように滑ろうと思って滑りました。

――演技中の表情の変化が印象的だなと感じたのですが、注意している点などはあるのでしょうか

表情で気を付けていることは、あまりないです。変わっていましたか?(笑)

――自然と出てきているんですかね

そうですね。しんどい、と思いながら滑っていたんですけど(笑)。

――最後に次戦への目標や意気込みをお願いします

国体(国民体育大会)の予選なんですけど、次のピークは全日本(全日本選手権)に持っていきたいので、その練習として落ち着いた演技ができるようにしたいです。相方と一緒に(予選を)通過できるように、でもそんなにガチガチに緊張せず、練習と思って頑張りたいと思います。

石塚玲雄(スポ1年=東京・駒場学園)

――今日はどのような気持ちで試合に臨まれましたか

今日は規模的には東日本選手権より小さい大会だったんですけど、都民大会、それが国体予選になっているのでその試合と全日本とにつながる試合にできたらと思って臨みました。

――ワセダの選手に見守られての演技でしたがどうでしたか

ワセダの先輩たちがすごく優しい人たちばかりなので応援してもらえて嬉しい気持ちで滑りました。

――仲よさそうですよね

本当に皆さん優しいです、仲いいと思います。

――ここで滑ったのは春以来ですか?

試合としては春以来ですが、何回か貸切でも滑ったことがあったので氷の感覚は掴みやすかったです。

――春と比べていかがでしたか

春はまだケガ明けでジャンプがあまり跳べなかったのですが、今ほんとに元気な状態で滑れていて、演技をすることが楽しいなと思って滑りました。

――今日の演技を振り返っていかがでしたか

ジャンプにはまだポロポロミスがあってもっとよくできるなと思ったのですが、踊りの方は東日本選手権の時にキレが足りない演技だったので、キレを出して滑りました。

――今日の演技でほめてあげたい点は何ですか

コレオステップです。コレオステップの表現が少し力強くできたかなと思います。

――東日本は本当に素晴らしい演技でしたが調子の維持は大変ではなかったですか

あまり大変だと思ってなくて、調子が良い悪いというよりは、毎日の練習を楽しんでやっているので、結果的に調子が良くても悪くてもやってることはあまり変わってないという感じです。やはりケガを経験したのでその辛い時期を乗り越えて楽しいんでスケートしています。

――全日本に向けて頑張りたいことを教えてください

全日本までにはジャンプを寝起きでも跳べれるくらいのもの、決めて当たり前のものにして、全日本という大きな舞台でも余裕でジャンプを決めてショートもフリーも自己ベストな演技をするというのが今の目標です。

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――きょうの演技を振り返っていかがでしたか

集中しきれなかったな、というのが一番の感想です。

――全日本に向けての試合のひとつと東日本選手権で仰ってましたが、具体的な目標で臨まれましたか

正直東が終わった直後は良い練習ができていました。でもその後ちょっと気持ち的にも体の方も疲れが出てたなというのがあって、あまり集中できないままここに来てしまったのでそのまま出てしまったという感じです。

――冒頭のジャンプがシングルになりましたが、普段通りコンビネーションにしようとしたのはどのようなことを考えてだったのでしょうか

いつもダブルトーループを付けているんですけど、そのつもりで付けたのにできなかったという感じです。

――一本目のアクセルはいかがでしたか

きょうの朝の練習で良い感覚がつかめていたのでその感覚で、この間も回転不足を取られたりしていたのでちゃんと今回は跳びたいなと思っていたんですけど、気を付けきれなくてあのような形になってしまいました。

――きれいに成功したジャンプもありましたが、それらのジャンプはいかがでしたか

正直ちゃんと跳べていたのは後半のダブルアクセル―ダブルトーループくらいで後はちょっと回転がダメかもしれないので、ちょっと苦い試合になってしまったかなという感じです。

――スピン、ステップはいかがでしたか

スピンの方はまあまあ出来たかなと思うんですけど、ステップがちょっと足がぐらついていてあまり良くなかったと思います。

――久しぶりに中塩さんとお会いしたと思うんですけど、何かお話はされましたか

玲雄くんの応援の前に美悠ちゃんに会えたんですけど、私美悠ちゃんのこと大好きなので、会えてめちゃくちゃ嬉しくて。お互い試合前に連絡くれてすごく良い事を言ってもらったので、そういう事もあってお互いすごく嬉しくて一緒に行けるね、と言って喜んでました。

――最後に都民大会に向けての意気込みをお願いします

今回はあまり集中できないまま入ってしまったので、この結果を受けて気持ちを引きしめ直して都民大会ではSPとFSで東日本の時くらい集中して演技をできるようにしたいなと思います。