前日の予選から一転、穏やかな晴れ模様となった2日目。予選で準決勝進出を決められなかった5艇があすの準決勝への切符を懸けて敗者復活戦に挑んだ。うち3艇がきょうで大会から姿を消したものの全ての艇がきのうの反省を生かしたレース運びを見せ、今後の…

 前日の予選から一転、穏やかな晴れ模様となった2日目。予選で準決勝進出を決められなかった5艇があすの準決勝への切符を懸けて敗者復活戦に挑んだ。うち3艇がきょうで大会から姿を消したものの全ての艇がきのうの反省を生かしたレース運びを見せ、今後の活躍を予感させる結果となった。

 この日初めに岸を蹴ったのは、女子シングルスカルの浅利真美子(スポ2=秋田)と大槻のりか(スポ1=宮城・佐沼)。この種目は出艇数が多く、予選と敗者復活戦共に1艇上がりの厳しい状況の中、早大2名が同じ組で戦うこととなった。「お互い良いレースができればいい」(浅利)と意気込んで臨んだきょうのレースだったが、予選のタイムで早大勢より上位につけていた立大の三嶋怜奈に、終始レースの主導権を握られる。浅利と大槻はそれぞれ組3着と4着に終わり、この大会から姿を消した。ケガからの復帰途中にある浅利と、この半年間シングルスカルでの練習を積んできた大槻。今大会で得られたものを糧に、来シーズンで雪辱を果たしたい。そして女子部からもう1艇レースに臨んだのが、予選で中部電力に敗れ敗者復活戦に回ったダブルスカルAだ。スタートダッシュに成功すると、終始他艇を圧倒。2番手に15秒以上の大差をつけ、落ち着いてゴールラインを切った。目標に掲げる優勝のためには、まず準決勝で中部電力との再戦を制する必要がある。「最初に出たとしてもそこで気を抜かずにしっかり中盤のコンスタントで離して最後は上げるというレース展開にしたい」(大崎未稀、スポ1=福井・美方)。万全の対策を敷いたこのクルーが、どんな戦いを見せてくれるのか期待したい。


大きな漕ぎで他艇を圧倒した女子ダブルスカルA

 そして男子部からは舵手付きフォアに早大BとCの2艇が出場。2年生を含む比較的競技歴の長いメンバーをそろえた早大Bは、スタートこそ首位に立つも折り返しの1000メートル地点で富山国際大に抜かれ2番手に。第3クオーターでじわじわと他艇の追い上げを受けるが、最後は後続を突き放しそのまま2着でフィニッシュ。あすの準決勝は、きのう準決勝進出を決めた早大Aと同じ組だ。2レースの反省をしっかり生かし、怯むことなくあすの準決勝に臨みたい。そして1年生のみのフレッシュなクルー構成で臨んだ早大Cは、前2艇の激しい首位争いに絡むことができず敗者復活戦敗退となった。今大会出場クルーで唯一の未経験入部者で、今回ストロークを務めた牟田昇平(商1=兵庫・三田学園)は、「体力というレースの力の差が出てしまったので、これから冬のトレーニングをしていく中で伸ばしていけたらいい」と前向きだ。次の舞台は来年3月のお花見レガッタ。シーズンオフの間に力を伸ばし、来春には一回り成長した姿が見られるに違いない。


成長が楽しみな男子舵手付きフォアC

 男女1艇ずつが敗者復活戦を勝ち上がり、あすの準決勝は6艇で臨むことになった早大クルー。1、2年生のみが出場できるこの大会で、何艇が表彰台に上れるのか。優勝クルーが出れば、2013年の女子舵手付きクォドルプル以来5年ぶりの快挙となる。今シーズン最後の戦い、若きエンジの戦士たちの活躍に注目だ。

(記事 石塚ひなの、写真 加藤千咲)

結果

【敗者復活戦】

▽男子部

【舵手付きフォア】

早大B

C:山田侯太(商2=東京・早大学院)
S:岩松賢仁(スポ1=熊本学園大付)
3:大野一成(法2=東京・早大学院)
2:飯島温人(基理1=東京・早大学院)
B:船木豪太(スポ1=静岡・浜松北)

7分20秒12 【2着 準決勝進出】

早大C

C:川野柊(法1=東京・早大学院)
S:牟田昇平(商1=兵庫・三田学園)
3:加藤聖也(スポ1=愛知・豊田北)
2:筆島一輝(先理1=東京・早大学院)
B:岡本真弘(商1=東京・早大学院)

7分30秒41 【3着 敗者復活戦敗退】

▽女子部

【ダブルスカル】

早大A

S:三浦彩朱佳(文2=青森)
B:大崎未稀(スポ1=福井・美方)

8分10秒30 【1着 準決勝進出】

【シングルスカル】

早大A

浅利真美子(スポ2=秋田)

8分47秒46 【3着 敗者復活戦敗退】

早大B

大槻のりか(スポ1=宮城・佐沼)

9分00秒70 【4着 敗者復活戦敗退】

コメント

【舵手付きフォア】

早大C

S:牟田昇平(商1=兵庫・三田学園)

――ご自身が漕艇を始めたのは大学からですか

はい、そうです。

――お兄さん(牟田宜平、商3=兵庫・三田学園)が漕艇部にいらっしゃいますが、その影響を受けたのですか

いや、少なからずあったと思いますけど、そんなには。高校までは水泳をやっていて、その全国大会があったりして東京に来て、兄の試合を戸田に見に来ることがありました。僕はずっと水泳をやってたので、チームスポーツに憧れがあって、大学進学を機に新しいことに挑戦しようかなと思って始めました。

