グランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯は、日本女子が表彰台を独占しそうな勢いだ。



NHK杯がシニアGPデビュー戦となる紀平梨花

 今大会には、平昌五輪4位で全日本女王の宮原知子、シニアGPデビューでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に持つ紀平梨花、前四大陸女王で着実に実力をつけてきた三原舞依の3人が出場。日本が表彰台を独占すれば、2008年のNHK杯以来のこととなる。8日に行なわれた公式練習では、三者三様、持ち味を出しており、調子のよさがうかがえた。

 昨季は股関節痛の大ケガから見事な復活を遂げ、念願の五輪出場を果たし、メダルまであと一歩に迫る活躍を見せた宮原は、2022年北京五輪に向けての「チャレンジのシーズン」に臨んでいる。

 その手始めに回転不足と判定されることが多かったジャンプの修正に取り組み、スピードに乗って高く跳ぶことを意識しながら重点的にジャンプ練習に励んでいる。今季の目標は、GP大会で優勝することではなく、自分自身が望むスケートを習得することだという。

「今大会では、いろいろ変えてきたことをきっちり試合でできるようにして頑張りたいと思います。NHK杯までは、第1戦(スケートアメリカ)で見つけた課題に対して、SPもフリーもプログラムを通す練習をしてきました。

 いまは試合の結果や演技の点数よりも、とくにジャンプを中心に意識を変えながら練習してきたので、それを試合でもきっちりやることを目標にして臨んでいる。ファイナル(の出場権獲得)よりも自分の演技をしっかりすることを考えてやっています。調子自体は悪くないので、最後は自分の気持ちを強く持つことが必要だと思っています」

 公式練習の曲かけでも、スピードの乗った力強いジャンプを随所に見せた。コツコツと生真面目な宮原らしく、修正中のジャンプに少しずつ変化が現れ始めたことは間違いない。ジャンプ以外のステップとスピンではしっかりと滑り込んできた成果が演技に出ており、練習ではショートプログラム(SP)『小雀に捧げる曲』とフリー『ブエノスアイレスの冬』ともにノーミス演技をしてみせた。

 とくにフリーは、音と動きがピタリと合っていて、曲をしっかりと表現。今大会はSPもフリーも衣装を新調したそうで、そこもひとつの見どころだろう。

「振付師と衣装の方のアイデアを取り入れて作っていただきました。今回、フリーもSPも新しい衣装になりますけど、テーマとしては、SPはちょっとムービースターの感じで、キラキラしたドレープの衣装でおしゃれな小粋なイメージを出していて、フリーはタンゴなので、少し斜めの長めのセクシーさを出した衣装にしています」

 その宮原と同門で、妹弟子にあたる紀平が、いよいよGPデビューする。NHK杯では、武器の大技トリプルアクセルをSPで1本、フリーで2本の計3本跳ぶ予定。目指す演技が強豪シニア勢にどこまで通用するのかに注目が集まる。

「完璧な演技をしてトリプルアクセルを決められたらいいなと思います。NHK杯まで、トリプルアクセルと他のジャンプの安定感を出せるように跳ぶことを意識して練習してきました。それと、スピンのレベルを取りこぼさないようにしっかり練習してきました。公式練習でも調子はいいので、トリプルアクセルをしっかり決められるように、調子のよさを保って試合に向けてしっかり頑張りたいと思います」

 公式練習では、午前1回目の練習でトリプルアクセルを6回成功させ、午後2回目の練習でも8回成功。トリプルアクセル+3回転トーループの連続ジャンプも2度跳ぶなど、本人も手応えを掴み、自信を持てたようだ。

 今大会では紀平以外にも元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)がトリプルアクセルをプログラムに組み込んで優勝争いに加わる。トリプルアクセルの競演も大会の見どころのひとつだろう。

「選考会でNHK杯に選んでいただけて、そのときから、多くのお客さんの中でいい演技ができたら本当にうれしいんだろうなと思っていたので、出られることがうれしいです。だからそのうれしさを、いい演技で表せることができたらいいなと思っています。

 トゥクタミシェワさんのトリプルアクセルは、跳び方は私と全然違っていますが、きれいでいいジャンプを跳んでいました。私もNHK杯で頑張りたいなと思いました」

 そのトリプルアクセル旋風が起きれば、日本勢初となるGPデビュー戦優勝の期待も膨らむはずだ。

 一方、シニア3年目の三原舞依は、「初心に帰る」ように自分の演技のよさを見つめ直して、安定感のある質のいい滑りができるように練習を積んできた。初めてNHK杯に出場できる喜びもひとしおのようだ。

「しっかり練習でやってきたことを信じて、自分に勝つということを目標にやってきたので、最後は笑顔で終われるように頑張りたいと思っています。NHK杯に向けては、とくにフリー『ガブリエルのオーボエ』の構成を少し変えたこともあって、そこを重点的にミスなく流れよく滑らせることを意識しました。

 ひとつひとつのエレメンツであるジャンプ、スピン、ステップだけじゃなく、つなぎの部分をしっかりレベルアップさせないといけないと思ったので、そこを意識して練習してきました。

 公式練習では、初めてのNHK杯ですごく緊張感があるんですけど、リンクの暖かさとか、会場の広さとかを実感できたので、しっかり試合に向けて気持ちを作って楽しめたらいいかなと思っています」

 今オフには持病の関節炎で服用している薬の副作用で、顔にアレルギー反応が出てしまうこともあったが、「チークする必要がないんです!」と明るく振る舞っていた頑張り屋だ。おっとりしたタイプに見えるが、芯の強さでは誰にも負けていない。「ひとつのことに向かって熱中できて、毎日スケートができることがすごく幸せなこと」と言う。

 質が問われる今季のルール改正は三原にとって追い風。今季GP初戦での戦いぶりに期待したい。