ついに全日本学生選手権(インカレ)が開幕。ワセダは環太平洋大と相対した。開始直後こそ試合を優位に進めたが、本来なら見られないオフェンスのミスが増え中盤に追いつかれる。後半8分にはまさかの4点ビハインドを許した。しかし、後半15分すぎからよ…

 ついに全日本学生選手権(インカレ)が開幕。ワセダは環太平洋大と相対した。開始直後こそ試合を優位に進めたが、本来なら見られないオフェンスのミスが増え中盤に追いつかれる。後半8分にはまさかの4点ビハインドを許した。しかし、後半15分すぎからようやく堅守が機能。『ディフェンスから』の流れにともない、オフェンスも調子を戻し試合をひっくり返した。最後は連続得点で突き放し辛勝。苦戦を強いられたが、まずは1回戦を突破した。

 大事な初戦の立ち上がりはほぼ完璧。開始たった2分で3点を挙げ、試合を序盤で決めてしまうような様相を呈する。その後も山﨑純平(社4=岩手・不来方)や三輪颯馬(スポ4=愛知)のゴールで点差は広がったが、そう簡単ではなかった。「難しいことをしようとしすぎてパスミスが生まれ」(山﨑)、ちぐはぐな攻守から相手に何度もチャンスを与えてしまう。一方の相手は速攻やロングシュートを多用。みるみるうちに点差を縮められた。17分には中途半端なパスを立て続けにカットされ速攻から逆転を許す。攻勢に出ていたワセダセブンから、笑顔は完全に消えていた。19分からもポストシュートやミドルシュートで中央突破から3失点。たまらずタイムアウトを要求した。修正後は伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)や宮國義志(社3=沖縄・浦添)のゴールで何とか前半のうちに追いつく。流動的な状態から互いにゴールを奪い合い19-19の同点でハーフタイムを迎えた。


途中出場から複数得点を挙げた宮國

 前半押し込まれただけに早めに重苦しい雰囲気を脱したかったが、後半の出だしもセットオフェンスが決まらない。「大舞台の中でみんな固くなって、足が動かなくなって、相手の激しいディフェンスに惑わされてしま」った(三輪)。オフェンスの不調が速攻の献上につながり、再びリードを許す展開に。ワセダ陣営に不穏な空気が流れた。しかし、集大成の大舞台だからこそ誰も諦めるものはいない。後半は「ハーフタイムでもう一度やることを確認して、それを徹底し」(小畠夕輝、スポ4=岡山・総社)ていた。この意識付けが奏功し、まずは連続失点を許していたディフェンスが本領を発揮。固まっていた足の動きがベンチや応援団の声援でほぐれた。失点を防ぐ間にオフェンス陣も復活。もともと相手を上回っていたフィジカルや1対1の駆け引きを軸に点差を詰めた。引き寄せた流れにつられるようにボルテージも上がっていく。チーム一体で波に乗っていく良いときのワセダが戻っていた。後半18分についに追いつくとそこからは見違えるような試合運びで相手を圧倒。完全に主導権を握り返し怒涛(どとう)のゴールラッシュを見せた。最後は相手の7人攻撃を退けブザー。最終スコア35-31で試合をものにした。


小畠は後半自慢の得点力が爆発した

 ひやひやする展開ながらも白星を収めたワセダ。負けは終わりを意味するトーナメント方式のインカレにおいては、とにかく勝ちという結果が重要だ。そして明日に迫る次戦は、今日の1回戦を38-10で大勝している大同大との対戦。「ミスをしていたら勝利できない」(宮國)手ごわいシード校だ。3-3ディフェンスの攻略がカギを握るが、連戦では精神面も試合を左右する。「今日の後半の流れを明日の最初から出して」(山﨑)いくことができれば、勝機はおのずと見えてくるはずだ。ここ2年鬼門となっている2回戦で『ワセダらしさ』を体現できるか――。ワセダセブンが日本一への階段を一歩ずつ上がっていく。

(記事 小松純也、写真 白石智奈美 湯口尊)

全日本学生選手権
早大3519-19
16-12
31環太平洋大
GK 羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ4=愛知)
LB 小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)
PV 高橋拓也(人4=群馬・富岡)
CB 山﨑純平(社4=岩手・不来方)
RB 伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)
RW 清原秀介(商3=東京・早実)
コメント

山﨑純平(社4=岩手・不来方)

――まず、勝利の感想をお願いします

トーナメントの中で、試合展開を抜きにして最低条件勝つこができて次につながったので、そこは良かったかなと思います。

――途中まで苦しい展開でしたが、試合を振り返っていかがですか

スタートは完璧だったんですけど、中盤自分たちのやりたいことができなくてディフェンスもオフェンスもかみ合わず、相手にリードされる時間帯もあって苦しい時間帯もありました。けど、最後はディフェンスを固めることができて、オフェンスも強い1対1でいけたので、試合展開としてはまだまだですけど苦しい時間帯をよく耐えられたかなと思います。

