全日本学生選手権(インカレ)2回戦。ワセダは東海地区代表の大同大と対戦した。前半から高めのディフェンスの間を果敢に攻め2点リードで折り返すと、後半開始4分で5点を挙げるスタートダッシュに成功。これが終了まで効き、以降は危なげない試合運びを…

 全日本学生選手権(インカレ)2回戦。ワセダは東海地区代表の大同大と対戦した。前半から高めのディフェンスの間を果敢に攻め2点リードで折り返すと、後半開始4分で5点を挙げるスタートダッシュに成功。これが終了まで効き、以降は危なげない試合運びを演じた。最後は三輪颯馬(スポ4=愛知)が速攻で締めくくりスコアは30-25。一筋縄ではいかない相手を、内容のともなった好ゲームで下すことができた。

 応援の激しい大同大にこちらも保護者の方々を含めたハリセンとメガホンの大応援で対抗。これまで以上の一体感で試合に臨んだ。スローオフ後のセットオフェンスと7メートルスローを決められ、2点のビハインドで始まったが焦る様子は全くない。小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)がミドルを突き刺すと、相手の2分退場を契機に反撃を開始した。ワセダオフェンス陣は自慢のフィジカルを生かした突破や組織化された鮮やかなクロスで敵を翻弄(ほんろう)。あらゆる方法でフリーの空間をつくり出した。しかし、すべてのシュートチャンスを決めきることができない。その分大同大に素早い速攻を決められ、大きな点差はつかなかった。それでも伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)のスカイプレーや宮國義志(社3=沖縄・興南)のカットインなどで得点を積み重ねる。前半はスコア14-12で終了し、後半での突き放しを狙うこととなった。


伊舎堂は華麗なカットインでボールをシュートレンジ持ち込んだ

 そして迎えた後半、ワセダは圧巻のプレーを披露する。小畠のミドルに三輪の速攻、さらには清原秀介(商3=東京・早実)のプロンジョンシュートなどで4連続得点。大同大ベンチにやむを得ないタイムアウトを強いた。「試合が再開した後も流れを切らさず10点差くらいまで差をつけ」(清原)る。早い段階で試合を決めにかかった。後半12分すぎには伊舎堂に代わり山本慶(スポ2=長野・屋代)が出場。持ち味の強い1対1で3-3ディフェンスに仕掛けると、18分にはうれしい初得点を挙げた。応援団にもより一層力が入り、会場全体でこのゲームを支配したワセダ。終盤は相手の意地の猛攻にあったが、何より後半10分すぎまで広げた点差がものをいった。『勢いに乗ったら止められない』――。選手たちが自負するこの『ワセダらしさ』を大舞台で遺憾なく示すことができただろう。


初出場で初得点を挙げた山本

 苦手意識のあった難敵から見事に勝利を挙げたワセダセブン。3回戦はいよいよ、関東学生秋季リーグで苦杯をなめた優勝候補の大本命・筑波大との激突だ。「やることをやれば十分に勝てる」と山﨑純平主将(社4=岩手・不来方)。今日のような明確な意図のあるプレー、そして一丸となる雰囲気ができるかが勝負の分かれ道となるはずだ。「今ワセダはチーム1つになって流れに乗ろうとしている」(伊舎堂)。たゆまない意志を胸に刻みをいざ決戦に臨む。

(記事 小松純也、写真 湯口尊 白石智奈美)



全日本学生選手権
早大3014-12
16-13
25大同大
GK 羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ4=愛知)
LB 小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)
DF 四十宮実成(政経4=徳島市立)
CB 山﨑純平(社4=岩手・不来方)
RB 伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)
RW 清原秀介(商3=東京・早実)
コメント

山﨑純平(社4=岩手・不来方)

――まず、勝利の感想をお願いします

今日も高めのディフェンスを敷いてくる相手だったんですけど、勝ててほっとしています。

――後半突き放すことができました。試合展開を振り返っていかがですか

リーグ戦のときから苦手としている後半の立ち上がりで最高のスタートを切ることができたので、すごく乗ってきたなという印象です。

――3ー3ディフェンスは実際に対戦してみていかがでしたか

対策していたので、しっかりハマって攻略できたかなという印象があります。シュートを決めきることができなくて前半波に乗れない部分があったんですけど、そこは自分たちで辛抱してディフェンスから良いかたちで点数が取れました。

――昨日よりも攻守でミスが少なかったと思います

昨日の後半のディフェンスが最初からできたというのもありますし、一人一人の意識というか気持ちが乗ってきている証拠なのかなと思います。まあ対策していたので対策通り割り切ってやることができました。

――今日は大応援が印象的でしたが、あらかじめ何か示し合わせていたのですか

いや、僕らは何も言っていなかったのでびっくりしたんですけど、あの応援で自分たちもしっかり乗れて、チームとしても全員で戦えたのですごく良かったと思います。

――最後に明日の筑波大戦へ意気込みをお願いします

リーグ戦で大敗している相手なんですけど、やることをやれば十分に勝てる相手だと思うので、やることを徹底して全力で勝ちにいきたいと思います。

伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)

――率直なお気持ちをお聞かせください

順当に勝ち進めているので素直にうれしいです。

――今日はいつもに増して応援がすごかったですね

そうですね。前夜に3年生のある2人が「試合に出ているメンバーの為に何かしたい」ということを僕や一部の4年生に言ってきて。それで「応援とかはこういうのがあるよ」と教えたりしたら、予想以上にやってくれましたね。