――ストロークを務めていらっしゃいますが、ご自身の強みはどこにあると思いますか

水泳では1500メートルで長距離をやっていたので、体力には自信があるのでずっと一定のリズムで漕ぐことを意識しています。持久力が強みですかね。

――全日本大学選手権(インカレ)ではオックスフォード盾に出場していて、今回の舵手付きフォアもスイープ種目ですが、スイープには慣れましたか

だいぶ慣れたかなと思います。始めてまだそんなに経っていないので、他の高校とか中学から続けてきた人より、水をつかむ感覚とかは追いつけないんですけど、日ごろの練習を意識して4年生とか3年生では活躍できるように練習していきたいと思います。

――今回のクルーを組んだのはいつ頃ですか

3週間前くらいです。

――このクルーの強みは

1年生だけのクルーだったので、1回1回の練習とかレース1本1本で修正して、1日ずつ成長していく伸びしろが強みだったと思います。

――今大会はどのような目標を設定されていましたか

最終日の準決勝には残って、上位16位以内に入ることです。僕たちは1年生だけなので、決勝で戦うというよりは、36艇出てる中でどこまで上に行けるかというのは意識していました。

――きのうの予選のレースを振り返って

他の組と違って周りの船がレベルの高い組だったので、あまり周りに影響されずに自分たちのレースプラン通りの漕ぎはできたので、予選は予選で良かったと思います。

――予選を踏まえてきょうのレースで修正した点はありますか

きのうは前半は付いていってコンスタントで耐えて、後半は攻め勝つっていうプランだったんですけど、僕たちはそんなにエルゴが回ったりしないクルーだったので、真ん中耐えるというのを意識していて。きのうは500メートルくらいで2艇身以上あけられて前半がそんなに入れなかったので、きょうは前半でしっかり攻めつつ、そのままキープしていくというのを意識してやりました。前半はきのうよりもレート自体を上げていけたんですけど、750~1000メートルくらいでばててしまって、そこから耐えることはできたんですけど、地力の差が出たかなと思います。

――ラストは漕ぎがばらついている印象もありましたが、体力面のきつさがあったのでしょうか

そうですね、体力っていうレースの力の差が出てしまったので、これから冬のトレーニングをしていく中で、その辺は伸ばしていけたらいいなと思います。

――今回のレースから今後に生かしていきたい点は

後半ばててしまったので、そのベースアップというのはもちろん、個人的には他の人よりもボートの経験が短いので、人一倍努力してテクニック的な部分で上を目指していきたいと思います。スイープ自体はみんな大学入ってから始めているので、そこのスタートラインは一緒なので、スカル競技は厳しいかもしれないですけど、スイープは技術的には負けないようにしていきたいです。

【ダブルスカル】

早大B

B:大崎未稀(スポ1=福井・美方)

――2週間前の全日本選手権ではシングルスカルで出場されていましたが、今回のクルーを組んだのはいつ頃ですか

全日本が終わった直後の月曜日くらいです。なので組んでからは2週間ないくらいですね。

――ストロークの三浦彩朱佳選手(文2=青森)との相性はいかがですか

乗り始めた時にすごく合う感じがあって、相性いいのかなとその時に思いました。

――クルーの強みはどこですか

このクルーは水中(の部分)がすごく強いので、しっかり1本1本伸ばしていくことができるところが強みだと思います。

――この大会での目標は何ですか

優勝することです。

――きのうの予選はどういったレースプランで臨みましたか

きのうは練習のときから2000メートルを見越した練習をしていて、中盤を落とさないということを意識していました。きのうのレースも、中盤の1000メートルを落とさないこととラストはしっかり上げるということをレースプランとして置いていました。

――実際にそうすることはできましたか

いや、きのうは第1クオーターから第2クオーターでタイムが落ちてしまって、そのまま上がることがなくて落ちていくようなタームカーブになっていたので、レースプラン通りにはいかなかったですね。

――予選を踏まえてきょうの敗者復活戦にはどういった点を意識して臨みましたか

きょうはきのうのタイムカーブが右肩下がりになっていて、第1クオーターから第2クオーターの落ちがすごく激しかったので、きょうはそこの落ちを少なくしてなおかつ第2クオーターから第3クオーターは落とさずそのまま行く、ラストに上げるということを意識していきました。

――実際のきょうの展開を振り返っていかがでしたか

きょうは中盤の第2クオーターから第3クオーターですごく落ちてしまったんですけど、しっかりラストで上げきれたのでよかったかなと思います。

――きょうのレースからあすの準決勝までに改善したい点はありますか

第3クオーターで、きょうは風があるということもあったんですけど少しばたついてしまったので、あしたはばたついたりせずにタイムの落ちをなくして、コンスタントを伸ばしていけたらいいかなと思います。

――あすの準決勝ではきのうの予選で敗れた中部電力との再戦になりますが、どういった点を意識して臨みますか

予選のときは自分たちは初めの方は勝っていたんですけど、徐々に抜かされていって最後に差されてしまったので、最初に出たとしてもそこで気を抜かずにしっかり中盤のコンスタントで離して最後は上げるというレース展開にしたいかなと思います。

――あすは順調に進めば準決勝と決勝の2レースになるわけですが、どういったレースにしたいですか

目標は優勝なので、あしたはしっかりA決勝(決勝、B決勝は順位決定戦)に行って、レース展開としてはもともと自分たちが掲げていた、中盤の落ち幅をなくしてラスト上げるという感じの展開にしたいです。決勝でもすごく強い相手がいるんですが、しっかり自分たちの漕ぎができたらいいなと思います。