――パスミスが目立った要因はありますか

やりたいことを徹底できなかったというのがあります。ミーティングで、フィジカルの強さなら自分たちの方が上だから、不要なパス回しはしないで1対1で走り込んで完結でいこうと話していました。けどそれができず、難しいことをしようとしすぎて、パスミスが生まれたのかなと思いますね。

――相手の高いディフェンスは相対してみていかがでしたか

まあ高めのディフェンスでくることは予想していたしビデオで研究した通りなので、驚くことはなかったです。ただただ自分たちのやりたいことができなかっただけですね。

――2回戦の相手、大同大の印象を教えてください

今日の相手ほどロングシュートは狙ってこないですね。逆にいうと、1対1がキレたり上手くずらしてサイドまで持っていったりがあって、ボール回しがすごく上手だなという印象がありますね。

――最後に明日への意気込みをお願いします

トーナメントなので一つ一つチームで勝っていくだけなので、今日の後半の流れを明日の最初から出してチーム全員で勝ちにいきたいと思います。

三輪颯馬(スポ4=愛知)

――まず、勝利の感想をお願いします

そうですね。トーナメントなので勝てたっていうのは素直に喜んでいいのかなっていうのは思うんですけど、日本一を見据える中で、ここでこういうゲーム展開になってしまうと、日本一は取れないと思うので、明日出来るってことに感謝して、明日から修正していきたいなって思います。

―今回、パスミスやパスカットをされることが多かったと思うのですがその原因は何ですか

そうですね。やっぱり、インカレっていう大舞台の中でみんな固くなって、足が動かなくなって、相手の激しいディフェンスに惑わされてしまいました。今回だけの課題じゃなくて、結構1年間ずっとだったんですけど、やっぱりそれがまだまだ出てしまっていたので、もう気持ちでカバーしていけたらなって思います。

――後半逆転できた要因は何ですか

僕を含め、多分4年生が誰一人諦めてなかったと思いますし、チームメイトも最後まで声をかけていたので、それが逆転につながったのかなって思います。

――最後に、明日への意気込みをお願いします

明日も高いディフェンスになってくると思うので、この1年間ずっと課題だったのを大舞台で克服して、なんとしてでも3回戦に進んでいけたらなって思います。

小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)

――試合を終えての感想をお願いします

ハラハラしたゲームだったので安心感があるとともに、自分はミスが多かったので反省している気持ちです。

――試合前の雰囲気などはいかがでしたか

試合前は引き締まっていて良かったです。それで試合の立ち上がりは良かったんですけど、その流れが終わって足が止まり始めてミスが重なったところで暗雲が立ち込めたというか。すごく嫌な時間が長かったなと思います。

――そのあと逆転できた要因は何でしょうか

ハーフタイムでもう一度やることを確認して、それを徹底したことがハマり始めて。向こうの足が止まり始めたのも重なって、やっと自分たちの流れがきたかなと思います。

――相手のディフェンスシステムに対して攻めにくさなどはありましたか

もともと僕らは高めのディフェンスシステムが苦手だし、それも相手がわかっていてラインを上げて守っていたみたいで。それにちょっとハマってしまった時間帯がありました。秋リーグ(関東学生秋季リーグ)から高めのディフェンスはすごく練習してきたんですけど、まだまだ課題があります。ミスをなくさないと勝てないかなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

前半すごくミスが多くて。言い訳になってしまうんですけど、ボールが滑る感覚があって自分でコントロールを失っちゃったかなと。パス出すのをビビってたんですけど、後半はしっかり前を狙えていたのであのプレーをあしたは前半からやっていけたらいいかなと思います。

――明日に向けて一言お願いします

あしたも勝ちます!

宮國義志(社3=沖縄・興南)

――まず勝利の感想をお聞かせください。

試合内容は満足行く結果ではなかったが、トーナメント戦において「勝利」できたことはとても大きいです。明日に繋げられたことは評価できると思います。

―試合中、パスミス、パスカットのミスが多く見受けられましたがが、原因はなんだと思いますか

初戦なので皆が緊張していたこと、相手ディフェンスの駆け引きが上手だったことが要因であると思います。明日以降はミスをしていたら勝利できないと思うので、修正してチームとしての力を発揮したいです。

――苦しい時間からの起用が多かったと思いますが、どんなことを意識しましたか

相手のディフェンスがかなり高めだったので、自分がコートに入ったらパス回しの強化と一対一でどんどん間を狙うことをベンチにいる時からずっと考えていました。最後は自分自身のミスでチームに迷惑をかけた部分もありましたけど、得点力を継続できていた部分については今後にも繋げていきたいと思います。

――後半、逆転できた要因はなんだと思いますか

ディフェンスの動きが前半よりも良かったこと、シュートを決めたときの盛り上がりが大きくなったことがあげられると思います。颯馬(三輪)さんが応援団に盛り上げの強化を頼んでくださって、盛り上げから流れが来てチームもその期待の波に乗れて良かったと思います。最後の15分間はとてもいい動きができていた。

――明日への意気込みをお聞かせください

今日は100点中20点くらいのプレーしかできず迷惑をかけてしまいましたけど、前を向いて後悔しないように先輩たちと勝利に向かって突き進んでいきたいと思います。