――ある2人とは…

春慶(小林、スポ3=長野・屋代)と翔平(山下、人3=石川・金沢桜丘)です。きのうメガドンキに行って、太鼓を買う予定だったけど太鼓がなかったらしく、灯油タンクとすりこぎ棒2つ買ってそれで太鼓をすると言って。それで「大阪港に行って応援の練習してきます」って(笑)。

――力になりましたか

だいぶチームの流れも応援に助けられたし、持っていきやすかったというか、ワセダの雰囲気になっていたかなと感じました。

――試合展開は振り返っていかがですか

最初の方はゴタゴタしていたけど、相手の高めのディフェンスに対してしっかり練習通り7人攻撃を1、2本やるとかボールをもらう前の動きだとか強く一対一にいくとか、話し合ったことがしっかりと試合の中で発揮できたので良かったかなと思います。

――ご自身のプレーについてはいかがでしょうか

大同大はディフェンスが高めでディフェンスの寄りが速くていいディフェンスだったんですけど、そこで僕が点数を取らないと周りがキツくなるかなと思ったので、最初の15分くらいまでは自分で強くいって、次の時間から周りを生かせるように、ディフェンスが集中するようにと思っていました。でもそこまでやらなくても周りが一対一とか、いい展開でずらしなどいいフィニッシュまでいけていたので良かったかなと思います。

――あすに向けて一言お願いします

相手はこの1、2回戦は楽に勝ってきていて、僕たちとは違って選手層も厚くてかなり手強い相手だと思うんですけど、今ワセダはチーム1つになって流れに乗ろうとしているので、僕たちがコートの中でいいパフォーマンスをしてしっかりとあした勝ち切って期待に応えたいと思います。

清原秀介(商3=東京・早実)

――勝利の感想をお聞かせください

中盤から後半の序盤にかけて、応援も含めチーム全体が1つとなって勝利できたことが素直に嬉しいです。

―試合展開を振り返っていかがでしたか

一番印象が強いのは後半の連続で得点を入れた場面です。早稲田が4点差をつけて、相手がタイムアウトをとったとき、試合が再開した後も流れを切らさずに10点差くらいまで差をつけられたことが良かったと思います。

――チームとして、相手の高めのディフェンスに対してどのような対策を行いましたか

秋リーグは高めのディフェンスに対してかなり苦しみ、そのなかで課題となっていたのが上3枚の得点力でした。秋リーグの時はサイドをきって展開する場面が多かったのですが、今回は上3枚で前を狙って崩すことに力をいれました。また、大同大学は分析の結果、クロスからの攻撃に弱いと感じたので、クロスからの攻撃にも力をいれました。

――実際戦ってみていかがでしたか

話し合ってきたことがちゃんと活かせていて、やって来たことは間違ってなかったと思います。

――自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか

チームが流れに乗っているときにさらに得点できたことで、より流れを押し上げられて良かったと思います。

――明日に向けての意気込みを教えてください

トーナメント表を見たときから山場だと感じている秋リーグに負けてしまった筑波大学が相手なので、応援のメンバーも含め、チーム一丸となって戦いたいです。

山本慶(スポ2=長野・屋代)

――勝利の感想をお願いします

やっぱり少し苦手意識のあった大同大に、後半突き放すことなど良い場面いっぱいあって、勝てて良かったなと。個人的には、インカレ初出場できて、初得点も決められることができたので、自分の中で大きな一戦というか印象に残る試合でした。

―試合展開を振り返って頂けますか

前半少し相手の左逆エースの方のシュートが決まってしまって、マークを厚めにするとかをチームで話し合っていたらディフェンスが良くなってきました。後半出だしからスタートがめちゃくちゃ良くて10点差くらいつけることができました。そこで僕とか控えのメンバーが出してもらって、そこでちょっと退場とか絡んで流れ悪くなってしまったんですけど、勝利できたっていうのはすごく大きかったことだなって思います。

――今日は初出場ということですが、どのようなお気持ちで臨まれましたか

僕は一対一が強みって言われているので、「相手が高いディフェンスだから出るぞ。準備しとけよ」っていうようなことは、試合前からいろいろな方に言ってもらっていました。気持ちの面ではつくれて(試合に)入れたんであまり緊張せずに入れたかなっていう感じです。

――初得点をした時のお気持ちは

んーそうですね(笑)。一言で言えば、嬉しいっていう。チームの力になれたっていうのが、本当に良かったです。

――今日は応援団の方々の声援もありましたが、試合全体の雰囲気はいかがでしたか

大同大学の応援がすごいって分かっていました。ベンチに入れなかった人とかでそういうことを考えてくれてしっかり練習して臨んでくれました。もう今までになくチームの雰囲気も最高でした。ワセダはああいう応援しないので、すごくやりやすかったと思います。

――明日の試合への意気込みをお願いします

明日は秋リーグで結構大差で敗れてしまった筑波大なんですけど、天王山というか、1番落とせないし、逆にそこで勝ったら優勝にぐっと近づく試合なのでチーム一つとして頑張って。僕もまあ出られたら、絶対に1点を取るっていう気持ちで臨んでいきたいと思います。